オーバード (プーランク)
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Poulenc Piano Concerto, Aubade - 髙﨑展好のP独奏による演奏《指揮者および管弦楽団名称は無記載》。 | |
Poulenc Aubade オーバード - 髙﨑展好のP独奏およびリヴォフ交響楽団(ウクライナ)による演奏《指揮者名無記載》。 …以上、何れも当該P独奏者自身の公式YouTube。 | |
Poulenc - Aubade - ギンタラス・ヤヌセーヴィチュス(Gintaras Janusevicius)のP独奏、Alon Sariel指揮Plathner's Eleven Symphony Orchestraによる演奏。当該指揮者自身の公式YouTube。 |
『オーバード、ピアノと18の楽器のための舞踊協奏曲』(仏: Aubade, Concerto chorégraphique pour piano et dix-huit instruments )FP.51は、フランシス・プーランクが1929年に作曲した、舞踏を伴う小編成オーケストラとピアノのための協奏曲。プーランクが様々な鍵盤楽器のために作曲した5曲の協奏曲のうち2作目にあたる。
概要
[編集]芸術家のパトロンであったノアイユ伯(Vicomte de NOAILLES )[1]の屋敷で行われるプライベートな演奏会のために作曲され、1929年6月18日に作曲者自身のピアノ、『牝鹿』の振付者でもあるブロニスラヴァ・ニジンスカの踊り(衣裳:ジャン・ミッシェル・フランク)により初演された[2]。翌1930年1月21日にシャンゼリゼ劇場において、『牝鹿』の主演ダンサーであったヴェラ・ネムチノヴァら、元バレエ・リュス[3]のメンバーらによって公に上演された。この時の振付はジョージ・バランシンが行ったが、『ディアナとアクタイオンの神話』のタイトルのもと、あらたに男性ダンサーによる「アクタイオン」を登場させたことから、プーランクはこれに強く抗議し、「女たちのバレエ」の副題をつけた[2]。作品はノアイユ伯夫妻に献呈され、1931年に出版された。
あらすじ
[編集]森に住む純潔と貞節の女神ディアーヌ(ギリシャ神話のアルテミス、ローマ神話のディアナ)は、自ら定めた神の掟によって恋をすることができず、夜明けのたびに悲しい思いをする、という幻想的な筋書きである。
楽器編成
[編集]スコアに指示された配置は、左右非対称で変則的なものである。ピアノは舞台の上手(客席から見て右側)前方に置かれ、オーケストラはピアニストの後方から左側にかけて扇形を作るように3列で着席し、ピアノを取り囲む。指揮者はピアニストの左前方(客席から見ればピアノの奥)に位置しオーケストラと向き合う。
- 1列目:客席側からヴィオラ、フルート、オーボエ、ホルン
- 2列目:チェロ、ファゴット、クラリネット、トランペット
- 3列目:コントラバス、ティンパニ
演奏時間
[編集]約21分
構成
[編集]切れ目なく演奏されるが、10のセクションに区切ることができる。
- トッカータ(Toccata)Lento e pesante – Molto animato
- レチタティーヴォ、ディアーヌの仲間たち(Récitatif - Les compagnes de Diane) Larghetto
- ロンド、ディアーヌと仲間たち(Rondeau – Diane et compagnes) Allegro
- ディアーヌの入場(Entrée de Diane) Più mosso
- ディアーヌの退場(Sortie de Diane) Céder un peu
- ディアーヌの身支度(Toilette de Diane) Presto
- レチタティーヴォ、「ディアーヌのヴァリアシオン」への序奏(Récitatif – Introduction à la Variation de Diane) Larghetto
- アンダンテ、ディアーヌのヴァリアシオン(Andante - Variation de Diane) Andante con moto
- ディアーヌの絶望(Désespoir de Diane) Allegro feroce
- ディアーヌの別れと出発(Adieux et départ de Diane) Adagio
脚注
[編集]- ^ ノアイユ伯夫人は「マリー・ロール」の愛称で文学者や画家の間で有名であった(アンリ・エル、村田健司訳、『フランシス・プーランク』春秋社、1993年、249ページ)。
- ^ a b アンリ・エル、前掲書、62-64ページ
- ^ バレエ・リュスは前年8月19日にセルゲイ・ディアギレフが死去したことに伴い解散。
参考文献
[編集]- 属啓成『名曲事典』音楽之友社、1969年
- サラベール社のスコア
- プーランク、オーデル編、千葉文夫訳『プーランクは語る―音楽家と詩人たち』筑摩書房、1994年
- アンリ・エル、村田健司訳、『フランシス・プーランク』春秋社、1993年