カイガンタバコ
カイガンタバコ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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カイガンタバコの花
(2024年10月 沖縄県本部町 熱帯・亜熱帯都市緑化植物園) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Calotropis gigantea (L.) Dryand. ex W.T.Aiton | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
カイガンタバコ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
crown flower, bowstring hemp |
カイガンタバコ(海岸煙草、別名:アコン、クラウンフラワー、カロトロピス 学名:Calotropis gigantea[1])はキョウチクトウ科カロトロピス属の常緑低木。旧ガガイモ科。
特徴
[編集]高さ3 mほどになる。葉は厚みがあり、長さ12–24 cmの広楕円形で対生する。和名は葉がタバコの葉のように大きいことに由来。葉表の葉脈は白く目立つ。葉や茎を傷つけると毒性のある白い乳液が多量に出る。枝葉の表面に白い軟毛がある。花は多肉質で、花冠は径2–5 cmほどの淡紫色で、先は5つに裂けて星型になる。白花の変種もある。花は枝先に群生する。花期は初夏~晩秋(5–12月)。英名のクラウンフラワーは副花冠と筒状に癒合した雄しべの独特な形が王冠に似ることに由来する。別名のアコンはバングラデシュにおける本種の呼称にちなむとされる。果実は黄緑色で長さ10 cmの舟形だが結実は稀[2][3][4][5][6][7][8][9][10]。
分布と生育環境、利用
[編集]インド~東南アジア原産で、沖縄県へは昭和54年頃にスリランカから導入された。インドでは花をシヴァ神への供花とし、タイでは仏像へ供える花輪を作り、ハワイではレイを作る素材とされる。花輪には白花が多く用いられる。樹皮や茎からは強い繊維が取れ、かつては漁網や釣糸等に利用された。茎葉から出る白い樹液は有毒だが強心作用があり、東南アジアでは樹皮や根とともに薬用とされる。白い汁が皮膚に付くと炎症を起こすことがある。沖縄県内では生垣や公園樹として植栽される。多湿を嫌うので水はけが良く日当たりの良い場所に植栽すると良いが、茎葉から有毒の樹液が出るため、植栽場所に注意を要する。萌芽力が強いので徒長枝は強く切り戻しても良い。温室内ではアブラムシがつきやすい。繁殖は挿し木や実生による[2][3][4][5][6][7][8][9][10]。
脚注
[編集]- ^ “カイガンタバコ Calotropis gigantea (L.) Dryand. ex W.T.Aiton”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2024年11月16日閲覧。
- ^ a b (白井 1980, p. 161)
- ^ a b (天野 1982, p. 159)
- ^ a b (近田 1997, pp. 71–72)
- ^ a b (海洋博記念公園管理財団 1997, p. 22)
- ^ a b (屋比久 2006, p. 126)
- ^ a b (平良ほか 2009, p. 120)
- ^ a b (日本インドア・グリーン協会 2020, p. 247)
- ^ a b (沖田原 2021, p. 360)
- ^ a b (林 & 名嘉 2022, p. 266)
参考文献
[編集]- 白井祥平「カロトロピス・ギガンテア」『沖縄園芸植物大図鑑』 4巻《熱帯花木》、沖縄教育出版、那覇市、1980年。
- 天野鉄夫「カロツロピス」『琉球列島有用樹木誌』琉球列島有用樹木誌刊行会、1982年。
- 近田文弘 著「カイガンタバコ」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 3巻、朝日新聞社、東京、1997年、71–72頁。ISBN 9784023800106。
- 海洋博記念公園管理財団「アコン」『沖縄の都市緑化植物図鑑』新星出版、那覇市、1997年。ISBN 9784902193732。
- 屋比久壮実「アコン」『花ごよみ 亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画、2006年。ISBN 4990191730。
- 平良一男; 新里隆一・仲村康和・松田正則「カロトロピス」『沖縄 花めぐり』沖縄都市環境研究会、2009年。
- 日本インドア・グリーン協会「カイガンタバコ」『熱帯植物図鑑』誠文堂新光社、東京都文京区、2020年。ISBN 9784416918852。
- 沖田原耕作「アコン」『おきなわの園芸図鑑 園芸植物とその名前』新星出版、那覇市、2021年。ISBN 9784909366832。
- 林将之; 名嘉初美「クラウンフラワー」『沖縄の身近な植物図鑑』ボーダーインク、2022年。ISBN 9784899824350。
外部リンク
[編集]- カイガンタバコ 世界の植物 -植物名の由来- 高橋俊一
- アコン 植物図鑑 海洋博公園
- 海岸煙草(カイガンタバコ)と柳唐綿(ヤナギトウワタ) 青い郊外の空の下・黄色と緑のセロファンの花たち
- アコン GKZ植物事典
- アコン 花しらべ
- アコン 木々の移ろい
- クラウンフラワー 季節の花300
- 沖縄の草木 色んな名前を持ってます ~アコン~ 60歳からの沖縄生活 with N
- バンコク滞在中 第10報 アコンの花 節穴から覗いた歴史の一齣(ブログ)2023-03-12
- アコン 身近な植物図鑑+α