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カセット効果

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

カセット効果とは、意味が分からない言葉や価値が分からない製品に接したときに、見かけの形(漢字なら二字で一語であること)や値段の高さなどが重要で、意味や価値が分かってないにもかかわらず、大事な意味や価値があるに違いないと思い込むことである[1]

ここでいう「カセット」とは、宝石箱(フランス語:cassette)の事。小さくて綺麗な宝石箱の中にはすばらしい物が入っていそうだが、その宝石箱は完成したばっかりであり、まだ何も入っていない。しかし、その中身は見えないため、かえってすばらしい中身が想像されるということから、この名称が名づけられている。

概要

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翻訳語研究者比較文化論研究者の柳父章が生んだ言葉であり、柳父はカセット効果について以下の点を指摘している[2]

  • カセット効果は、ことばが価値を持っているように働く。
  • カセット効果のもつ価値は、結局、意味としては説明できない。他のことばによる置き換え、という意味によっては説明できない。(中略)カセット効果のことばは、置き換え不能である。
  • カセット効果は、もともと無意味なことばの持つ効果である。(但し、まったく意味がない場合は、それほど多くはなく、あくまでもこれは理念型だ、としている。)

ただし、柳父はカセット効果について、日本が海外の先進的な文化を受容して独自の言語・文化を築いたという点を挙げて、「ある場合には自然であり、また言語、文化の活動にとって有益な結果をもたらしている」とも指摘している[1]

一例

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仏教の僧侶の経文音読を耳で聞くとき、意味は解らないものの、有難いと思って頭を下げている[1]

大抵の視聴者は「タウリン」という言葉の意味は分からないはずだが、「タウリン 1000 ミリグラム配合!」と叫ぶテレビのCMが作られる[1]

インフォームド・コンセプト」「バリアフリー」「イベント」「メリット」などのカタカナ語が新聞・雑誌・テレビ・ラジオにおいて頻出する[3]

学名などの学術用語においては、ギリシャ語及びラテン語系の難しい表現が用いられる[1]

注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e 柳父章 (2012-03-29). “日本における翻訳造語――「カセット効果」について”. 東アジアにおける近代諸概念の成立――近代東亜諸 概念的成立 (京都市: 国際日本文化研究センター) 26: 121-125. doi:10.15055/00002716. ISSN 09152822. 
  2. ^ 『翻訳とはなにか―日本語と翻訳文化』法政大学出版局、1976年、23-25頁。 
  3. ^ カタカナ語の氾濫 宮崎豊”. www.rokugo.or.jp. 六郷神社. 2023年5月20日閲覧。

関連項目

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