コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

カワカマス目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カワカマス目
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 原棘鰭上目 Protacanthopterygii
: カワカマス目 Esociformes
下位分類
本文参照

カワカマス目学名Esociformes)は、硬骨魚綱の分類群()の一つ。2科4属で構成され、釣魚として知られるノーザンパイクなど少なくとも12種が含まれる[1]パイク目とも呼ばれる。

分布

[編集]

カワカマス目の魚類はすべて淡水魚で、北アメリカシベリアを中心とした北半球に分布し、流れの緩やかな河川・湖に生息する[1]。約12種で構成される小さなグループで、日本には分布していない。カワカマス属の仲間は漁業資源として利用されるほか、釣りの対象魚としても知られている[2]

カワカマス科魚類の化石カナダにおける白亜紀後期(~6,500万年前)の地層から発見されており[2]、現生のカワカマス属も暁新世(6,200万年前)には既に出現していた。白亜紀後期から第三紀にかけて、北アメリカを中心に生物の大量絶滅K-T境界)が生じたが、カワカマス類はこの時期を生き延び、北半球全域に分布を広げたものとみられている[2]。北米以外での化石記録は、中国における始新世前期のものが最初である[1]

形態

[編集]

体型は細長く、カワカマス属の仲間は平たく突き出た(口先)をもつ。脂鰭をもたず、腹鰭は体の中央付近に、背鰭と臀鰭は体の後方に位置する[1]。幽門垂をもたない[1]。頬と鰓蓋はに覆われる[1]

主上顎骨の歯および中烏口骨を欠き、後擬鎖骨は1本[1]。対になった細長い前篩骨をもつ[1]。背鰭・臀鰭の担鰭骨はカワカマス属・ウンブラ属では中央部のみ骨化するが、ダッリア属・Novumbra 属では骨化はみられない[1]

分類

[編集]

カワカマス目はカワカマス科およびウンブラ科の2科4属で構成され、少なくとも12種を含む[1]。本目全体の単系統性には強固な裏付けがなされている一方で、4属それぞれの位置付けには議論がある[3]。ダッリア属および Novumbra 属は従来ウンブラ科に含められてきたが、近年の分子系統解析はこれら2属がむしろカワカマス属に近縁であることを示している[4]。Nelson(2016)の体系では、この見解に基づいたの再編が行われた[1]

現生の2科のほかに、絶滅したグループとして欧州から Palaeoesocidae 科の存在が知られ、Palaeoesox および Boltyshia の2属が暁新世から中新世にかけて生息していたものとみられている[1]

カワカマス科

[編集]
ダッリア属の1種(Dallia pectoralis)。本属はシベリアおよびアラスカに分布する[1]。尾鰭は丸みを帯び、切り立った形状の尾鰭をもつ Novumbra 属、深く二叉するカワカマス属との鑑別点となる[1]

カワカマス科 Esocidae には3属のもと、少なくとも9種が認められている[1]。カワカマス属は側線鱗数や上尾骨数などの違いから、Esox および Kenoza の2亜属に分割される[1]。ダッリア属・Novumbra 属はかつて所属していたウンブラ科から、本科に移された[3]。ダッリア属の2種(Dallia admirabilis, D. delicatissima)は D. pectoralisシノニムである可能性が指摘されている[1]

本科魚類に共通する特徴として、下鰓蓋骨は鎌型で、鰓蓋は切り立った形状を示す点が挙げられる[1]。また、単一の小さな上主上顎骨をもち、鋤骨口蓋骨に強固な歯を備える[1]の放射状突起は少ない[1]

ウンブラ科

[編集]
ウンブラ属の1種(Umbra limi)。カワカマス科に移設された2属とは、各鰭の鰭条数などによって区別される[1]

ウンブラ科 Umbridae は1属3種[1]。北アメリカ中央部~東部、およびヨーロッパ南東部に分布する[1]

特殊な形状をした浮き袋を用いて、空気呼吸が可能[1]。吻は突出せず、尾鰭には丸みがある。カワカマス属と比べ小型の魚類で、体長は最大でも20cm程度。

出典・脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 『Fishes of the World Fifth Edition』 pp.248-251
  2. ^ a b c 『新版 魚の分類の図鑑』 pp.62-63
  3. ^ a b 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.204-206
  4. ^ López JA, Chen WJ, Ortí G (2004). “Esociform phylogeny”. Copeia 2004 (3): 449-464. doi:10.1643/CG-03-087R1. 
  5. ^ 2亜種(E. americanus americanus, E. americanus vermiculatus)を含む
  6. ^ Esociformes”. FishBase. 2016年5月5日閲覧。

参考文献

[編集]

外部リンク

[編集]