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カワラバッタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カワラバッタ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: バッタ目(直翅目) Orthoptera
亜目 : バッタ亜目
Caelifera
下目 : バッタ下目 Acrididea
上科 : バッタ上科 Acridoidea
: バッタ科 Acrididae
亜科 : トノサマバッタ亜科
Oedipodinae
: カワラバッタ属
Eusphingonotus
Bey-Bienko, 1950[1]
: カワラバッタ
E. japonicus
学名
Eusphingonotus japonicus
(Saussure1888)[2]
和名
カワラバッタ

カワラバッタ(河原蝗虫)、学名 Eusphingonotus japonicus は、バッタ科に分類される昆虫の一種[3]。日本のみの固有種である。カワラバッタ属 Eusphingonotus Bey-Benkok, 1950タイプ種であると同時に本属に分類される唯一の種でもある。従ってカワラバッタ属も日本固有の属となる[1][4]

絶滅危惧種の危機があるとされている。

分布

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北海道本州隠岐を含む)、四国九州。日本以外からは知られていない[4][5]

形態

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体長25-30mm内外、40-43mm内外[4]

は胴体、前翅、脚ともに灰青色の斑模様で、河原のによく似た色彩をしている(擬態を参照)[3][4]。時に赤みを帯びた個体も知られる[5]

前胸背板の前半部は細く短い円筒形で2本の溝で横切られ[3]、後半は著しく幅広くなって強く隆起する[4]

は長く、後翅は半透明で、中央に幅広い褐色の半円帯があり、半円帯の内側(翅の付け根側)は鮮やかな青色。この後翅の色彩は飛翔時によく観察される。

は短めで、脛節や跗節(ふせつ)の棘や爪間盤はあまり発達せず、これらの形質は草によじ登るなどの垂直行動には適さず、草地での生息には適応的でないと考えられている[6][4]

生態

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砂礫質の河原に生息し、こぶし大の石ころが目立つ場所で見られる。活発に飛翔し必ず石ころの上に着地する[6]。雌雄ともに後脚を前翅に擦り付けて「カシャカシャ」と発音することがある[6]。幼虫・成虫ともに餌は植物の他に小動物を食す傾向がある。卵越冬の年1化で、成虫は7月から9月にかけて見られる[5][4]

一定面積の広がりを有する砂礫質の河原環境に強く依存しているとされ[7]、河川改修などにより生息環境が減少し、中流域に大きな氾濫原を残す河川以外では見られなくなっている[6][4]。このため多くの都府県のレッドリストに挙げられている。

分類

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  • 原記載
    • 原記載名:Sphingonotus japonicus Saussure, 1888[2]
    • 原記載:Mém. Soc. phys. Hist. nat. Genève. 30(1): 84-85.
    • タイプ産地:「Japonia」(日本)

原記載以降、中央アジアの砂漠などの乾燥した環境に生息する属である Sphingonotus Fieber1852 に分類されてきたが、1950年に胸部や雄の生殖器の形態などに基づいて、本種をタイプ種とする単型のカワラバッタ属 Eusphingonotus Bey-Bienko, 1950が創設され、そこに移された[1]

類似種

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  • 日本産の類似種としては、後翅に褐色の半円帯があるバッタは他にクルマバッタクルマバッタモドキがあるが、いずれも半円帯の内側は黄色味がかっていて青くないことで識別できる。

出典

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  1. ^ a b c Вей-Виенко, Г. Я. (Bey-Bienko, G. Ya. ) (1950). “Сараичевые из рода пустьнниц (Sphingonotus Fieb.) и их ближайшие родичи (Orthoptera, Acrididae)”. Энтомологическое обозрение 31 (1-2): 31(1-2): 198-205 [p.200 (図の説明) , 201(図 1-2), 202(新属の記載文)]. 
  2. ^ a b Saussure, Henrico de (1888). “Additamenta ad Prodrorum Oedipodiorum <insectum ex ordine Orthopterorum>”. Mémoires de la Société de physique et d'histoire naturelle de Genève 30 (1): 1-180, 2 pls. (p.84-85). 
  3. ^ a b c カワラバッタとは”. コトバンク. 2022年3月16日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h 加藤康嗣; 河合正人; 市川顕彦; 冨永修; 村井貴史 (2016-06-14). バッタ目 p.84-162 [図版75-153], p.242-371 in 町田龍一郎(監修)・日本直翅類学会(編) 『日本産直翅類標準図鑑』. 学研. pp. 384 (p.162 [図版153], p.371). ISBN 9784054064478 
  5. ^ a b c 日本直翅類学会(編) (2006-09-25). 『バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑』. 北海道大学出版会. pp. xxxvi + 687 (p.297, 543-544). ISBN 4832981617 
  6. ^ a b c d 宮武頼夫・加納康嗣 編著 (1992-05-31). 検索入門 セミ・バッタ. 保育社. pp. 215 (p.110, 112-113). ISBN 4586310383 
  7. ^ 野村康弘; 倉本宣 (2005). “多摩川におけるカワラバッタの分布状況と生息地間ネットワークに関する研究”. 環境システム研究論文集 (33): 73-78. 

外部リンク

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