カーディナル (航空機)
カーディナル(英語:Cardinal、漢字:紅雀)は、中華民国の国家中山科学研究院(NCSIST)によって開発された小型無人航空機(UAV)シリーズである[1]。
概要
[編集]NCSISTの航空研究所がアメリカ製のRQ-11 レイヴンを参考に開発した偵察用小型UAVであり、以下のようなバージョンが確認されている[1][2][3]。
カーディナルI
[編集]2009年から開発が開始された試作モデルで、2013年に中華民国陸軍で総飛行距離500kmの飛行試験を完了させたと報じられている[1]。重量は2.1kg[1]。
カーディナルII
[編集]2014年12月に存在が公表された発展拡大型で、ペイロード設計・デジタルデータリンク・自動追跡アンテナシステムなどが改良されている[1][4]。主に中隊レベルの野戦部隊が、前線で偵察・情報収集や目標捕捉、弾着観測などに使用することを想定している[4]。また、交通監視や自然環境の調査観測、災害被害状況の調査などの民生目的にも使用できるとされている[5]。
システムは機体・送受信アンテナ・地上制御装置で構成され、制御は完全自律式である[1]。機体システムはモジュラー構造を採用しており、迅速に分解・組み立て・搬送が可能[4]。機体の発進は手投げもしくはカタパルトで行われ、回収は平地へ軟着陸するか、またはパラシュートを展開して降下する形で行われる[1]。機体にはCCDカメラと赤外線カメラが搭載されており、画像はリアルタイムで送信することができる[1]。
カーディナルIII
[編集]2023年3月に公表された改良型[3][6]。海岸線沿いの監視を目的に設計された垂直離着陸機であり[3]、カーディナルIIで指摘された性能不足箇所を解消予定だとされている[6]。
ファイアー・カーディナル
[編集]2019年8月に公表された対地攻撃型[2]。NCSISTの自己資金で開発されたとみられており、NCSISTの担当者は「物体認識や精密照準・追跡技術のテストベッド」であると説明している[2]。機体サイズは全長約1.2m、全幅約1.8mで、重量は約6.8kgとされる[7]。電子光学センサーおよび赤外線センサーと、高度な目標識別システムを搭載しているとみられている[7]。
採用
[編集]中華民国海軍陸戦隊が、5セットのカーディナルIIを調達した[4]。また、2016年には中華民国海軍が機体9機を含む6セットのカーディナルIIを4,650台湾ドル(141万米ドル)で調達した[6]。
仕様(カーディナルII)
[編集]全般
[編集]性能
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j 井上 孝司、竹内 修『軍用ドローン年鑑』イカロス出版株式会社、2016年8月15日、87頁。
- ^ a b c Kelvin Wong (2019年8月16日). “TADTE 2019: NCSIST unveils Fire Cardinal mini-UAV”. janes.com. 2024年11月17日閲覧。
- ^ a b c Eric Cheung (2023年3月14日). “Taiwan unveils its new combat and surveillance drones as China threat grows”. edition.cnn.com. 2024年11月17日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “小型紅雀無人機”. 国家中山科学研究院. 2024年11月16日閲覧。
- ^ “Cardinal Mini Unmanned Aircraft Systems”. NCSIST. 2024年11月17日閲覧。
- ^ a b c “Taiwan military plans Cardinal drones upgrade”. taiwannews.com.tw (2024年7月31日). 2024年11月17日閲覧。
- ^ a b Dave Makichuk (2019年10月23日). “Taiwan builds lethal fleet of kamikaze drones”. asiatimes.com. 2024年11月17日閲覧。