キクタニギク
キクタニギク | ||||||||||||||||||||||||
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キクタニギクの花
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
標準: Chrysanthemum seticuspe (Maxim.) Hand.-Mazz. f. boreale (Makino) H.Ohashi et Yonek. (2004)[1]
広義: Chrysanthemum seticuspe (Maxim.) Hand.-Mazz. (1936)[2] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
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和名 | ||||||||||||||||||||||||
キクタニギク アワコガネギク |
キクタニギク(菊谷菊[8]、学名: Chrysanthemum seticuspe)は、キク科キク属の植物。別名はアワコガネギク、アブラギク[8]、カモメギク[1]。山麓の日当たりのよい草地に生える多年草で、いわゆる野菊の一種[8]。料理に使うアブラギクとは近縁で、観賞用に栽培されるキクの仲間である[8]。中国名は甘野菊(別名:日本野菊)[1]。
分布
[編集]日本(岩手県 - 関東太平洋岸地域、長野県、近畿地方、九州北部)、中国(北部~東北部)、朝鮮半島に分布する[9]。
中国・韓国由来の種子を用いた法面緑化により、日本各地で外来種としても定着している[9]。
特徴
[編集]山地の谷間のやや乾いた崖や、山麓の土手などに生える多年草。茎は叢生し、高さはふつう30 - 60センチメートル (cm) ほどで[8]、盛んに枝分かれする。茎は細く、しばしば直立せずに斜めに立っている[8]。葉は互生、長卵形で深五裂する。栽培菊に似るが、それよりも細かく切れ込み、葉質は薄い[8]。両面に細い毛があり、少し黄色味を帯びた緑色で、つやがない。花期は秋(10 - 11月)。茎の先端に、鮮やかな黄色で1 cm足らずの頭花を多数つける[8]。舌状花は短く多数で、中心の筒状花も多い。そう果には冠毛がない。
日本の研究チームが2019年、キクタニギクのゲノム(全遺伝情報)解読を発表した。栽培菊の品種改良への応用が見込まれている[10]。
食用
[編集]花をつけた茎の頂部を5 - 10 cmほど摘み取って、そのまま天ぷらなどにして食べられる[8]。加熱調理をしても花の色は変わらず、食味は爽やかな香りとほどよい苦みがある[8]。また、春の芽生えと夏場の葉も、天ぷらや油炒めにして食べることが出来る[8]。葉は少し苦みの強いシュンギクのような風味であるが、シュンギクのようなアクはない[8]。若くても繊維が強く、揚げても時間が経つとかたくなってしまうので、花ごと刻んでかき揚げ風にすると時間が経っても食べやすい[8]。
脚注
[編集]- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chrysanthemum seticuspe (Maxim.) Hand.-Mazz. f. boreale (Makino) H.Ohashi et Yonek. キクタニギク(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月9日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chrysanthemum seticuspe (Maxim.) Hand.-Mazz. キクタニギク(広義)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月9日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Dendranthema boreale (Makino) Y.Ling ex Kitam. キクタニギク(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月9日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Dendranthema seticuspe (Maxim.) Kitam. f. boreale (Makino) Kitam. キクタニギク(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月9日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chrysanthemum boreale (Makino) Makino キクタニギク(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月9日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chrysanthemum seticuspe (Maxim.) Hand.-Mazz. var. boreale (Makino) Hand.-Mazz. キクタニギク(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月9日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Dendranthema lavandulifolium (Fisch. ex Trautv.) Kitam. var. seticuspe (Maxim.) C.Shih キクタニギク(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月9日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 吉村衞 2007, p. 124.
- ^ a b アワコガネギク 国立環境研究所 侵入生物DB
- ^ キクタニギクのゲノムを解読、開花に関わる遺伝子探索へ〜栽培ギクの起源を明らかにし、品種改良を加速〜かずさDNA研究所(2019年2月4日)2019年2月12日閲覧。
参考文献
[編集]- 吉村衞『おいしく食べる山野草』主婦と生活社、2007年4月23日、124頁。ISBN 978-4-391-13415-5。
- 林弥栄『山渓カラー名鑑・日本の野草』山と渓谷社、1983年、73頁。ISBN 4-635-09016-7。