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キタカタキンポウゲ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
キタカタキンポウゲ
福島県喜多方市 2021年6月中旬 
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: キンポウゲ科 Ranunculaceae
: キンポウゲ属 Ranunculus
: キタカタキンポウゲ
R. hasunumae
学名
Ranunculus hasunumae Kadota (2019)[1]
和名
キタカタキンポウゲ[1]

キタカタキンポウゲ学名: Ranunculus hasunumae)は、キンポウゲ科キンポウゲ属多年草。2019年新種記載の種[1]。ヨーロッパ原産の帰化植物とする見解もある[2]

特徴

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が地を這う大型の多年草は糸状で、わずかに太く、塊状にはならない。茎の長さは120cmになり、無毛で、根ぎわから分枝し、地上を這い、茎や根出葉の葉柄の基部は濃い紫色を帯びる。枝は斜上し、紫色を帯びて細長く伸長し、節から発根し、基部は前年の葉柄が枯れて繊維状になったものにおおわれる。根出葉は1-2個。葉身は五角形状腎形、長さ10-15 cm、幅13-14.5 cm、両面は無毛でなめらか。3全裂し、中央の小葉は広倒卵形で、長さ幅ともに6-7.5cm、小葉の中央裂片は3浅裂し、幅6-8mmの卵形の鋸歯があり、基部は広心形になる。葉柄は長さ33-35cmになり、無毛で、基部は鞘状で濃い紫色を帯びる。茎葉は3出し、無毛で、長い葉柄がある[1][3]

花期は6月。径25-28mmの鮮黄色のが数個つく。花柄は長さ7.5-19cmあり、無毛で、しばしば紫色を帯びる。花柄につく小苞葉は線形で長さ6-15mm、基部は鞘状になる。片は5個あり、卵形で長さ8mm、幅6mm、舟形で、背面に剛毛があり、開花期に開出する。花弁は5個あり、広倒卵形で、長さ13-14mm、幅9-10mm、爪は長さ1mm、蜜腺は径1mmでコップ状になり、径2-2.5mmの鱗片状の付属体がある。葯は倒狭卵形-長楕円形で、長さ2-3mmになり、背着で外向き、花糸は糸状になる。果実は球形の集合果で、径6mm、長さ8mmになり、果托は毛が多い。痩果は卵形で、長さ3mm、扁平で無毛で平滑、周囲に縁取りがあり、嘴は長さ1.5mmあり、強く反曲する。染色体数2n=4x=32[1][3]

新種記載

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植物学者の門田裕一と三浦憲人は、2019年12月刊行の『植物研究雑誌』第94巻第6号に「日本産キンポウゲ属(キンポウゲ科)の2新種」を発表し、北海道の特産種 セタナキンポウゲ Ranunculus hondanus とともに新種として記載した。キタカタキンポウゲは、門田らによると、茎が地上を這って伸びるようすは、同属のハイキンポウゲ Ranunculus repens L.に似るが、(1)葉は革質で光沢があること、(2)葉裂片には低く平らな鋸歯があり、分裂しないこと、(3)茎や根出葉の基部は濃い紫色を帯びること、(4)痩果の嘴はゆるやかに鉤状に曲がるのではなく、強く反曲するすること、(5)花弁の付属体がより大きく、ハート形の鱗片状の付属体となること、(6)花柄が太く、長く、無毛であることで異なるとしている[1]

分布と生育環境

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日本固有種。福島県喜多方市の特産植物で、2018年6月の調査時には寺院境内地のスギの人工林の林縁に、ドクダミアカネカキドオシシャガ等とともに生育していたという[1]

名前の由来

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和名キタカタキンポウゲは、発見地で特産地の地名から「喜多方金鳳花」の意。

種小名(種形容語)hasunumae は発見者で福島県会津若松市在住の植物研究家、蓮沼憲二への献名である。蓮沼は2016年6月にこのキンポウゲ属の植物を採集し、標本を門田に送付した。門田は2018年6月に蓮沼の案内でこの採集地の現地調査を行い、その際採集されたものがタイプ標本となった[1]

帰化種説

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一方、米倉浩司 (2020)は、YListにおいて、「キタカタキンポウゲ」は、ヨーロッパ原産の帰化種 Ranunculus repens L. var. glabratus DC. (1818) - ハイキンポウゲ(広義)の変種であるとし[2]Ranunculus hasunumae Kadota (2019) は、シノニムの扱いとなっている[4]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ a b c d e f g h Yuichi KADOTA and Norihiro MIURA : Two New Species of Ranunculus ( Ranunculaceae ) from Japan. Ranunculus hasunumae Kadota. sp. nov., The Journal of Japanese Botany, 『植物研究雑誌』Vol.94 No.6, pp.333-341, (2019)
  2. ^ a b キタカタキンポウゲ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)-2021年9月28日閲覧
  3. ^ a b 門田裕一 (2016)「キンポウゲ科」『改訂新版 日本の野生植物 2』pp.154-162
  4. ^ キタカタキンポウゲ(シノニム) 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)-2021年9月28日閲覧

参考文献

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外部リンク

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