キネティック・タイポグラフィ
キネティック・タイポグラフィ(英:Kinetic typography)は、文字を動かしてアニメーションにすることを意味する専門用語である。文字を動かすことにより、特定のアイデアや感情を伝える、または呼び起こすことを目的として、使用される。コミュニケーションデザインやインタラクションデザインコースでよく勉強される。例えば、映画のタイトルやクレジットの表示など、他にもウェブページのアニメーションやその他のメディアでも使用されている[1]。
歴史
[編集]フィルムによる動画の出現で、文字を動かすことが可能になった。1899年にジョルジュ・メリエスが制作した広告で、早くも文字を動かすことが確認できている[2]。初期の映画ではタイポグラフィは使用されていたが、主に静的な文字を順番に表示させるものだった。オープニング・タイトルでキネティック・タイポグラフィ(動的なタイポグラフィ)が使用されるのは、1960年頃まではなかった。最初にキネティック・タイポグラフィが使用された作品は、1959年のアルフレッド・ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」である。ソール・バスがデザインしたこの映画のタイトル表示は、文字が飛んで次第に消えていくアニメーションである。1960年の映画「サイコ」でもバスは同様の技術を使用している[3]。
以降、キネティック・タイポグラフィは映画タイトルの表示やテレビ・コマーシャルで一般的に使われるようになった。
種類
[編集]キネティック・タイポグラフィは、テンポラル・タイポグラフィ(一定時間に表示されるタイポグラフィ)の一種である。
バーバラ・ブローニーのテンポラル・タイポグラフィ・モデルでは、キネティック・タイポグラフィを「モーション・タイポグラフィ」(さらに「スクローリング・タイポグラフィ」、「ダイナミック・レイアウト」に再分割されている)と「フルード・タイポグラフィ」に分割されている。ダイナミック・レイアウトは、文字要素がお互い連動して動く。フルード・タイポグラフィは、場所は動かず字形が変わるものである[1]。
制作
[編集]キネティック・タイポグラフィは、Adobe FlashやAdobe After Effects、Motionなどのアニメーション・プログラムでよくつくられる。CMUデザイン学校の学生は、専用のキネティック・タイポグラフィ・エンジンを作成し[4]、学生にキネティック・タイポグラフィ技法を教育するために使用されている。
脚注
[編集]- ^ a b BARBARA BROWNIE (2007年). “One Form, Many Letters: Fluid and transient letterforms in screen-based typographic artefacts” (pdf). 2010年9月12日閲覧。
- ^ Bellantoni, Jeff and Woolman, Matt, 'Type in Motion', Thames & Hudson, 1999.
- ^ Johnny C. Lee, Jodi Forlizzi, Scott E. Hudson. “The Kinetic Typography Engine:An Extensible System for Animating Expressive Text” (pdf). 2010年9月12日閲覧。
- ^ “Kinetic Typography”. 2010年9月12日閲覧。
外部リンク
[編集]- Kinetic Typography Channel on Vimeo
- Kinetic Typography Channel
- The Kinetic Typography Channel
- Art of the Title — A site that catalogs particularly interesting title sequences, many of which feature kinetic typography
- 15 Stunning Motion Typography Videos
- Kinetic Typography at Typophile
- Top 12 Kinetic Typography Films
- Kinetic Typography Animation Tutorial