キュリー研究所 (パリ)
キュリー研究所(きゅりーけんきゅうじょ、Institut Curie)は、1921年に創設された財団とその運営する研究所及び病院である。前身はラジウム研究所。2021年現在では,パリとオルセー(パリ南西郊外)にキャンパスがある.パリキャンパスには複数の研究棟があり,その一部は高等師範学校と建物を共有している。キュリー研究所の運営は,研究センター(Centre de Recherche)と病院部門(L'Hôpital)の二部門に分かれている.
キュリー研究所は,がんの治療,研究,教育の3つをミッションとして掲げている.
なお,パリ第6大学(ピエール&マリー・キュリー大学)や、かつてイギリスにあったマリー・キュリー研究所などとは異なる組織である。
歴史
[編集]1921年:マリー・キュリーとクラウディアス・リガード(fr)によって設立された(前身はラジウム研究所(fr))。当初はマリー・キュリーの意思により、放射線療法とガン治療の研究を使命としていた。
1995年:細胞生物学、分子生物学、生物物理学、腫瘍学などの基礎研究を行う研究部門(Le Centre de Recherche)が設立された。
1996年:ジャック・プロとピエール=ジル・ド・ジェンヌによって物理化学部門 (Physico-Chimie Curie)が設立される。
研究所部門
[編集]キュリー研究所は,4つの分野とトランスレーショナルリサーチ部門に分かれて活動している。それぞれのユニットは,CNRS ,INSERM,UPMC,Université Paris-Sudのいずれかもしくは複数に所属する.
基礎研究部門では,
- 放射線生物学および腫瘍シグナル学部門(Biologie & Chimie des Radiations, Signalisation Cellulaire et Cancer)
- IMAGERIE TRANSLATIONNELLE EN ONCOLOGIE (LITO)
- SIGNALISATION, RADIOBIOLOGIE ET CANCER
- INTÉGRITÉ DU GÉNOME, ARN ET CANCER
- CHIMIE ET MODÉLISATION POUR LA BIOLOGIE DU CANCER (CMBC)
- 発生生物学及び腫瘍遺伝学部門(Développement, Cancer, Génétique et Epigénétique)
- GÉNÉTIQUE ET BIOLOGIE DU DÉVELOPPEMENT
- DYNAMIQUE DE L’INFORMATION GÉNÉTIQUE
- DYNAMIQUE DU NOYAU
- 腫瘍統合生物学及び腫瘍免疫学部門(Biologie intégrative des tumeurs, immunologie et environment)
- CANCER, HÉTÉROGÉNÉITÉ, INSTABILITÉ ET PLASTICITÉ (CHIP)
- CANCER ET GÉNOME : BIOINFORMATIQUE, BIOSTATISTIQUES ET ÉPIDÉMIOLOGIE
- IMMUNITÉ ET CANCER
- 学際研究ユニット(Physique-Chimie-Biologie multi-échelle et cancer)
- BIOLOGIE CELLULAIRE ET CANCER
- LABORATOIRE PHYSICO-CHIMIE CURIE
- CHIMIE & BIOLOGIE DE LA CELLULE
がある.
トランスレーショナルリサーチ部門では,
- トランスレーショナルリサーチ部門(Département de la recherche translationnelle)
- 臨床研究部門(Recherche clinique)
がある.
さらに研究サポート機関として,
- IPGG(マイクロ流体デバイス)
- SIRIC(基礎研究と臨床研究の橋渡し)
- LabEx(最新技術の利用促進)
がある.
これに加えて,以下の共通利用プラットフォーム CurieCoreTechが設置され,大型機器や特殊な実験を用いた解析サポートを提供している
- バイオインフォマティクス
- バイオオフェニックス
- バイオイメージング
- 化学ライブラリ
- CRISPR
- サイトメトリー(パリ,オルセー)
- 放射線
- ゲノミクス
- 組織学
- 実験動物
- プロテオミクス
- メタボロミクス
- マルチモーダルイメージング
- 次世代シーケンス
- プレクリニック
- 組み換えタンパク質
- シングルセル
- 組み換え抗体
病院部門
[編集]キュリー研究所の運営する病院には,
- パリ病院(パリキャンパスに隣接)
- 陽子線治療センター
- サンクラウド病院
- キュリー-モンスリール胸部疾患センター
- 免疫療法センター
がある。
ノーベル賞受賞者
[編集]当研究所関係者によるノーベル賞受賞歴を記す。
- ピエール・キュリー:1903年物理学賞
- マリー・キュリー:1903年物理学賞
- マリー・キュリー:1911年化学賞
- イレーヌ・ジョリオ=キュリー:1935年化学賞
- フレデリック・ジョリオ=キュリー:1935年化学賞
- ピエール=ジル・ド・ジェンヌ:1991年物理学賞
- ポール・ナース:2001年生医学賞
著名な在籍者
[編集]- ピエール・キュリー:ノーベル物理学賞
- マリー・キュリー:ノーベル物理学賞、ノーベル化学賞
- クラウディアス・リガード(fr):医学者、生物学者
- ウィリアム・デュアン (物理学者)
- 山田延男:日本の物理学者
- イレーヌ・ジョリオ=キュリー:ノーベル化学賞
- フレデリック・ジョリオ=キュリー:ノーベル化学賞
- マルグリット・ペレー:物理学者、フランシウムを発見
- エルネスト・サバト:アルゼンチンの作家、物理学者
- fr:Jean Teillac:物理学者
- ピエール=ジル・ド・ジェンヌ:ノーベル物理学賞
- エレーヌ・ランジュヴァン=ジョリオ(fr):物理学者、ジョリオ=キュリー夫妻の長女
- ジャック・プロ:科学アカデミー (フランス)会員、物理学者
- ジャン=フランソワ・ジョアンニ(fr):物理学者
- fr:Constant Burg、放射線医学者、生物学者
- クロード・ユリエ(fr):生物学者、元老院 (フランス)
- ピエール・タンブラン(fr):物理学者
- ジャン=ルイ・ヴィオヴィ:フランスの物理化学者、Fluigentの創業者
- ポール・ナース:ノーベル生医学賞、キュリー研究所国際科学諮問委員会委員長[1]