キルル
キルルは、吉崎観音作の漫画『ケロロ軍曹』およびそのアニメ版・映画『超劇場版ケロロ軍曹』に登場する架空のキャラクターである。
概要
[編集]人造ケロン人。古代ケロン人の造ったものとその技術を現代のケロン人が用いて作り出したものが存在する。
映画版とテレビ版と原作版で、ケロロ小隊が初めて会ったキルルは異なっており(映画版ではキルル、テレビ版ではキルル.、原作版ではX-5.5)、映画版とテレビ版と原作の関係をあらわす存在でもある。
一部のキルルには、暴走などを防ぐために、OSが設けられている。
- ミララ:『超劇場版ケロロ軍曹』の「キルル」のOS
- ミロロ:『深海の迷子たち』の「キルル」のOS
- ミルル:『超劇場版ケロロ軍曹3』の「キルル」(第3のキルル)のOS
劇場版におけるキルル
[編集]超劇場版の「キルル」
[編集]映画『超劇場版ケロロ軍曹』に登場したキルルについて解説する。
概要
[編集]正式名称は「自動判別型究極侵略兵器【キルミラン】」の"実行する者"。初期段階はケロン人の姿をしているが、巨大化して惑星制圧を行う。
過去
[編集]作者である吉崎観音の『超劇場版ケロロ軍曹』の草案によると、キルルの戦闘力はケロン軍のアサシン兵を遥かに上回る。彼らの最も恐るべき所は侵略対象の住人に同化し極めて閉鎖した思考性を持つ「個体」とすることで、互いの種族性を破壊させて争わせて滅亡に追い込むところである。
アニメ第128話でギロロ伍長達が話していた事によると、キルルは古代ケロン人が作り出した最悪の侵略兵器で、一度動き出せば侵略するどころか惑星の全生物を死滅させその惑星を滅ぼすのである。既に138個ものの惑星を滅ぼしている。
6500万年前に恐竜が絶滅した頃に、ケロン軍が地球侵略のために製造したもので、人類は出現しておらず、そこに住んでいた恐竜が地球人類だと認識し、恐竜たちが狂暴性の高い種族であったため、キルルの戦闘力がこれに合わせて設定された。彼等の同化により、一部の恐竜は思惑通りの暴走を始める。
しかし当時のケロン科学力でもキルルの性能の全てを掌握しきれておらず、キルルの力で恐竜たちが異常進化を起こしてしまい高い知能を獲得してしまう。逆に彼らが地球を拠点とした凶悪な宇宙侵略計画を企て始めてしまう。これを受けたケロン軍はこのままだと地球や自分達の星はおろか宇宙規模での大惨事を引き起こしかねないと判断し、宇宙意志の裁決によって断罪者のアンゴル族に「黙示録」の依頼を出した。この結果アンゴル=モアの母であるアンゴル=ティアによって「黙示録」が発動され、その余剰効果で6500万年前に恐竜が絶滅した。
これによって宇宙侵略は阻止され、事なきを得る。そしてケロン軍は「新生地球人の誕生、再出発」を待つため、地球侵略を一端中断したのである。その後、キルルは強化された「宇宙侵略法」により大変危険な兵器であると判断され、消去は不可能であったため地球のある場所に永久封印された。
劇中での活躍
[編集]奥東京市の祠に封印されていたが、ケロロが祭られていた壺を誤って割ってしまい封印を解いた。初期段階における色は白で、おでこに緑、腹に赤の×マーク。
人間に×マークをつける。×マークのついた人は他人とテレパシーで会話できる。キルルが精神操作を行うことで人間不信に陥ってしまう危険性がある。それによって出来た憎しみや不信感をエネルギーにして巨大化する。
エネルギーをより吸収すると巨大なタワー状に変形する。大量の触手を張り巡らし、初期段階のキルルを量産して惑星制圧を行う。この状態が長時間続くと、その惑星は「星の死体」となってしまう。
いかなる攻撃も通用しない。倒す方法は強く信じ合う心と友情など、プラスのエネルギーの持つ者が「自動判別型究極侵略兵器【キルミラン】」の"審判を下す者"であるミララから封印の方法を教えてもらうしかない。
地球人とケロロ小隊の活躍で、タワー状になったキルルの内部にあった鍵穴に鍵状に変化したミララを挿し込んだ事で再び封印された。超劇場版の第2弾にも、2代目のキルルが登場している(後述)。
キルル南太平洋
[編集]キルル南太平洋(キルルみなみたいへいよう)は、『超劇場版ケロロ軍曹2 深海のプリンセスであります!』に登場したキルル。声優はキルル.の声を担当した藤田圭宣。
前作の『超劇場版ケロロ軍曹』に登場したものの2体目に当たる。初代よりも数倍体が大きい。初期段階のケロン人の姿ではなく、巨大化した時の姿で登場した。そこに偶然居合わせた貨物船を沈めようとしたが、メールとマールによって倒された。小説版では「キルル(二代目)」と表記されている。
第3のキルル
[編集]第3のキルル(だい3のキルル)は『超劇場版ケロロ軍曹3 ケロロ対ケロロ天空大決戦であります!』で存在が明かされたキルル。マチュピチュの地下で眠っていた第3のキルルをケロロが起動させたことによりオリジナルのケロロのデータを読み取りダークケロロを作り出す。ダークケロロののっていた空中都市そのものが第3のキルルであった。ケロロと冬樹たちの絆の前に敗北を悟ったダークケロロによって封印された(小説版では完全に破壊されたと推測されている)。
原作版におけるキルル
[編集]キルル(劇場版の草案)
[編集]原案では地球に封印されていたのではなく宇宙警察の最中央部深くに封印されていたキルルが何らかの原因で突然地球に向けて射出されたという設定だった。この時は「物体X(仮)」と記されていた。地球への侵入方法は地球圏内に近付くにつれ、封印装甲を切りはずしながら極小のコアを解放して地球圏内に侵入した。
特別編として原作13巻にも登場し、ガルル小隊と死闘を繰り広げた。その時は最終形態である超巨大タワー状の姿だった。ガルル中尉が「キルミランデリーター」という対キルル用の兵器でとどめを刺した。
その後、X-5.5(ブラックキルル)出現時に、ガルルから聞いたとして、ギロロがこのキルルのことを想定していた。
X-5.5(エックス・ゴーゴー)
[編集]原作第137話で登場。ケロン軍本部から地球に送られた単独活動兵器。「X-5.5」は仮コード。クルルによると、このキルルは桁外れの軍事力を誇る「Xシリーズ」のひとつであり、原始星を一方的に制圧するためにケロン軍が莫大な費用をかけて開発していたものである。しかし宇宙侵略法が強化され、使えなくなってしまった。ケロロ小隊は第四種警戒態勢を敷いて戦闘にあたったが、あっさりと敗れた。最後はモアの「祝歌黙示録撃」で倒れ、再起動した。クルルの話によると、上記と下記に紹介したキルル (X) のほかにも、もう一体いることが判明している(原作第137話より)。このキルル (X) は暗殺兵のような姿をしている。
本部が地球に送った目的は小隊へのプレゼントとして「すももの人形」を贈ることであり、キルルはその「パッケージ」であったが、同時に戦闘によって小隊の士気を高めるという目的もあった。この点は原作より後述のアニメ版において強調されている。
長編『深海の迷子たち』の「キルル」
[編集]初出は原作第164話。登場時の姿は劇場版第2作と同じ巨大化した姿。ただしメールの支配下に置かれている。種族衰退によって過去の輝きを失ったマロン人の侵略計画で地球に侵攻したメールとマールによって発見された。メールらが地球を侵略するためにケロン人を偽ってキルミランシステムを発動、その結果異常動作を起こす。その後ケロロ小隊らとの戦闘、ケロロ軍曹による「超☆隊長命令」によって無力化しケロン人サイズに戻った。騒動終結後はケロロにメールとマールの護衛を命じられ、共に旅立った。
テレビアニメ版におけるキルル
[編集]キルル.
[編集]キルル.(キルルドット)は、アニメ第128話・129話に登場したキルル。声優は藤田圭宣。
ケロン軍の侵略カウンターの中で育ったキルルである。古代兵器「キルミラン」の配合体で、アップグレード版。冬樹が「ケロロ小隊が地球から撤退しないように」とおギロ様(おゲロ様のスペア)に願をかけ、その御利益で侵略カウンターが雷を受けて停止した副作用で出現したが、実際には1週間早まっただけでいずれは出現する兵器だった。
超劇場版のキルルは「キルキル…」としか話さなかったが、このキルル.は言葉も話す(一言だけ「デンドロ…」と喋った)。容姿が劇場版のオリジナルと違っており、幼年体に近い配色になっていて、目は赤、おでこと腹に×の上に・がついているマークが存在し、尻尾が生えている。また、正しい名前は「キルル.」であるが、カウンターが「マッシュ」と呼ばれていたので、このキルル.も「マッシュ」と呼ばれていた。他の生命体に△のマークをつけ、その生命体から優柔不断のエネルギーを吸収して成長する。エネルギーを放出して誰かを優柔不断にさせると、その相手に△マークがつく。
しかし不良品であったため、代わりにキルルX-52が送り込まれた。その際に来たケロン軍の母艦の者がキルル.をケロン星に持って帰り処分しようとするが、仲良くなったケロロは拒否する。しかし母艦は1時間以内にキルル.を引き渡せといい、残り時間が少なくなったとき、ケロロは時間延長を母艦に懇願するが、ケロロの優柔不断さをキルル.が吸収し、そのエネルギーが大きすぎて吸収できる量の限界を超えたためにすべて放出した。そのエネルギーを浴びたケロン軍の母艦に乗っていたケロン人とキルルX-52が優柔不断になったためケロロ小隊の撤退は取りやめになり、結果的に地球とケロロ小隊を救う形になり、侵略期限もうやむやとなった。またキルル.はケロン星に連れて行かれたが処分はされず(クルルによると、優柔不断になった本部の奴らにそんな決断は出せるはずがない)、その日から全宇宙の半数の宇宙人たちが優柔不断になったといわれている。
キルル バージョンX-52
[編集]キルル バージョンX-52(キルル バージョンてんごーにー)は、アニメ第129話に登場した黒いキルル。通称「キルルX-52」。目は緑で、成年体に近く、おでこに白丸の中に×のマーク、腹には黒丸の中に×のマークが付いている。ケロン軍が侵略カウンターとして送った不良品のキルル.の代わりのキルル。不信感やトラウマを抱いているなど精神状態がよくない者に×マークをつけ、その者をコントロールする、最後はキルル.に△マークをつけられ、母艦と共にケロン星へと帰っていった。
第230話の「キルル」
[編集]キルルは、アニメ第230話Bパートに登場したキルル。声優は藤田圭宣。
超劇場版と同名で登場しているが、外見がやや異なる。体色は紫色で、口と腹部が黄色。額と腹部に黒色の×マークがある。
ケロン軍の研究施設で開発中の戦闘ロボット(試作品)として登場。施設を脱走して行方不明になり、幼年期のケロロらの秘密基地に入ってしまい、暴走状態で暴れまわっていた(なお、発見直前に、当時のケロロらと対立していた上級生がキルルの場所を研究員に密告している場面があるが、これは同話に登場した別のロボット「キカカ」の額の部分がキルルと似ていたことで、キルルだと勘違いしたことによる)。最終的には、ケロロらに対して襲い掛かってきたところを前述のキカカが防いでくれて、キカカ自身のジェット噴射のような機能でキルルを抑えたまま空高くに上がっていった。その後は不明だが、キルルは残骸となって森で回収されている。
キルル バージョンX-55
[編集]担当声優は藤田圭宣。原作に登場したX-5.5(エックス・ゴーゴー)のアニメ版。
アニメでは第243話で登場。コードも変更され、小数点のない「X-55」として登場している(エンディングのクレジットは「キルルX-55」)。「Xシリーズ」といった用語や「原始星を一方的に制圧するための兵器」といった設定はなく、アニメで登場した「キルル.」や「キルルX-52」よりバージョンアップされた新型であるという設定がある。
キルルシステム
[編集]アニメ第300話で登場。キルルの試作機にあたり(クルル曰く「博物館級のシロモノ」)、ケロン人形態はなく最初から高さ数メートルのタワー形態になっている。オノノ少尉が性能実験のために携帯していたものを起動した結果、侵略へのやる気が失せていたケロロ小隊を操り、非情な戦士へと変えてしまう。最終的に最上部にあった核をオノノ少尉に撃ち抜かれ機能停止する。