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クサリク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カルケミシュで見つかったヒッタイトのレリーフ。右側で槍を持っているのがクサリク。左は獅子頭の怪物ウガルルム

クサリク(Kusarikku)は古代メソポタミアの神話上の怪物。人間の上半身に雄牛の耳、角、後肢をもつ。 [1]二足歩行する姿で描かれ、悪意のある侵入者から住民を守る門番とされる。

後期にはバケツ(banduddû )を持つ姿で描かれる。また、 メリシパクの石碑では踏み鋤(シャベルの一種)を持って描かれている。 [2]

神話

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クサリクが登場する神話

グデア王の円筒碑文Aには、エニンヌ神殿に「牛人間を据えた」との記述がある[4] 。古バビロニア時代以降は、ウトゥ神(シャマシュ)の従者ともされた[5]

魔の女神ラマシュトゥの邪眼に対する呪文や、泣いている子供をなだめるための呪文では、クサリクは「怒るもの」「恐ろしいもの」と表現される。 [6]悪霊の影響を防ぐ七賢者アプカルルの一人とされる。ウガルルム、蠍人間のギルタブルルなどと並んで、新アッシリア帝国の宮殿のレリーフや置物に見られる。 [7]

クサリクの星座はケンタウルス座の一部に対応する。

メソポタミアにはオーロックスバイソン水牛の3種の有蹄動物がいたが、過去の碑文でこれらのどれが表されているかは定かではない。 [8]シュメール語の語のgud-alim(牛人間)とalim(人面牛)には区別があったとされる。 [9]

脚注

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  1. ^ Dietz Otto Edzard, ed (1999). “Mischwesen”. Reallexikon der Assyriologie und Vorderasiatischen Archäologie: Meek - Mythologie, Volume 8. Walter De Gruyter. p. 225 
  2. ^ F. A. M. Wiggermann (2007). “The Four Winds and the Origin of Pazuzu”. In Claus Wilcke. Das geistige Erfassen der Welt im Alten Orient Sprache, Religion, Kultur und Gesellschaft. Harrassowitz Verlag. p. 154  kudurru BM 90829.
  3. ^ a b 岡田・小林(2008)p.289
  4. ^ 岡田・小林(2008)p.286
  5. ^ 岡田・小林(2008)p.290
  6. ^ K. Van Der Toorn (1999). “Magic at the cradle: A reassessment”. In I. Tzvi Abusch, K. Van Der Toorn. Mesopotamian Magic: Textual, Historical, and Interpretative Perspectives. Styx. p. 143 
  7. ^ Tally Ornan (1993). “The Mesopotamian Influence on West Semitic Inscribed Seals: A Preference for the Depiction of Mortals”. In Benjamin Sass, Christopher Uehlinger. Studies in the Iconography of Northwest Semitic Inscribed Seals: Proceedings of a symposium held in Fribourg on April 17-20, 1991. Vandenhoeck & Ruprecht. p. 56 
  8. ^ Herman L. J. Vanstiphout, Jerrold S. Cooper (2004). Epics of Sumerian Kings: The Matter of Aratta. Brill Academic Pub. p. 163 
  9. ^ Claudia E. Suter (2000). Gudea's Temple Building: The Representation of an Early Mesopotamian Ruler in Text and Image. Styx. p. 65 

参考文献

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  • 岡田明子・小林登志子『シュメル神話の世界』中央公論新社〈中公新書〉、2008年。ISBN 9784121019776 

関連項目

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