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クトナホラ石

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クトナホラ石
南アフリカ共和国北ケープ州のウェッセルズ鉱山で産出したもの(大きさ:4.4 x 4.2 x 1.9 cm)
分類 炭酸塩鉱物
シュツルンツ分類 5.AB.10
Dana Classification 14.2.1.3
化学式 CaMn2+(CO
3
)
2
結晶系 三方晶系
対称 R3
単位格子 330.60 ų
モル質量 215.0 g/mol (端成分)
晶癖 葉片状結晶が集合
へき開 Perfect on {1011}
断口 亜貝殻状
粘靱性 脆い
モース硬度 3.5–4
光沢 鈍いガラス質
白色、淡桃色または明茶色
条痕 白色から淡桃色
透明度 半透明
比重 3.12
密度 3.10–3.12
光学性 一軸 (-)
屈折率 no = 1.710–1.727,
ne = 1.519–1.535
複屈折 0.191–0.192
溶解度 酸に可溶
文献 [1][2][3][4]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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クトナホラ石またはクトノホラ石(Kutnohorite)は、カルシウムマンガン炭酸塩鉱物で、マグネシウムを含む。苦灰石グループ鉱物である。苦灰石アンケル石共生している。端成分はCaMn2+(CO3)2であるが[5]、Mn2+はFe2+やMgに置き換わることが多く、マンガン含量は、38%から84%であるため[1]、Ca(Mn2+,Mg,Fe2+)(CO3)2と書いた方が実態をよく表している。1901年に、チェコ共和国中央ボヘミア州クトナー・ホラに因んで、Bukowsky博士により名付けられた[6]。元々は"kutnahorite"と綴っていたが、現在では国際鉱物学連合により、"kutnohorite"という綴りで承認されている。

苦灰石グループ

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単位胞

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単位胞(Z=3)ごとに3つの式単位があり、辺の長さは、aが約4.9 A、cが16 Aから17 Aとされるが、次のように、情報源によって、わずかに値が異なる。

a = 4.915 Å, c = 16.639 Å [1]
a = 4.8518(3) Å, c = 16.217(2) Å [3][4]
a = 4.85 Å, c = 16.34 Å [2]

構造

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苦灰石グループの他の鉱物と同様に、三方晶系で、空間群は、R3である。結晶軸の長軸cと垂直な(CO3)2の層となっており、これらの層の間に、カチオンCa2+とMn2+の層が位置する[1]。もしカチオン間に完全な序列があれば、これらは異なる層に分離し、c軸に沿って、次のような順序付けが発生する[1]。 Ca–(CO
3
)–Mn–(CO
3
)–Ca–(CO
3
)–Mn–(CO
3
)–

しかし、全ての標本がこのような順序を示すわけではない[7]

光学的な性質

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クトナホラ石は、白色、淡いピンク色、または明るい茶色に見える。ピンク色の色調は、マンガンの増加、茶色は鉄の増加に起因する。白色からピンク色の条痕を持つ半透明で、ガラス質で鈍い光沢を持つ。一軸性で、屈折率は苦灰石と近く、NO = 1,710 - 1.727、Ne = 1,519 - 1.535である。NOの値は、スピネル(1.719)と比べると高い。

物理的な性質

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クトナホラ石は、白色、淡いピンク色、または明るい茶色の単結晶翼の集合体として産出する。また、曲面を持つ単純な菱面体晶、多結晶球体、さらに塊状や粒状として存在する。炭酸塩鉱物に典型的な菱形の完全へき開である。脆く、亜貝殻状の断口を持つ。また非常に柔らかく、モース硬度は3.5から4と、方解石蛍石の間である。比重は3.12と、苦灰石や方解石よりも密度が高い。全ての炭酸塩鉱物と同様に、酸に可溶である。

発生

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菱マンガン鉱アラレ石、方解石等と関連し[4]、典型的には、マンガン堆積物中で生成する。著名な産地としては、イタリアトスカーナ州やチェコのクトナー・ホラがある。恐らくコソボのトレプカ鉱山でも産出している[4]コロラド州ユアレイ郡エルドラド鉱山では、石英や苦灰石の一部を覆う小さな白色の結晶として産出する[8]長野県龍島鉱山では、マグネシウムを含むものが石英や菱マンガン鉱とともに産出する[9]模式産地はクトナー・ホラで、模式標本は、アメリカ合衆国のハーバード大学に保管されている[4]

出典

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  1. ^ a b c d e Gaines et al (1997) Dana’s New Mineralogy Eighth Edition. Wiley
  2. ^ a b Kutnohorite Mineral Data”. Webmineral.com (2014年). 8 August 2022閲覧。
  3. ^ a b Kutnohorite (英語), MinDat.org, 2022年8月8日閲覧
  4. ^ a b c d e Kutnohorite”. Handbook of Mineralogy. Mineral Data Publishing (2005年). 8 August 2022閲覧。
  5. ^ IMA Mineral List with Database of Mineral Properties”. 2022年9月8日閲覧。
  6. ^ Frondel, Clifford and Bauer, L H (1955), Kutnahorite, a manganese dolomite, CaMn(CO
    3
    )
    2
    . American Mineralogist 40: 748
  7. ^ Peacor, D R, Essene, E J and Gaines, A M (1987) Petrologic and crystal-chemical implications of cation order-disorder in kutnahorite. American Mineralogist 72:319
  8. ^ Rocks & Minerals (2009) 84-5:423
  9. ^ Akio Tsusue (1967) Magnesian Kutnahorite from Ryujima Mine, Japan. American Mineralogist 52:1751

外部リンク

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