クロカタゾウムシ
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クロカタゾウムシ Pachyrhynchus infernalis | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Pachyrhynchus infernalis Fairmaire, 1879 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
クロカタゾウムシ (黒堅象虫) |
クロカタゾウムシ(黒堅象虫、Pachyrhynchus infernalis)は ゾウムシの一種でゾウムシ科カタゾウムシ属に属する。
特徴
[編集]体長11~15mm[2]。カタゾウムシ属(Pachyrhynchus)は鮮やかな光沢を放つ模様を持つことでよく知られる[3][4]が、本種は模様のない漆黒の体色を呈する。
カタゾウムシ属は日本の八重山諸島からオーストラリアまで分布するが、特にフィリピンから多くの種が知られている[5][3][4]。本種の日本における分布域はカタゾウムシ属の分布の北限にあたるため[5][6]、本種が現在日本において生息が確認できるカタゾウムシ属唯一の種となっている[7]。
本種が属するカタゾウムシ属 Pachyrhynchus は非常に硬い外骨格を持つことで知られ、本種もその例に漏れない。その硬さは標本作成用のステンレス製の針が刺さらずに曲がってしまうほどであるという[3]。
クチクラの強度とひきかえに飛翔能力を喪失しており、左右の前翅は癒合して開くことができなくなり、後翅は退化している[3][6]。また、本種をはじめとするゾウムシ上科の外骨格の強度は共生微生物ナルドネラ Nardonella の合成するチロシンによるものであることが明らかになっている[6]
食草としてカンコノキが知られる[2]ほか、マンゴーに対する食害が報告されている[8]。
脚注
[編集]- ^ 吉竹啓 (2017). “フィリピン産カタゾウムシ属(鞘翅目ゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科)の6新タクサの記載と1新参異名 Six New Taxa and a New Synonym of the Genus Pachyrhynchus GERMAR (Coleoptera, Curculionidae, Entiminae) from the Philippines”. Elytra. New series 7 (1): 247-263 2020年12月31日閲覧。.
- ^ a b 林匡夫、森本桂、木元新作『原色日本甲虫図鑑』 4巻、保育社、1984年、282頁。
- ^ a b c d 川上洋一『世界珍虫図鑑』人類文化社、2001年、112-113頁。
- ^ a b 丸山宗利『きらめく甲虫』幻冬舎、2015年、52-59頁。
- ^ a b Anita Rukmane (2016). “SIX NEW SPECIES OF THE GENUS PACHYRHYNCHUS GERMAR, 1824 (COLEOPTERA: CURCULIONIDAE) FROM THE PHILIPPINES”. Acta Biologica Universitatis Daugavpiliensis (1): 77-89. ISSN 1407-8953 2020年12月31日閲覧。.
- ^ a b c “ゾウムシが硬いのは共生細菌によることを解明 -チロシン合成に特化し、外骨格の硬化・着色に必須な共生細菌-”. 産総研 (2017年9月19日). 2020年12月31日閲覧。
- ^ 鈴木茂 (2020年). “日本列島の甲虫全種目録 (2020年) - 129.9 Subfamily Entiminae Schönherr, 1823 / クチブトゾウムシ亜科”. 2020年12月31日閲覧。
- ^ 大城安弘 (1991). “マンゴーを加害するクロカタゾウムシ Pachyrhynchus infernalis Fairmaire について, Studies on the Pachyrhynchus infernalis affecting Mangifera indica in Ishigaki Island.”. 沖縄農業 1・2: 19 -23. ISSN 1344-1477 2020年12月31日閲覧。.