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クロホシマンジュウダイ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クロホシマンジュウダイ属
クロホシマンジュウダイ Scatophagus argus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
: クロホシマンジュウダイ科 Scatophagidae
: クロホシマンジュウダイ属 Scatophagus
学名
Scatophagus
Cuvier in Cuvier and Valenciennes, 1831
シノニム
英名
spotted scats

クロホシマンジュウダイ属 (Scatophagus) は、クロホシマンジュウダイ科の下位分類群の1つ。インド太平洋に分布する。

分類

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1766年にカール・フォン・リンネによってインドから記載され、後にタイプ種に指定されたChaetodon argusとともに、1831年にフランス動物学者であるジョルジュ・キュヴィエによって初めて正式に属として記載された。属名は「skatos(糞)」と「phaga(食べる)」の合成語である。糞を食べる種がいることに由来するといわれるが、この行動は実際には観察されていない[1]

下位分類

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2種が分類されている[2]

イタリア北部のモンテ・ボルカにおいて、始新世中期のテチス海の地層から発見された Eoscatophagus frontalis Tyler & Sorbini, 1999[3] は、かつて本属に分類されていた[4][5]

Eoscatophagus frontalis の化石。イタリアの博物館で展示されている。

形態

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体は強く側扁した長方形で、頭部背側の輪郭は急に上昇しており、吻部は丸い。口は小さく水平で、小さな剛毛のような歯が数列並んでいる。口蓋に歯は無い。背鰭は11 - 12棘と16 - 18軟条から成り、棘は平らに横たわっており、棘条部と軟条部の間には深い切り込みがある。臀鰭は4棘と13 - 16軟条から成り、胸鰭は小さく、16 - 17条から成る。尾鰭は截形か、弱く湾入し、幼魚では丸い。頭と体は小さな鱗で覆われており、背鰭と臀鰭の軟条部分に達する。鰓蓋骨には棘や鋸歯は無い。体色は銀色または緑がかった色で、暗色の斑点や帯が入る[6]S. tetracanthusは全長30 cm、クロホシマンジュウダイは全長38 cm[2]

分布と生態

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東アフリカの海岸から東は西太平洋、北は日本、南はオーストラリア、東はソシエテ諸島までのインド太平洋に分布する[2]。クロホシマンジュウダイはマルタ沖に移入しており、フロリダ沖でも時折記録される[7]汽水域河川など、沿岸部の保護された場所に生息する。小型無脊椎動物デトリタス藻類など様々なものを食べる雑食性[6]。背鰭棘には毒腺があり、刺されるとひどく痛み、痛みは数時間続く場合もある[7]

人との関わり

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刺網や罠を使って捕獲され、生または塩漬けで販売される[6]。香港の活魚市場で売られており、伝統的な中国医学でも使用される[2]。観賞魚としても取引される[8]

脚注

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出典

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  1. ^ Order Acanthuriformes (part 2): Families Ephippidae, Leiognathidae, Scatophagidae, Antigoniidae, Siganidae, Caproidae, Luvaridae, Zanclidae and Acanthuridae”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara (12 January 2021). 21 April 2024閲覧。
  2. ^ a b c d Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2024). Species of Scatophagus in FishBase. April 2024 version.
  3. ^ Tyler, J.C. & Sorbini, C. 1999. Phylogeny of the fossil and recent genera of fishes of the family Scatophagidae (Squamipinnes). Boll. Mus. Civ. Stor. Nat. Verona 23 pages 353–393
  4. ^ L. Agassiz. 1842. Recherches Sur Les Poissons Fossiles. Tome IV (livr. 14). Imprimerie de Petitpierre, Neuchâtel 205-291 (French)
  5. ^ Karl Albert Frickhinger: Fossilien Atlas Fische, Mergus-Verlag, Melle, 1999, ISBN 3-88244-018-X
  6. ^ a b c Scatophagidae”. FAO Species Identification Sheets. FAO. 21 April 2024閲覧。
  7. ^ a b Schofield, P.J. (2021年). “Scatophagus argus (Linnaeus, 1766)”. Nonindigenous Aquatic Species Database, Gainesville, FL. U.S. Geological Survey. 21 April 2024閲覧。
  8. ^ Scatophagus argus”. Tropical Fish Hobbyist Magazine (April 2004). 21 April 2024閲覧。

関連項目

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