クロボウズギス科
クロボウズギス科 | |||||||||||||||||||||||||||
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オニボウズギス Chiasmodon niger
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Swallowers | |||||||||||||||||||||||||||
下位分類 | |||||||||||||||||||||||||||
本文参照
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クロボウズギス科(学名:Chiasmodontidae)は、スズキ目ワニギス亜目に所属する魚類の分類群の一つ。オニボウズギス・クロボウズギスなど、中層遊泳性の深海魚を中心に4属15種が所属する[1]。科名の由来は、ギリシア語の「chiasma(交叉)」と「odous(歯)」から[2]。
分布
[編集]クロボウズギス科の魚類はすべて海水魚で、大陸から遠く距離を置いた外洋の深海に幅広く分布する。海底から離れた中層を遊泳して生活する種類が多く、主に中深層から漸深層(水深200-3,000m)にかけて報告されている。
形態
[編集]クロボウズギス科の魚類は一般にやや細長く、体長は20cm前後の種類が多い。口腔から胃にかけて、消化管の伸縮性は著しく高い。このため、自らの大きさをはるかに上回る獲物を捕食し、飲み込むことが可能となっている。同様の特徴はフウセンウナギ科(フウセンウナギ目)・ミズウオ科(ヒメ目)および多くのチョウチンアンコウ類(アンコウ目)にも認められる[3]。
クロボウズギス属の仲間は、発光器による生物発光を行う。発光器を口の中にもつ種類もあり、獲物の誘引に使用されている可能性がある[4]。
背鰭は2つあり、7-8本の棘条からなる前半部と18-29本の軟条部に分かれる。臀鰭は1棘17-29軟条。前上顎骨・主上顎骨は細長く、後方で硬く結合する[1]。前上顎骨の先端は背側に拡張するとともに側方に分岐する[1]。椎骨の数は33-48個。
分類
[編集]クロボウズギス科にはNelson(2006)の体系において4属15種が認められている一方で[1]、分類の見直しや新種の報告も相次いでいる。本稿では、FishBase[2]に記載される32種についてリストする。
本科はかつてスズキ亜目に含められたこともあるが[5]、現在ではワニギス亜目に位置付けられるのが一般的となっている。
- オニボウズギス属 Chiasmodon
- クロボウズギス属 Pseudoscopelus
- ウロコクロボウズギス Pseudoscopelus scutatus
- クロボウズギス Pseudoscopelus sagamianus
- Pseudoscopelus albeolus
- Pseudoscopelus altipinnis
- Pseudoscopelus aphos
- Pseudoscopelus astronesthidens
- Pseudoscopelus australis
- Pseudoscopelus bothrorrhinos
- Pseudoscopelus cephalus
- Pseudoscopelus lavenbergi
- Pseudoscopelus microps
- トウマルクロボウズギス Pseudoscopelus obtusifrons
- シタバクロボウズギス Pseudoscopelus odontoglossum
- Pseudoscopelus parini
- Pseudoscopelus pierbartus
- Pseudoscopelus scriptus
- Pseudoscopelus stellatus
- Pseudoscopelus vityazi
- トゲボウズギス属 Dysalotus
- トゲボウズギス Dysalotus alcocki
- カクシトゲボウズギス Dysalotus oligoscolus
- ワニグチボウズギス属 Kali
- ワニグチボウズギス Kali indica
- Kali caribbaea
- ジャグチボウズギス Kali colubrina
- Kali falx
- Kali macrodon
- コワモテワニグチボウズギス Kali macrura
- Kali normani
- Kali parri
出典・脚注
[編集]- ^ a b c d 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.403-404
- ^ a b “Chiasmodontidae”. FishBase. 2010年2月14日閲覧。
- ^ 『Deep-Sea Fishes』 p.152
- ^ 『深海の生物学』 p.306
- ^ Gosline WA (1971). Functional morphology and classification of teleostean fishes. Honolulu: University Press of Hawaii
- ^ “日本産魚類の追加種リスト”. 日本魚類学会. 2010年2月14日閲覧。
参考文献
[編集]- Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Fourth Edition』 Wiley & Sons, Inc. 2006年 ISBN 0-471-25031-7
- David J. Randall, Anthony P. Farrell 『Deep-Sea Fishes』 Academic Press 1997年 ISBN 0-12-350440-6
- ピーター・ヘリング著・沖山宗雄訳 『深海の生物学』 東海大学出版会 2006年 ISBN 4-486-01675-0
外部リンク
[編集]- FishBase‐クロボウズギス科 (英語)