グラシーニャ・レポラーセ
グラシーニャ・レポラーセ(Gracinha Leporace, 本名:ティニー・マリア・ダ・グラサ・レポラーセ、1950年1月30日〔1月20日説もあり〕 - )は、ブラジル出身のボサノヴァミュージシャン。
経歴
[編集]3人兄妹の末っ子としてリオデジャネイロに生まれる。学生時代より音楽活動を始め、グルーポ・マニフェストに参加。17歳の時、第2回国際歌謡祭に兄フェルナンド作の「Canção de Esperare Você」で出場し注目を浴びる。この曲は後にエレンコ・レーベルよりシングルとして発売された。
また、上記歌謡祭を中心とした企画盤『II Festival Internacional da Canção Popular』では兄フェルナンド作のほかにソロ名義で「Canto de Despedida」「Oferenda」、マリオ・テリスとのデュエット「Desencontro」、グルーポ・マニフェスト名義で「Margarida」を発表。
上記グルーポ・マニフェスト在籍時には『Manifest Musical』『Grupo Manifesto No.2』(ともにELENCO発売)の2枚を発表。同グループは2作発表の後、解散している。
1968年、18歳の時には、ソロ名義で『Gracinha Leporace』(PHILIPS発売)を発表。その後、エルメート・パスコアールやアイルト・モレイラなどで知られるクアルテート・ノヴォに参加。サンパウロに一時帰国していたセルジオ・メンデスにスカウトされ、ボサリオの一員になる。
この時、渡米しセルジオ・メンデスと結婚する。
ボサリオでは『Bossa Rio』(A&M発売)・『Alegria!』(BULE THUMB発売)の2作に参加。1970年にはゲストにジョアン・ドナートを迎えて初来日し、ブラジル'66の前座を担当。この様子はライブ盤『Live At The Expo '70』(キングレコード発売)に収められている。
ボサリオと平行してブラジル'66にも参加。1970年にブラジル'66のメンバーチェンジがあった時に、ラニー・ホールと入れ替わりでクラウヂオ・スロンとともに正式参加。
以後、セルジオ・メンデスのほとんどの作品に参加。ボサリオ解散後には、セルジオ・メンデス&ブラジル'77のボーカリストとして参加。セルジオ・メンデスがプロデュースする作品にも参加するなど、多岐に渡る活動をする。
1977年製作のドキュメンタリー映画『ペレ』のサウンドトラックではペレ本人とデュエットしているほか、ジャズ界のリー・リトナー、サラ・ヴォーンとも共演している。
その後は特に目立った活動はないが、なおも現役であり、セルジオ・メンデスと公私共に行動をしている。
1968年
[編集]1968年はブラジル音楽界にとっては非常に重要な年であった。軍事政権のもと、多くのミュージシャンが弾圧や亡命する不遇な時代を送る最中、カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルなどによってトロピカリアが結成(「トロピカリズモ」という思想の誕生でもある)され、また歌謡祭も頻繁に行われて多くの新人が発掘された。トン・ゼーやムタンチス、ジョイスなども相次いでデビューをしている。
親日家としての一面
[編集]セルジオ・メンデスと共に日本には頻繁に訪れている親日家である。日本料理に興味を持ち、ボサリオ時代の愛車はトヨタ・コロナマークIIであった。日本人ミュージシャンとも親交があり、吉田和雄によるL.A.TRANSITの『De Novo』(クラウン発売)に参加。他に夫のセルジオがプロデュースした阿川泰子の『OURO de MANUS』(1988年、ビクター)や、相田翔子の『JOIA』(1996年、ポリスター)にも参加。1971年には、ブラジル'77の「Pais Tropical」(キング発売)では日本語の歌詞で歌っている。
ディスコグラフィー
[編集]特に記述がないものに関しては日本国内盤が発売されていない。しかしボサリオの『Alegria!』など復刻化が進んでおり、ブラジル'66以降の作品に関しては比較的入手が容易である。
グルーポ・マニフェスト時代
[編集]- Canção de Esperare Voce(シングル、ELENCO/CE50)
- II Festival Internacional da Canção Popular(企画盤、PHILIPS/R765.019L)
- Manifest Musical(アルバム、ELENCO/ME44)
- Grupo Manifesto No.2(アルバム、ELENCO/ME49)※日本国盤はユニバーサルより発売。型番はPHCA-4223
ソロ時代
[編集]- Gracinha Leporace(アルバム、PHILIPS/R765.033L)※日本国内盤は『Saudade Brasileira Vol.42』としてユニバーサルより発売。型番はUICY-3525
クアルテート・ノヴォ時代
[編集]このグループは1枚しかレコードを出しておらず、しかもレポラーセが参加する前の発表であるため彼女は関わっていない。
ボサリオ時代
[編集]- Bossa Rio(アルバム、A&M/SP4191)※日本国内盤タイトルは『サンホセへの道』A&M/POCM-1883
- Alegria!(アルバム、BULE THUMB/SILBT 2769)※日本国内盤はボンバ・レコードより発売。型番はBOM24055
- Live At The Expo '70(ライヴアルバム、キングレコード/SR410)
- Live At The Expo '70+1(A&M/UICY-3710)
- Live At The Expo '70+1(A&M/UICY-93154)※紙ジャケット仕様
ブラジル'66時代
[編集]- Fool On The Hill(アルバム、A&M/4160)※日本国内盤はユニバーサルより発売。型番はUICY-90157:6曲目の「Lapinha」に参加
- Fool On The Hill(ユニバーサル/UICY-93148)※紙ジャケット仕様
- Stillness(アルバム、キングレコード/AML-81):6曲目の「Lost In Paradise」に参加
- Stillness(A&M/4284)
- Stillness(A&M/UICY-3707)
- Stillness(A&M/UICY-93151)※紙ジャケット仕様
ブラジル'77時代
[編集]- Pais Tropical(アルバム、キングレコード/AML115)
- Pais Tropical+1(ユニバーサル/UICY-93152)※紙ジャケット仕様
- Pais Tropical(シングル、キングレコード/AM95)
- Pais Tropical 日本語ver.(キングレコード/AM131)
- After Midnight(シングル、キングレコード/AM117)
- Primal Roots(アルバム、キングレコード/AML-150)
- Primal Roots(ユニバーサル/UICY-3709)
- Primal Roots+1(A&M/UICY-93153)※紙ジャケット仕様
- Love Music(アルバム、BELL/BLPM-12-SM)※CD盤はBELL/アリスタ/BVCM-37398
- Love Music(シングル、CBSソニー/BLPB205-SM)
- Vintage 74(シングル、CBSソニー/ECPN-27-SM)※CD盤はBELL/アリスタ/BVCM-37399
- Brasil'77 Live In Japan(ライヴアルバム、CBSソニー/ECPH-13-14-SM)※カセット盤あり、型番は28KP1120
- Brasil'77 Live In Japan カーニバルの朝(CBSソニー/ECPH-20)
参加作品
[編集]- セルジオ・メンデス『Confetti』(アルバム、A&M/SP-4984)※日本国内盤タイトルは『オリンピア』ポリドール/POCM-1977:7曲目の「Kisses」に参加
- セルジオ・メンデス『Brasil '86』(アルバム、キャニオン/C28Y3077)※CD盤はキャニオン/D32Y3072:4曲目の「Your Smile」に参加
- セルジオ・メンデス『Timeless』(アルバム、ビクター/VICP-63281):3曲目の「Berimbau/Consolação」に参加
- 映画『ペレ』OST(イースト・ウエスト・ジャパン/AMCY-1247):7曲目の「Big City」、13曲目の「Main Theme - "My World Is a Ball"」に参加
- L.A.TRANSIT『De Novo』(アルバム、日本クラウン/COCY78711)
- 阿川泰子『OURO de MANUS』(アルバム、ビクター/VDR-1492)
- 相田翔子『JOIA』(アルバム、ポリスター/PSCR-5455)
オムニバス作品
[編集]- Bonita!Bossa Nova(ユニバーサル/UICY-4257):17曲目に「Canção da Desesperança」を収録
- Bossa Nova -Encore!(ユニバーサル/UICY-4111):20曲目に上記同曲を収録