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ロンコンコマ支線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
グリーンポート支線から転送)
ロンコンコマ支線
(グリーンポート支線)
ディアーパークを出発する列車
ディアーパークを出発する列車
基本情報
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
所在地 ニューヨーク州ナッソーサフォーク郡
種類 通勤鉄道
起点 ヒックスヴィル駅
終点 グリーンポート駅
駅数 15
開業 1837年 - 1844年
所有者 ロングアイランド鉄道
運営者 ニューヨーク州都市交通局
路線諸元
路線距離 111.9km
軌間 1,435 mm
電化方式 直流750V 第三軌条方式 (ロンコンコマ以西)
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ロンコンコマ支線: Ronkonkoma Branch)は、ロングアイランド鉄道(LIRR)本線の内、ニューヨーク州ナッソー郡のヒックスヴィル駅から同サフォーク郡グリーンポート駅までの区間に付けられた愛称である。東側のロンコンコマ駅~グリーンポート駅はグリーンポート支線(Greenport Branch)とも呼ばれる。

途中のロンコンコマを境に運転系統が分かれており、西側のヒックスヴィル~ロンコンコマ間はニューヨーク市ペンシルベニア駅(NYP駅)まで24時間運行を行っているが、東側は非電化区間で西側と比べると本数が少なく、土日については夏と秋のみの季節営業となっている。

運行形態

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ヒックスヴィル~ロンコンコマ

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建設工事のためディーゼル機関車を使用している第8054列車(ファーミングデールにて)

全便がロンコンコマ~NYP間(81.0km)の直通運転で、ロンコンコマ発は終日毎時1~2本運行されている。2017年1月時点の最短所要時間は、急行で66分である。

この区間は1987年12月に電化され[1] 、同区間の全便が電車による運行となると同時に、NYP駅への直通運転も開始された。ラッシュ時のロンコンコマ~NYP間の所要時間は、電化前は乗り継ぎを含めて97分であったが、電化後は直通列車で71分となった。 電化には約1億6850万ドルの費用が投じられたが、LIRRが電化直後の1988年4月に行った調査では、同月中の利用者の内42%が並行するポート・ジェファーソン支線およびモントーク支線からの移転利用者という結果が出た。また、LIRRの路線をそれまで使ったことがなかった者が4%、一度LIRRを使うのをやめたが再び使うようになった者が2%いた。同年9月までには2000人以上が新たにロンコンコマ支線を利用するようになったが、その大半は電化直後から既にロンコンコマ支線を使い始めていたといい、LIRRの予想を遙かに上回るペースで利用移転が進んでいたことになる。電化に合わせてロンコンコマ駅の駐車場の拡張も行われたが、前述の利用者急増からすぐに容量不足となり、二重駐車や破壊行為が相次いだ[2]。利用者から長期に渡り不満の声が出ていたが、2015年の拡張により1038台収容の駐車場となった[3]

なお、電化開業以前から単線であるファーミングデール~ロンコンコマについてはMTAにより複線化する計画があるが、資金面で実現には至っていない。

グリーンポート支線

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東端部にあたるロンコンコマ~グリーンポートの73.7kmは非電化で、電気式ディーゼル機関車によるプッシュプル方式で運行されている。また、LIRR管内では数少ない時刻表運行方式を行っている区間で、ロンコンコマ以東には信号機が一切設置されていない。朝の下り1便を除く全便がロンコンコマでNYP発着便との接続を行う。

平日の運行状況は以下の通り。

  • ロンコンコマ~グリーンポート - 2.5往復(ロンコンコマ行き2便、グリーンポート行き3便)
  • ロンコンコマ~リバーヘッド - 1.5往復(ロンコンコマ行き2便、リバーヘッド行き1便)
  • ロンコンコマ発ヤップハンク行 - 1便
  • ディアーパーク発リバーヘッド行 - 1便

ロンコンコマを跨いで運行されるのはディアーパーク発リバーヘッド行きの便のみであるが、サフォーク郡裁判所へ行く陪審員向けに運行されていることから、「陪審列車(Jury Duty Special)」とも呼ばれる[4]。この便は朝の時間に設定され、ナッソー郡やニューヨーク市から来る列車とも一切の接続を受けていないことから、実質サフォーク郡民のみが利用できる。ヒックスヴィルではなくディアーパーク始発となっているのは、単線で朝ラッシュ時の線路容量に制約があることが理由に挙げられる。

アメリカの夏期休暇期間にあたる5月から11月末まではロンコンコマ~グリーンポート便が2往復運転されるのみとなる(2016年時点)。

LIRRは現状最低限の運行に留まるグリーンポート支線について廃止を示唆しており、2010年にMTAの財政問題が起きた際は更なる現実味を帯びる。夏期休暇の週末を除き全ての運行を取りやめるという案まで浮上したが[5]、最終的に平日の運行はそのままとし、週末は減便、また休暇中(追悼記念日コロンブス・デーの間)は週末のみ運行とすることになった。2013年には休暇ダイヤ期間が5月から11月末に延長された。 2016年7月25日には、2016年中の週末ダイヤを2010年以前のものに戻すことがLIRRにより発表された[6]

ロンコンコマ以東の旅客輸送は縮小傾向にあるが、運行施設そのものに関しては強化される傾向にある。2015年、MTAはロンコンコマ~ヤップバンク間の16kmについて、信号及び保安装置(ASC)を導入に2900万ドルを投じる予算案を作成した[7]。更に、今後20年の需要分析に基づき、MTAは需要が見込めるとして、ロンコンコマ~ヤップバンク(~リバーヘッド)の電化およびロンコンコマ~ヤップバンクの複線化を計画しているが[8]、費用が高額になるとして構想段階に留まっている[9]。また、ロンコンコマ以東の電化が実現された場合、単行運転に対応した駅施設の改修が実施されるとみられる[9]

セントラル支線

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LIRRの路線図には、ベスページ駅からモントーク支線英語版のバビロン駅西側までを結ぶセントラル支線もロンコンコマ支線と同じ紫色で表記されているものがある。中央支線に駅はなく、主にジャマイカ~バビロン間の急行列車が使用するが、セントラル支線経由の列車はロンコンコマ支線ではなくモントーク支線やバビロン支線の時刻表にのみ掲載される。ただし、セントラル支線経由でもミネオラおよびヒックスヴィルに停車する便に関してはロンコンコマ支線の時刻表にも掲載される。

駅一覧

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  • ロンコンコマ支線
    • (NYP駅より) - ヒックスヴィル - ファーミングデール - パインローン - ワイヤンダンチ - ディアーパーク - ブレントウッド - セントラル・アイスリップ - ロンコンコマ - メドフォード - ヤップハンク - リバーヘッド - マッティタック - サウソールド - グリーンポート
区界 駅名 距離 mi(km)

NYP駅より[10]

開業年 廃止年 接続路線 / 備考
1 シティターミナルゾーン
3 ジャマイカ バリアフリー・アクセス 10.8 (17.4) 1836 LIRR; アトランティック支線、ベルモント・パーク支線、ファー・ロカウェイ支線、ヘンプステッド支線、ロングビーチ支線、モントーク支線、オイスターベイ支線、ポート・ジェファーソン支線、西ヘンプステッド支線
ニューヨーク市地下鉄:
エアトレインJFK: ジャマイカ駅ルート
クイーンズ区 / ナッソー郡
4 ミネオラ バリアフリー・アクセス 20.3 (32.3) 1837 LIRR: モントーク支線、オイスターベイ支線、ポート・ジェファーソン支線
開業当時はヘンプステッド駅、その後ヘンプステッド支線駅に改称
7 ヒックスヴィル バリアフリー・アクセス 26.6 (42.8) 1837[11] LIRR: モントーク支線、ポート・ジェファーソン支線
ポート・ジェファーソン支線分岐
グラマン 28.5 (45.9) 1942 1985
ベスページ バリアフリー・アクセス 29.7 (47.8) 1854[12] 開業当時はエルサレム駅、その後セントラルパーク駅に改称
ベスページ分岐点 1873
セントラル支線分岐
ファーミングデール バリアフリー・アクセス 32.0 (51.5) 1841[13][14]
↑ナッソー郡 / サフォーク郡↓
9
リパブリック駅 33.0 (53.1) 1940 1987
パインローン バリアフリー・アクセス 34.2 (55.0) 1890 開業当時はメルヴィル駅
ワイヤンダンチ バリアフリー・アクセス 36.5 (58.7) 1875 開業当時はウェスト・ディアーパーク駅、その後ワイヤンダンス駅に改称
エッジウッド 1892 1914
ディアーパーク バリアフリー・アクセス 40.2 (64.9) 1842[15][16]
州立ピルグリム病院 1978
トンプソン 42.2 (67.9) 1842[17] 1869
パインエール 1915 1986
10 ブレントウッド バリアフリー・アクセス 42.9 (69.0) 1870 開業当時はモダン・タイムス駅
サフォーク 44.7 (71.9) 1842[18] 1873
セントラル・アイスリップ バリアフリー・アクセス 45.4 (73.1) 1873
州立セントラル・アイスリップ病院
ニコルズ・ロード
レイクランド 50.2 (80.8) 1843 1883 開業当時はレイク・ロード駅
ロンコンコマ バリアフリー・アクセス 50.3 (81.0) 1883 電化区間ここまで。開業当時はロンコンコマ湖駅。
ヘルマンヴィル 50.6 (81.4) 1850
ホルブルック 51.6 (83.0) 1907 1962[19]
ホルツヴィル 54.2 (87.2) 1843 1998 開業当時はウェイヴァリー駅[20]
メドフォード バリアフリー・アクセス 55.9 (89.0) 1844[21]
バートレッツ 58.7 (94.5) 1844 開業当時はベルポート駅
ファイア・プレイス 1844[21] 1845
12 ヤップハンク バリアフリー・アクセス 60.4 (97.2) 1844 開業当時はミルヴィル駅
カルマンズ・リバー 1844[21] 1845
アップトン・ロード[22] 1918 1922
キャンプ・アップトン[22] 1917 1922
ワムミシック 65.1 (104.6) 1847–1848
マナーヴィル 67.0 (107.8) 1844 c. 1968 開業当時はセント・ジョージ・マナー駅、その後マナー駅
マナーヴィル支線(廃止)分岐
カルバートン 71.1 (114.4) 1852
1880
1858
1958
開業当時はハルス・ターンアウト駅、その後ベイティング・ホロー駅
14 リバーヘッド バリアフリー・アクセス 75.1 (120.9) 1844
アケボーグ 1892 1967
ジェームスポート 80.2 (129.1) 1844 1985
ローレル 81.7 (131.5) 1901 1967
マッティタック バリアフリー・アクセス 84.2 (135.5) 1845
カチョーグ 87.2 (140.3) 1844 1962
ペコニック 90.2 (145.2) 1844 c. 1970 開業当時はハーミテージ駅
サウソールド バリアフリー・アクセス 91.9 (147.9) 1844
グリーンポート バリアフリー・アクセス 96.1 (154.7) 1844 ノースフェリー シェルター島行き

脚注

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  1. ^ Schmitt, Eric (December 31, 1987). “Electric Service Extended by L.I.R.R.”. The New York Times: p. B3. http://www.nytimes.com/1987/12/31/nyregion/electric-service-extended-by-lirr.html 2009年7月5日閲覧。 
  2. ^ Saslow, Linda (September 11, 1988). “Electrifying L.I.R.R.: Pluses and Minuses”. The New York Times: p. 1. http://www.nytimes.com/1988/09/11/nyregion/electrifying-lirr-pluses-and-minuses.html?pagewanted=all 2016年1月5日閲覧。 
  3. ^ http://www.allproparking.com/news/Allpro_Parking_LLC_awarded_contract_with_Long_Island_Rail_Road/172.html Allpro Parking LLC awarded contract with Long Island Rail Road
  4. ^ http://web.mta.info/lirr/Travel/JurySpecial/
  5. ^ MTA plan cuts LIRR trains from Ronkonkoma to Greenport”. Newsday (2010年1月22日). 2017年1月29日閲覧。
  6. ^ MTA Long Island Rail Road Resuming Year-Round Weekend Service to Greenport and the North Fork”. July 25, 2016閲覧。
  7. ^ MTA 2015-2019 Capital Program, page 96”. November 2, 2015閲覧。
  8. ^ MTA 2015-2034 20-Year Capital Needs Assessment, pages 70 and 73”. January 4, 2016閲覧。
  9. ^ a b Mid-Suffolk Yard Alternatives Analaysis”. mta.info. 2016年1月4日閲覧。
  10. ^ Station pages linked from LIRR Stations
  11. ^ Brooklyn Advocate, Long Island Rail Road, February 1837
  12. ^ “RAILROADS”. New York Times. (1854年4月13日). pp. 7. http://query.nytimes.com/gst/abstract.html?res=9403E5DC153DE334BC4B52DFB266838F649FDE 2008年4月7日閲覧。 
  13. ^ The Long Delay at Hicksville”. Newsday. 2007年2月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月31日閲覧。
  14. ^ Brooklyn Eagle v1, #1 (LIRR timetable)”. Brooklyn Eagle (1841年10月26日). 2017年1月31日閲覧。 This is the very first edition of the paper. (Whether "late Bethpage" is meant to indicate 1> a flag stop at the community near Merritts Road, or 2> that the area near the Farmingdale LIRR station had lately been called Bethpage, or 3> that the Merrits Road community had been a temporary stop until the Farmingdale station was completed has not yet been determined.)
  15. ^ “untitled”. Brooklyn Daily Eagle英語版 (Brooklyn, NY): p. 2. (March 14, 1842). http://eagle.brooklynpubliclibrary.org/Default/Scripting/ArchiveView.asp?BaseHref=BEG/1842/03/14&Page=2&skin=BE 
  16. ^ “Long Island Railroad Company”. Brooklyn Daily Eagle英語版 (Brooklyn, NY): p. 3. (March 16, 1842). http://eagle.brooklynpubliclibrary.org/Default/Scripting/ArchiveView.asp?BaseHref=BEG/1842/03/16&Page=3&skin=BE 
  17. ^ “Long Island Railroad”. Brooklyn Daily Eagle英語版 (Brooklyn, NY): p. 2. (June 29, 1842). http://eagle.brooklynpubliclibrary.org/Default/Scripting/ArchiveView.asp?BaseHref=BEG/1842/06/29&Page=2&skin=BE 
  18. ^ “untitled”. Brooklyn Daily Eagle英語版 (Brooklyn, NY): p. 2. (August 6, 1842). http://eagle.brooklynpubliclibrary.org/Default/Scripting/ArchiveView.asp?BaseHref=BEG/1842/08/06&Page=2&skin=BE 
  19. ^ Holbrook Station @ Ronkonkoma MP 49-50; October 1957(TrainsAreFun.com)
  20. ^ May 13, 1912, Photo @ Ron Zeil collection (Unofficial LIRR History Website)
  21. ^ a b c “Long Island Railroad Co”. Brooklyn Daily Eagle英語版 (Brooklyn, NY): p. 2. (June 24, 1844). http://eagle.brooklynpubliclibrary.org/Default/Scripting/ArchiveView.asp?BaseHref=BEG/1844/06/24&Page=2&skin=BE 
  22. ^ a b November 18, 1919 Long Island Rail Road Timetable

外部リンク

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