グリーン水素
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グリーン水素(グリーンすいそ、英語: green hydrogen)とは、水の電気分解によって生産される、生成過程でCO2を排出しない水素である[1]。
他の水素の分類として、化石燃料から抽出されるグレー水素(英語: grey hydrogen)や、化石燃料から抽出する際にCO2を分離回収し地中貯留などを行いCO2の大気中への放出を防いだブルー水素(英語: blue hydrogen)などがある[2]。
製造方法
[編集]製造方法は主に、アルカリ水電解、PEM(高分子電解質膜)、AEM水電解、高温水蒸気電解の4方式がある[3]。
アルカリ水電解
[編集]水酸化カリウム溶液の電気分解により酸素と水素を製造する[4]。
電解効率は70~80%であり、反応式は次の通り。
陽極 2H2O +2e- → 2OH + H2
陰極 2OH- →1/2 O2 + H2O +2e- [5] NEDO実証では設備コスト5.2万円/kWを目指している[6]。
PEM(固体高分子膜)
[編集]純水の電気分解によって酸素と水素を製造する[4]。
反応式は次の通り。
陽極 2H2O →4H+ +4e- + O2
陰極 4H + 4e = 2H2[7]
NEDO実証では設備コスト6.5万円/kWを目指している[6]。
AEM(アニオン交換膜)
[編集]アルカリ水電解型とPEM型を組み合わせ、触媒などに貴金属を使用しないのが、AEM型である。製造コストはPEM型に比べて約二割下がる。[8]
陽極 H2O+4e- →2H2+ OH
陰極 4OH- →O2+2H2O [9]
高温水蒸気電解
[編集]900℃近い高温の水蒸気を電気分解することで、酸素と水素を製造する。
電気分解に必要なエネルギーの一部を熱で補うため、効率が高い[10]。
高温の水蒸気での水素精製技術としては、電気分解を用いず、ヨウ素(I)と硫黄(S)を用いて水を分解するISプロセスも研究されている[11]。集光型太陽熱などで実現可能な温度である650℃での反応の成功事例がある[12]。
脚注
[編集]- ^ “グリーン、ブルーにターコイズ…7色で表す水素は何が違う? 【政経電論】”. 政経電論 (2021年9月25日). 2023年1月24日閲覧。
- ^ “新エネルギー「最近の話題・キーワード」解説コーナ- | 一般財団法人 新エネルギー財団”. www.nef.or.jp. 2023年1月24日閲覧。
- ^ “水素も脱炭素も任せろ 東レの世界最高レベルのすごい膜 | EnergyShift”. EnergyShift(エナジーシフト) (2021年9月15日). 2023年1月24日閲覧。
- ^ a b “次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?”. 経済産業省 資源エネルギー庁. 2023年1月24日閲覧。
- ^ “水素エネルギーとは (その2) | 省エネQ&A”. J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]. 2024年11月26日閲覧。
- ^ a b “再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造”. NEDO グリーンイノベーション基金. 2023年1月24日閲覧。
- ^ “水素 ガス 発生装置 の仕組み”. Peak Scientific. 2024年11月26日閲覧。
- ^ 日経クロステック(xTECH) (2021年12月6日). “水電解技術のダークホース「AEM形」 安価な鉄が高性能触媒に”. 日経クロステック(xTECH). 2024年4月10日閲覧。
- ^ Ryota (2024年2月25日). “だれでも分かる「AEM水電解装置とは?」注目されている水素製造技術の特徴や今後の展望を徹底解説”. BizChem. 2024年11月26日閲覧。
- ^ “高温水蒸気電解法 - ATOMICA -”. atomica.jaea.go.jp. 2023年1月24日閲覧。
- ^ “高温ガス炉による水素製造が実用化へ大きく前進 ―実用工業材料で製作した水素製造試験装置を用いた熱化学法ISプロセスによる150時間の連続水素製造に成功―|日本原子力研究開発機構:プレス発表”. www.jaea.go.jp. 2023年1月24日閲覧。
- ^ “太陽熱で効率40%の水素製造を実現へ、製造プロセスの大幅な省エネに成功”. スマートジャパン. 2023年1月24日閲覧。