コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ケイシーの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ケーシーの定理から転送)

数学におけるケイシーの定理(ケイシーのていり、: Casey's theorem)または一般化トレミーの定理は、アイルランドの数学者ジョン・ケイシーにちなむユークリッド幾何学の定理である。

主張

[編集]

を半径 の円とし、 をこの順に に内接する、互いに交わらない4つの円とする。円 に外側の共通接線を引いたときの2接点の距離を とすると、次の等式が成り立つ[1]

4つの円がみな1点にまで退化した場合、これはちょうどトレミーの定理になる[2]

証明

[編集]

以下の証明は Zacharias に帰せられる[3][4]。円 の半径を と表し、円 との内接点を とする。各円の中心を同じ記号 で表すことにする。 ピタゴラスの定理より、

この長さを点 を用いて表したい。余弦定理を三角形 に用いると

が得られる。円 が接していることから

を円 の周上の点とする。正弦定理を三角形 に用いると

が得られる。これより、

以上を余弦定理の式に代入すると

よって

が得られる。円に内接する四角形 にトレミーの定理を用いて変形すると

さらなる一般化

[編集]

4つの円が最大の円に内側から接していなくともよい。実際、これらが外側から接している場合も考えることができて、その場合は以下のように定めればよい[5]

が円 の同じ側(いずれも内側か、または外側)から接しているならば、 は2円に対し外側から共通接線を引いたときの接点間の距離とする。
が円 の異なる側(一方が内側で他方が外側)から接しているならば、 は2円に対し内側から共通接線を引いたときの(共通接線に対し2円が反対側に位置するようなときの)接点間の距離とする。

ケイシーの定理の逆もまた成り立つ[5]。つまり、この等式が成り立っているならば、4つの円はある1つの円に共通して接する。

応用

[編集]

ケイシーの定理およびその逆は、ユークリッド幾何学の種々の命題の証明に用いることができる。例えば、フォイエルバッハの定理の最も短い証明はケイシーの定理の逆を利用するものである[1]:411

[編集]
パーサーの定理

ケイシーの定理のにはトレミーの定理の他、ファン・スコーテンの定理パーサーの定理(パーサーのていり、: Purser's theorem)がある。パーサーの定理の主張は次の通り[6][7][8]

ABCとその外接円Oについて、円O'におけるA,B,Cの接線長をそれぞれAA',BB',CC'とすれば、Oに円O'が接することと、が成立することは同値である。

ケイシーの定理で4円のうち、3円を点にすることで得られる。

脚注

[編集]
  1. ^ a b Casey, J. (1866). “On the Equations and Properties: (1) of the System of Circles Touching Three Circles in a Plane; (2) of the System of Spheres Touching Four Spheres in Space; (3) of the System of Circles Touching Three Circles on a Sphere; (4) of the System of Conics Inscribed to a Conic, and Touching Three Inscribed Conics in a Plane”. Proceedings of the Royal Irish Academy 9: 396–423. JSTOR 20488927. 
  2. ^ Casey, John『A sequel to the first six books of the Elements of Euclid, containing an easy introduction to modern geometry, with numerous examples』University of California Libraries、Dublin : Hodges, Figgis & co.、1886年、104頁https://archive.org/details/sequeltofirstsix00caserich/page/102/mode/2up 
  3. ^ Bottema, O. (1944). Hoofdstukken uit de Elementaire Meetkunde. (translation by Reinie Erné as Topics in Elementary Geometry, Springer 2008, of the second extended edition published by Epsilon-Uitgaven 1987) 
  4. ^ Zacharias, M. (1942). “Der Caseysche Satz”. Jahresbericht der Deutschen Mathematiker-Vereinigung 52: 79–89. 
  5. ^ a b Johnson, Roger A.『Modern Geometry』Houghton Mifflin, Boston (republished facsimile by Dover 1960, 2007 as Advanced Euclidean Geometry)、1929年。 
  6. ^ (英語)『The Mathematics Student』Indian Mathematical Society、1951年、61頁https://www.google.co.jp/books/edition/The_Mathematics_Student/spsUAAAAIAAJ 
  7. ^ Weisstein, Eric W.(英語)『CRC Concise Encyclopedia of Mathematics』CRC Press、2002年12月12日、2407頁。ISBN 978-1-4200-3522-3https://www.google.co.jp/books/edition/CRC_Concise_Encyclopedia_of_Mathematics/D_XKBQAAQBAJ 
  8. ^ “1116.Purser's theorem”. The Mathematical Gazette (Bell and Hyman, Limited) 18: 421. (1934). https://www.google.co.jp/books/edition/The_Mathematical_Gazette/hmDyAAAAMAAJ. 

外部リンク

[編集]