ゲームジニー
ゲームジニー(Game Genie)は、ゲーム機でチートを行うための最初期の周辺機器[注 1]。
概要
[編集]この機器はCodemastersが開発し、Camericaまたはルイス・ガルーブ・トイが販売したチート用のカートリッジシステムである。チートしたいゲームのROMカートリッジとゲーム機本体との間に咬ませる形で接続する[1]。この機器は一時的にゲームのデータを書き換えることでチートを有効にし、裏技の使用や未使用データの表示などを可能にする[1]。 Nintendo Entertainment System(海外版ファミコン)向けの周辺機器として発売された同製品は、後にSNES(スーパーファミコン)、ゲームボーイ、Genesis(メガドライブ)、ゲームギアなど、あらゆるハードでリリースされた。ゲームジニーはユーザーがゲーム機でチートを有効にすることのできる最初の製品であり、世界中で500万台が販売された[2]。ゲーム機第五世代用の多くのエミュレータはゲームジニーをサポートしており、当時の実機で実際に使用されていたのが3本から6本くらいのチートコードだったのに対し、比べ物にならないくらいの大量のゲームジニー用コードを用意している。
ゲーム機第6世代ではゲーム・ジニーは発売されなかったが、Code BreakerやGameSharkから似たようなチート用製品が発売された。2012年現在、Hyperkinが「ゲーム・ジニー」のブランドを利用したチートシステムを販売している。
法的問題
[編集]NES用ゲームジニーが発売された際、任天堂は著作権法の違反を理由に販売元のルイス・ガルーブ・トイを訴えた[1]。この訴訟はルイス・ガルーブ・トイ対米国任天堂として知られている。裁判の間、アメリカでのゲームジニーの販売は差し止められたが、カナダでは差し止められなかった[3]ため、ゲーム・ジニーは当時のゲーム雑誌で出稿していた広告で"Thank You Canada!"と表示した。結局ゲームジニーは著作権法に違反しているとはされず、任天堂はアメリカでのゲームジニーの販売を止めることはできなかった[4]。訴訟が行われる前、Galoobは任天堂の公式ライセンスを申請していたが、却下されている。
ゲームジニーの販売が合法との判断が下されたため、任天堂は以降のゲームタイトルではROMチェックサムを用いてチートを判別することで対抗した。ROMチェックサムは一時的には効果を収めたが、チェックサムによるチートのチェックをさらに別のチートコードで迂回する対策が取られた。
一方、セガは任天堂とは対照的に、ゲームジニーに公式ライセンスを与えた一方、『ファンタシースター』や『シャイニングフォース』などのセーブ機能を持ったゲームではゲームジニーを使えなくすることを要求した。
参考文献
[編集]- 新聞(業界紙を含む)
- “ゲームマシン 383号”. アミューズメントプレス (1990年7月1日). 2020年3月14日閲覧。
- 「NESソフト改造デバイスでガルーブ社を相手どり」、1ページ
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d 「NESソフト改造デバイスでガルーブ社を相手どり」, 『ゲームマシン 383号』, p. 1.
- ^ "Profile: Ted Carron - Producer of Dragon Empires" (Press release). Codemasters. 2009年8月17日閲覧。
- ^ “16 F3d 1032 Nintendo Of America Inc V. Lewis Galoob Toys Inc”. February 4, 2012閲覧。
- ^ “Lewis Galoob Toys, Inc. v. Nintendo of America, Inc., 780 F. Supp. 1283 - Dist. Court, ND California 1991”. February 4, 2012閲覧。