コネクトミクス
コネクトミクス(Connectomics)は、コネクトームの成果や研究のことである。コネクトームとは、生物の神経系内(特に脳や目)の接続の包括的なマップである。これらの構造は非常に複雑であるため、この研究領域が使用する手法は、神経系における神経接続の多数のマップを、高速に、効率的に、高い解像度で得るために、神経画像化および組織学的技術のハイスループットを使用する。ハイスループットとは、自動化されたロボットやプログラミングを使って、自動的に大量の処理を行うことである。このようなプロジェクトの主な焦点は、脳だが、任意の神経接続、例えば、神経筋接合部などを含み、理論的には、これらをコネクトミクスによってマッピングすることができるだろう。
ツール
[編集]マクロスケールレベルでコネクトミクスの研究のために使用される主要なツールの一つは、diffusion MRIである。[1] コネクトミクスの研究のための、マイクロスケールレベルでの主要なツールは、3D電子顕微鏡[2] で、神経回路の再構築のために使用される。フル解像度でのマイクロコネクトームのいくつかを参照したければ、オープンコネクトームプロジェクトを参照するといい。ボックらの12TBのデータセットを含むいくつかのコネクトームデータセットが管理されている(2011年)。参照Open Connectome Project
モデル
[編集]コネクトミクスの研究のために使用されるモデルは、人間の脳以外には、マウス、[3] ショウジョウバエ、[4] センチュウ C.elegans、[5][6] メンフクロウ[7]である。
病気のコネクトームと健康なコネクトームを比較することにより、神経因性の疼痛をはじめ精神的な病理、およびそれらの治療法についての洞察が得られるだろう。また、神経科学の研究分野は、標準化されたコネクトームの生データから多くの知見が得られるだろう。例えば、コネクトームの地図は、脳の全体の活動の計算モデルを知るために使用することができる。[8] 現在のニューラルネットワークは、ほとんどの接続パターンを、確率的な表現に依存している。[9] コネクトグラムといわれるコネクトミクスの円形図は、ニューラルネットワークへの損傷の程度を記述するために、外傷性脳損傷の例で使用されてきた。[10][11]
批判
[編集]このシステムを記述するために、単語-omics、つまりConnectomicsの使用は批判されている。[12][13] 単語の造語は2つの原典でみられる。 Olaf Sporns[14] と Patric Hagmannによる博士論文である。[15]
ゲノミクスとの比較
[編集]ヒトゲノムプロジェクトは、最初は上記の批判の多くに直面したが、前倒しで完了し、遺伝学における多くの進歩につながった。ゲノミクスで起こったことが、コネクトミクスにも起こると考えることもでき、コネクトミクスの見通しについて、もう少し楽観的でなければならないとも主張する人もいる。[16]
コネクトグラム
[編集]コネクトグラムとはコネクトミクスの画像化で、人間の脳内の白質線維結合のすべてをマッピングして解釈するための研究の分野でグラフ理論を利用して円形図は、ニューラルネットワークへの損傷の程度を記述するために、外傷性脳損傷の例で使用されており、単一構造、単一被験者、または集団に対する白質繊維結合および皮質特徴を実証する。
脚注
[編集]- ^ Wedeen, V.J. (2008). “Diffusion spectrum magnetic resonance imaging (DSI) tractography of crossing fibers”. NeuroImage 41 (4): 1267–77. doi:10.1016/j.neuroimage.2008.03.036. PMID 18495497.
- ^ Anderson, JR (2011). “Exploring the retinal connectome”. Molecular vision 17: 355–79. PMC 3036568. PMID 21311605 .
- ^ Bock, Davi D. (2011). “Network anatomy and in vivo physiology of visual cortical neurons”. Nature 471 (7337): 177–82. doi:10.1038/nature09802. PMC 3095821. PMID 21390124 .
- ^ Chklovskii, Dmitri B (2010). “Semi-automated reconstruction of neural circuits using electron microscopy”. Current Opinion in Neurobiology 20 (5): 667–75. doi:10.1016/j.conb.2010.08.002. PMID 20833533.
- ^ Chen, B. L. (2006). “Wiring optimization can relate neuronal structure and function”. Proceedings of the National Academy of Sciences 103 (12): 4723–8. doi:10.1073/pnas.0506806103.
- ^ Perez-Escudero, A. (2009). “Structure of deviations from optimality in biological systems”. Proceedings of the National Academy of Sciences 106 (48): 20544–9. doi:10.1073/pnas.0905336106.
- ^ Pena, JL (2010). “Auditory processing, plasticity, and learning in the barn owl”. ILAR journal 51 (4): 338–52. PMC 3102523. PMID 21131711 .
- ^ http://www.scholarpedia.org/article/Connectome[信頼性の低い医学の情報源?][自主公表?]
- ^ Nordlie, Eilen (2009). “Towards Reproducible Descriptions of Neuronal Network Models”. PLoS Computational Biology 5 (8): e1000456. doi:10.1371/journal.pcbi.1000456. PMC 2713426. PMID 19662159 .
- ^ Van Horn, John D. (2012). “Mapping connectivity damage in the case of Phineas Gage”. PLoS ONE 7 (5): e37454. doi:10.1371/journal.pone.0037454. PMC 3353935. PMID 22616011 .
- ^ Irimia, Andrei (6 February 2012). “Patient-tailored connectomics visualization for the assessment of white matter atrophy in traumatic brain injury”. Frontiers in Neurotrauma 3: 10. doi:10.3389/fneur.2012.00010. PMC 3275792. PMID 22363313 .
- ^ "Bad omics word of the day: connectome" Kaboodle.nescent.org.
- ^ Talk:Connectome.
- ^ Sporns, Olaf (2005). “The Human Connectome: A Structural Description of the Human Brain”. PLoS Computational Biology 1 (4): e42. doi:10.1371/journal.pcbi.0010042. PMC 1239902. PMID 16201007 .
- ^ Hagmann, Patric (April 21, 2005).
- ^ Lichtman, J (2008). “Ome sweet ome: what can the genome tell us about the connectome?”. Current Opinion in Neurobiology 18 (3): 346–53. doi:10.1016/j.conb.2008.08.010. PMC 2735215. PMID 18801435 .