コプト美術
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コプト美術(英語: Coptic art)とは、コプト正教会の3世紀から12世紀ごろまでの美術を指す歴史的・美術史的呼称。
現存するコプト美術遺品の多くはキリスト教の教会などに関係したものが多い。コプト人は、政治権力の中枢から遠ざかっていたために、その美術は時代の主流となることはなく、つねに地方的な分派として存在したことが一つの大きな特色である。また、コプト正教会の教義の上では、同じくキリスト合性論をとるシリア正教会やアルメニア使徒教会と繋がりを持つ。そのため、コプト美術には様々な地域の各要素が混在している。
コプト人は、7世紀中ごろエジプトがイスラム化されてからはナイル上流の僻地や砂漠のオアシスなどに小さな集団をつくって住み、独特のキリスト教文化を形成した。その結果のうちの一つが、コプト美術であった。コプト美術は、王朝時代以来の古代エジプト美術の伝統とともに、ヘレニズム様式、ビザンティン様式、シリア、アルメニア、エジプト[1]土着の伝統を融合しているが、その土台となったのは土俗性を強く残した素朴な美術であり、それらの様式の折衷、混成も指摘される。また、ヌビア[2]やエチオピアなどとも強い関連をみせている[3]。
聖堂などもナイル川沿岸の上流まで各地に多く建てられたが、現在はほとんど廃墟と化している。
コプト織
[編集]コプト美術における織物は「コプト織」と呼ばれる。3世紀〜8世紀にコプト人が創始・発達させた[4]。素材は麻・羊毛・絹など[5][6][7][8]。
参考文献
[編集]- 織物
- 佐々木 良子「紫円文コプト織りの材質分析 : 微量分析手法への顕微反射スペクトルと質量分析の適用」『考古学と自然科学』第56巻、2007年、27-39頁。CRID : 1010000782429038349。
- 東村純子(著)、京都大学総合博物館(編)「古代エジプト・コプト織物のワークショップ報告 [5]」『京都大学総合博物館ニュースレター』第26巻、京都大学総合博物館、2012年2月、1-8頁。CRID : 1050564285755823488。
- 虻川 操「京都大学総合博物館 エジプト考古資料コプト織物について」『へレニズム~イスラーム考古学研究』、京都大学総合博物館、2017年。CRID : 1010000782300831747。
- 須藤 良子「コプト裂とインドの更紗」『コプトの染織 女子美術大学美術館カタログ』第1巻、2019年、13-16頁。CRID : 1010286980705755265。
- 須藤 良子「エジプト・コプトの染織品とインド更紗の制作年代および制作地に関する研究」『月刊考古学ジャーナル』第725巻、2019年、34-37頁。。CRID : 1010286980705755267。
- 陶器
- 長谷川 奏「巡礼壺、エジプト赤色スリップ(白色化粧土群)、ヌビア系彩文 : コプト博物館所蔵資料から」『イスラム科学研究』第10巻、2014年、41-50頁。。CRID : 1010000782106325892。