コミミイヌ
コミミイヌ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Atelocynus microtis P.L.Sclater, 1883 | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Short-eared dog[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
分布
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コミミイヌ (Atelocynus microtis) はイヌ科の哺乳類の1種。アマゾン川流域固有種である[2][1]。コミミイヌ属 Atelocynus は単型である[2]。
名称
[編集]英語では”short-eared fox”・”short-eared zorro”・”small-eared dog”[1]、ポルトガル語で”cachorro-do-mato-de-orelha-curta”、スペイン語で”zorro de oreja corta”・”zorro ojizarco”・”zorro sabanero”・”zorro negro”、チキタノ語で”nomensarixi”、ユクナ語で”uálaca”などの呼び方がある[3]。
分類
[編集]他の南米の地上性有胎盤類と同じように、パナマ地峡が形成された鮮新世の後に、アメリカ大陸間大交差によって南米に進出したと考えられる。その後、熱帯雨林に適応したことで、独特な形態的特徴を得たとされる。ヤブイヌとは類似点が多いが、他のイヌ科動物とは似た点が少ない[4]。現生種で最も近縁なのはカニクイイヌだと考えられている[5]。染色体数は2n=74で、1対の性染色体を含む[3]。
分布
[編集]アマゾン熱帯雨林 (ペルー・ボリビア・ブラジル・コロンビア・エクアドル・ベネズエラ) に分布する[2]。セルバ・テラフィルメ林・沼沢林・竹林・雲霧林など様々な森林環境で見られる[1]。
形態
[編集]四肢は細くて短い。ふさふさした尾を持つ。雌は雄より1/3程度大きい[3]。体毛は滑らかで分厚く、足には水かきがあり、部分的に水生であることを示唆していると考えられる[6]。肩高25–30 cm、頭胴長100 cm、尾長30–35 cmになる。体重は9–10 kg[7]。耳は短く丸い。耳介の長さは34–56 mmと小さく、アレンの法則に該当しない部分もある一方、尾は小さくない[8]。
頭部は細長く、吻はキツネに似る。上顎の犬歯は非常に長く、口を閉じていても確認することができる。歯式は他のイヌ科と同じで、42本の歯を持つ[3]。
体色は暗灰色から灰赤色だが、濃紺・焦茶・黒などになることもあり、年齢・分布域・換毛などにより変化すると考えられている。背の正中線上は黒い。腹面は赤色がかる。腰から尾の付け根の腹面には、斑に明るい色の毛が生える[6]。
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全身
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イラスト
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毛皮(ゼンケンベルク自然博物館所蔵)
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頭骨
餌
[編集]主に肉食で、魚・昆虫・小型哺乳類などを食べる。ペルーのコチャ・カシュ生物学研究拠点での調査では、魚28%、昆虫17%、小型哺乳類13%、果物10%、鳥10%、カニ10%、カエル4%、爬虫類3%という構成だった[9]。
生態
[編集]非常に稀な種であり、詳細な生態は不明である[1]。
猫のように忍び足で歩く。多くのイヌ科動物が比較的開けた場所に住むのに対し、コミミイヌは密林に住んでおり、獲物に忍び寄る習性があると推測されている[8]。主に森林で単独生活し、人を避ける。雄は興奮すると、臭腺から麝香様の匂いを出す[7]
寿命や妊娠期間は不明だが、1歳ほどで性成熟すると推定されている[7]。
保全状況
[編集]ジャガー・ピューマ・オセロット・マーゲイ・オオカワウソ等と餌の面で、ヤブイヌとは縄張りの面で競合する。
個体数は15000以下と推定される[10]。野犬は顕著な脅威となっており、犬ジステンパーや狂犬病が野生個体群に拡散する原因となっている。熱帯林の破壊による影響も受けていると考えられる。IUCNは保全状況を準絶滅危惧としている[1]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f Leite-Pitman, M.R.P. & Williams, R.S.R. (2011). "Atelocynus microtis". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2014.1. International Union for Conservation of Nature. 2014年6月17日閲覧。
- ^ a b c d Wozencraft, W.C. (2005). "Order Carnivora". In Wilson, D.E.; Reeder, D.M (eds.). Mammal Species of the World: A Taxonomic and Geographic Reference (3rd ed.). Johns Hopkins University Press. pp. 532–628. ISBN 978-0-8018-8221-0. OCLC 62265494。
- ^ a b c d Atelocynus microtis in canids.org
- ^ R. Burton; International Wildlife Encyclopedia, 2002
- ^ Pietrzak, 2007
- ^ a b ADW: Atelocynus microtis: Information
- ^ a b c ECOLOGY AND CONSERVATION OF THE SHORT-EARED DOG (Atelocynus microtis) AT COCHA CASHU BIOLOGICAL STATION, PERU
- ^ a b 今泉忠明著、『野生イヌの百科』データハウス社刊行、1993年、130-131頁
- ^ Lioncrusher's Domain - Small Eared Zorro (Atelocynus microtis) facts and pictures
- ^ IUCN/SSC Canid Specialist Group: Small Eared Zorro
参考文献
[編集]- M.R.P Leite Pitman and R.S.R. Williams. Short-eared dog;Atelocynus microtis (Sclater, 1883).C-S. Zubiri, M. Hoffmann and D. W. Macdonald. Canids: Foxes, Wolves, Jackals and Dogs - 2004 Status Survey and Conservation Action Plan. IUCN Publications Services Unit, 219c Huntingdon Road, Cambridge CB3 0DL, United Kingdom, 2004.
- Alderton, David. Foxes, Wolves and Wild Dogs of the World. Blandford Press: United Kingdom, 1998.
- Nowak, Ronald. Walker's Carnivores of the World. The Johns Hopkins University Press: Baltimore, 2005.