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サクライソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サクライソウ
サクライソウ、岐阜県美濃地方、2023年6月27日撮影
サクライソウ
2023年6月末、岐阜県美濃地方にて
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: サクライソウ目 Petrosaviales
: サクライソウ科 Petrosaviaceae
: サクライソウ属 Petrosavia
: サクライソウ P. sakuraii
学名
Petrosavia sakuraii (Makino) J.J.Sm. ex Steenis[1]
シノニム
  • Protolirion sakuraii (Makino) Dandy[2]
  • Miyoshia sakuraii Makino[3]
和名
サクライソウ

サクライソウ(桜井草、学名Petrosavia sakuraii (Makino) J.J.Sm. ex Steenis[1])は、サクライソウ科サクライソウ属分類される多年草腐生植物の1[4][5][6]。和名は1903年岐阜県恵那山麓で桜井半三郎により発見されたことに由来する[5]種小名(sakuraii)も桜井半三郎の名前に由来する[6]。岐阜県出身の植物学者三好学を記念して、Miyoshia sakuraii Makino[3]の学名が発表された[5]。のちにマレー半島などに産するProtolirion属のものであると分かり、P. miyoshia-sakuraii Makino[6]と改められたが、この種小名が命名規約に合わないので現在の学名となった[5]

特徴

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根茎は地中で無毛薄膜質の鱗片があり、ひげを出す[6]。高さ7 - 20 cm[4][5]は束生し[6]、薄黄色で細く硬く[5]、下部に多数の鱗片互生する[4]。鱗片葉は広卵形、膜質、長さ2 - 5 mm[5]

茎頂に総状花序直径3.5 - 4 mmのを上向きに[6]つける[4]。花ごとに短い花柄がある[6]花被片は6個あり[4]斜めに開き[6]、卵状3角形で、基部で漏斗状に合着する[5]。内片は約1.5 mm[4]、外片はその半分[5]雄蕊6個は内片よりやや短く[4]は卵形[5]雌蕊花柱は3裂する[4]。花期は7月[4][5]

蒴果は長さ3 mm、上向軸面で裂開し、種子は楕円形で長さ0.5 mm、縦条がある[5]染色体数は2n=60の四倍体で、問期染色体は球形前染色体型、分裂前期染色体は基部型[7]

分布・生育環境

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サクライソウが生育する山地の林

日本台湾にごく稀に分布する[5]。日本では本州福井県石川県、岐阜県、京都府)に分布する[4][5]。第2の産地が大正3年に発見された岐阜県可児市久々利浅間山[8]、次に京都府で見いだされ、その後福井県と石川県で発見された[5]。最初に発見された恵那山麓福岡では絶滅したと見られている[9]九州奄美大島)に分布する[4][5]とされていたものは、2021年に新種のアマミサクライソウ(奄美桜井草、学名:Petrosavia amamiensis Hir. Takah., T. Yukawa & Maki)と命名された[10]

山地下に生育する[5][6]

種の保全状況評価

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国指定天然記念物『久々利のサクライソウ自生地』がある浅間山

日本では環境省によるレッドリストで絶滅危惧IB類(EN)の指定を受けていて[11]、以下の都道府県のレッドリストで指定を受けている。1978年昭和53年)8月15日に、『久々利のサクライソウ自生地』が、珍奇又は絶滅に瀕した植物自生地として国指定天然記念物の指定を受けている[12]。岐阜県多治見市では『高社のサクライソウ自生地』が、1996年平成8年)1月25日に市指定の天然記念物の指定を受けている[13]

絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト

[11]

脚注

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠. “サクライソウ”. (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info(2024年11月6日). 2024年11月6日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠. “サクライソウ”. (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info(2024年11月6日). 2024年11月6日閲覧。
  3. ^ a b 米倉浩司・梶田忠. “サクライソウ”. (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info(2024年11月6日). 2024年11月6日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k 門田 (2013)、47頁
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 佐竹 (1982)、22-23頁
  6. ^ a b c d e f g h i 牧野 (1982)、722頁
  7. ^ 田村 (1998)、55頁
  8. ^ 久々利の自然(サクライソウ)”. 可児市. 2024年11月6日閲覧。
  9. ^ サクライソウ”. 岐阜県. 2024年11月6日閲覧。
  10. ^ 高橋 (2022)、102頁
  11. ^ a b 環境省レッドリスト2020の公表について”. 環境省 (2020年3月27日). 2024年11月6日閲覧。
  12. ^ 久々利のサクライソウ自生地”. 文化庁. 2024年11月6日閲覧。
  13. ^ 指定文化財一覧”. 多治見市. 2024年11月7日閲覧。
  14. ^ いしかわレッドデータブック2020、植物編” (PDF). 石川県. pp. 66. 2024年11月6日閲覧。
  15. ^ 長野県版レッドリスト(植物編)2014維管束、維管束類のリスト” (PDF). 長野県. pp. 4. 2024年11月6日閲覧。
  16. ^ レッドデータブックあいち2020” (PDF). 愛知県. pp. 110. 2024年11月6日閲覧。
  17. ^ 京都府レッドデータブック2015、サクライソウ”. 京都府. 2024年11月6日閲覧。
  18. ^ 改訂版 福井県の絶滅のおそれのある野生動植物” (PDF). 福井県. pp. 300. 2024年11月6日閲覧。
  19. ^ レッドリスト(平成26年改訂)、植物(維管束類)のリスト” (PDF). 鹿児島県. pp. 24. 2024年11月6日閲覧。

参考文献

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  • 門田裕一、畔上能力、永田芳男、菱山忠三郎、西田尚道『山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年3月30日。ISBN 978-4635070218 
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本Ⅰ単子葉類』平凡社、1982年1月10日。ISBN 4582535011 
  • 髙橋弘、遊川知久、牧雅之「奄美大島に産するサクライソウ属(サクライソウ科)の新種アマミサクライソウ」(PDF)『植物地理・分類研究』第70巻第1号、日本植物分類学会、2022年、102頁、doi:10.18942/chiribunrui.0701-27 
  • 田村実、高橋弘「腐生植物サクライソウの核型分析と分類学的示唆」(PDF)『植物分類,地理』第49巻第1号、日本植物分類学会、1998年、49-56頁、doi:10.18942/bunruichiri.KJ00001077368NAID 110003758639 
  • 牧野富太郎『原色牧野植物大図鑑』北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZE。 

外部リンク

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