サザナミヤッコ
サザナミヤッコ | ||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Pomacanthus semicirculatus Cuvier, 1831 | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Semicircle angelfish Koran angelfish blue angelfish zebra angelfish half-circled angelfish |
サザナミヤッコ(学名:Pomacanthus semicirculatus) は、キンチャクダイ科に分類される海水魚の一種。インド太平洋に分布する。
分類と名称
[編集]1831年、フランスの博物学者であるジョルジュ・キュヴィエによって Holacanthus semicirculatus として記載され、タイプ産地はインドネシアとパプアニューギニアであった。種小名は「半円の」という意味で、幼魚の体後半部にある半円形の模様に由来する[2]。和名は体側の波紋のような模様に由来する[3]。
分布
[編集]西はスーダンから南アフリカ共和国までの東アフリカ、紅海からインド洋を通り、東は太平洋のフィジー、トンガ、サモアまで、北は南日本、南はオーストラリアまで、インド太平洋に広く分布する[1]。オーストラリアでは、西オーストラリア州からシドニーまで広く分布しており、幼魚はメリンブラでも観察されている。クリスマス島、ココス諸島、タスマン海のロード・ハウ島でも見られる[4]。1999年以降、フロリダ州沖で散発的に観察されており、2005年以降、ハワイ諸島のオアフ島でも見られている[5]。日本では伊豆諸島、小笠原諸島、屋久島、琉球列島で見られ、死滅回遊魚として、黒潮に乗った個体が本州沿岸でも散発的に観察される[6]。
形態
[編集]体は側扁し、体高は高い。背鰭は13棘と20 - 23軟条から、臀鰭は3棘と18 - 22軟条から成る。全長は最大40 cm[7]。成魚は全体に緑褐色で、体の中央部は淡い黄緑色。体には多数の斑点が散らばり、中央部では紺色で、後部では水色。胸鰭は黄色で、それ以外の鰭と鰓は青い蛍光色で縁取られる。目の周りにもアイシャドーのように青色の縁取りがある。口は小さく、吻は黄色[4]。背鰭と臀鰭が後方に伸びる[8]。
幼魚のときは体の模様が全く異なり、黒地に白色と青色の湾曲した細い横縞が多数入る[4]。体長8 - 16 cmで徐々に体色が変化する[5]。
良く似た種
[編集]ロクセンヤッコ、アデヤッコ、タテジマキンチャクダイ、本種の幼魚はそれぞれ似ている。タテジマキンチャクダイは体長2 cm以下の個体がよく似るが、サザナミヤッコの幼魚にある吻端から背中の白い線がない。ロクセンヤッコは模様の入り方が似ているが、サザナミヤッコでは白線が大きくカーブしているのに対し、直線的である。アデヤッコはロクセンヤッコの幼魚と似るが、成長に伴い目の周囲が次第にオレンジ色になる。
生態
[編集]水深1 - 40 mのサンゴ礁に生息する。雑食性で海藻、ホヤ、カイメンなどを食べる[7]。幼魚は警戒心が高く、近づくのは難しい[5]。幼魚は浅い場所に多く、成魚は隠れる場所の多いサンゴ礁を好む。また難破船でも見られる[1]。通常単独またはペアで行動する[7]。
人とのかかわり
[編集]観賞魚として流通している[1]。丈夫で飼育しやすいが、気が強いので他の魚を追い回すことがあり、気の弱いニシキヤッコなどは同居させる際に注意が必要。沖縄県では食用に販売されることもある[3]。
脚注
[編集]- ^ a b c d Pyle, R.; Myers, R.F.; Rocha, L.A.; Craig, M.T. (2010). “Pomacanthus semicirculatus”. IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T165851A6148505. doi:10.2305/IUCN.UK.2010-4.RLTS.T165851A6148505.en 4 March 2024閲覧。.
- ^ “Order ACANTHURIFORMES (part 1): Families LOBOTIDAE, POMACANTHIDAE, DREPANEIDAE and CHAETODONTIDAE”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara (21 July 2020). 4 March 2024閲覧。
- ^ a b “サザナミヤッコ 市場魚貝類図鑑”. ぼうずコンニャク. 2024年3月4日閲覧。
- ^ a b c Dianne J. Bray. “Pomacanthus semicirculatus”. Fishes of Australia. Museums Victoria. 4 March 2024閲覧。
- ^ a b c Schofield, P.J.. “Pomacanthus semicirculatus (Cuvier in Cuvier and Valenciennes, 1831)”. Fishes of Australia. USGS. 4 March 2024閲覧。
- ^ 『小学館の図鑑Z 日本魚類館』306頁
- ^ a b c Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Pomacanthus semicirculatus" in FishBase. March 2024 version.
- ^ “Pomacanthus semicirculatus”. Saltcorner!. Bob Goemans (2012年). 4 March 2024閲覧。
参考文献
[編集]- 中坊徹次『小学館の図鑑Z 日本魚類館』小学館 ISBN 978-4-09-208311-0