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サーミ大学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サーミ大学
Sámi allaskuvla
サーミ大学が入る建物
サーミ大学が入る建物
サーミ大学の位置(ノルウェー内)
サーミ大学
サーミ大学
サーミ大学 (ノルウェー)
地図
別名 サーミ応用科学大学
種別 国立専門大学
設立年 1989年 (1989)
所在地  ノルウェー
フィンマルク県カウトケイノ
北緯69度0分49.3秒 東経23度2分19.2秒 / 北緯69.013694度 東経23.038667度 / 69.013694; 23.038667座標: 北緯69度0分49.3秒 東経23度2分19.2秒 / 北緯69.013694度 東経23.038667度 / 69.013694; 23.038667
教授言語 北部サーミ語
公式サイト samas.no
ロゴ
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サーミ大学(サーミだいがく、北部サーミ語: Sámi allaskuvla ; SA, ノルウェー語: Samisk høgskole ; SH)は、ノルウェーの国立専門大学 (statlig høgskole) である[1][2][3][4]

名称

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機関の英語名は、設立当初はサーミ・カレッジ (Sámi College) であったが、2000年に名称変更が行われ、サーミ・ユニバーシティ・カレッジ (Sámi University College ; SUC) となった[5]。2016年以降はサーミ・ユニバーシティ・オブ・アプライド・サイエンシス (Sámi University of Applied Sciences ; SUAS) となっており、サーミ応用科学大学と訳される[6][5]

概要

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フィンマルク県カウトケイノにある[7][8]。学術施設、ディエトシーダ英語版ノルウェー語版の中に、国際トナカイ飼育センター (Internasjonalt reindriftssenter) やサーミ公文書館英語版ノルウェー語版、サーミ議会のカウトケイノ分室やノルウェー国内人権機関ノルウェー語版のカウトケイノ分室とともに入居している[9]

サーメ語ノルウェー語フィンランド語などを扱う言語学部、社会科学、歴史学、法学、哲学、ジャーナリズムなどを扱う社会科学部、トナカイ畜産、伝統工芸、漁業、自然科学などを扱う産業・自然科学部の3つの学部を擁し、大学院の修士課程および博士課程が設置されている[10][11][6]。主要な教授言語は、北部サーミ語である[12][6][13]

名誉教授には、サーミ議会英語版ノルウェー語版の初代議長を務めたオーレ・ヘンリック・マッガ英語版ノルウェー語版などがいる [7]。2012年から2016年にかけての戦略計画では、教育機関の目標として、先住民族の高等教育機関としての専門大学の特性を可視化すること、サーミの文化的な遺産を保護し、振興すること、伝統的な知識を科学と結びつけること、社会の需要や変化に合わせて進化することなどが掲げられている[14][15][4]

由来

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1973年、北欧サーミ研究所英語版ノルウェー語版が創設される[16]。1974年、アルタ教員養成カレッジノルウェー語版が創設される[16]。1989年、アルタ教員養成カレッジを移管する形で、サーミの文化および言語を発展・向上させることを目的として、サーミ大学が設立される[17][3][8][18][16]。2005年、北欧サーミ研究所と合併する[19][20][21]。2009年、ディエトシーダの中に移転する[9]

脚注

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  1. ^ 田辺陽子 2017.
  2. ^ 小内透 2013, p. 20.
  3. ^ a b Samisk lærerutdanning— - mellom ulike kunnskapstradisjoner”. Regjeringen.no. 2021年4月4日閲覧。
  4. ^ a b Sámi University College Strategic Plan 2012–2016”. サーミ大学. 2021年4月4日閲覧。
  5. ^ a b Keskitalo 2017, p. 83,93.
  6. ^ a b c アイヌ工芸品等の販路拡大に向けた調査事業報告書”. 北海道環境生活部アイヌ政策推進局アイヌ政策課 (2020年2月). 2021年4月4日閲覧。
  7. ^ a b 田辺陽子 2017, p. 50.
  8. ^ a b Thingnes 2019.
  9. ^ a b 田辺陽子 2017, p. 54.
  10. ^ 品川ひろみ 2013, p. 61.
  11. ^ 2 Aktører og ansvarsfordeling”. サーミ大学. 2021年4月4日閲覧。
  12. ^ 田辺陽子 2017, p. 55.
  13. ^ Tildelingsbrev 2020 for Samisk høgskole”. Regjeringen.no (2019年12月17日). 2021年4月4日閲覧。
  14. ^ 田辺陽子 2017, p. 53.
  15. ^ 品川ひろみ 2013, p. 63.
  16. ^ a b c 小内透 2013, p. 18.
  17. ^ High-level education in Sámi, for the Sámi”. UiT The Arctic University of Norway Library (2020年7月1日). 2021年4月4日閲覧。
  18. ^ Keskitalo 2017, p. 93.
  19. ^ Keskitalo 2017.
  20. ^ 品川ひろみ 2013, p. 60.
  21. ^ Sámi University College”. Scan Client Publishing. 2021年4月4日閲覧。

参考文献

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  • 田辺陽子「ノルウェーの高等教育機関と先住民族教育 ─サーミ大学を事例として─」『国際教育』第23巻、日本国際教育学会、2017年、49-64頁、ISSN 0918-5364 
  • 小内透「第1章 ノルウェー・サーミの概況」『「調査と社会理論」研究報告書』第29巻、北大教育学研究院教育社会学研究室、2013年3月31日、13-40頁。 
  • 品川ひろみ「第3章 サーミの教育の歴史と現状」『「調査と社会理論」研究報告書』第29巻、北大教育学研究院教育社会学研究室、2013年3月31日、53-65頁。 
  • Jorunn Simonsen Thingnes (2019-10-04). “Making linguistic choices at a Sámi University: negotiating visions and demands”. Current Issues in Language Planning (Taylor & Francis) 21 (2): 153-174. https://doi.org/10.1080/14664208.2019.1671712. 
  • Jan Henry Keskitalo ほか (2017-12). “Sámi Cultural Properties of the Numbers Three and Four”. Journal of Mathematics and Culture (North American Study Group on Ethnomathematics): 153-174. ISSN 1558-5336. https://hdl.handle.net/10037/14047.