ザリガニ・パーティー

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スウェーデンの伝統に従い、ザリガニをディルで調理

ザリガニ・パーティーは、北欧諸国、及びアメリカ合衆国のルイジアナ州を中心とした南部で春から夏にかけて行われる、ザリガニを食べ飲酒をする行事のこと。ヨーロッパのものはスウェーデンが発祥の地で(スウェーデン語: kräftskiva)、フィンランドへも広まった(フィンランド語: rapujuhlat)。ヨーロッパでのパーティーは概ね8月中に行われるが、これは20世紀に入ってからザリガニ漁が晩夏までとなったためである。しかし地元で獲れるヨーロッパザリガニは高価なため、実際には冷凍で大量に輸入されるウチダザリガニ(大半がアメリカ合衆国ルイジアナ州産か中国産)が多くを占めている。ルイジアナ州のパーティは英語でCrawfish Boilと呼ばれ、主に3月から7月まで行われる。冷凍のものは使わない。

茹で立てのザリガニ(ルイジアナ州)
Kräftskivaの紙製ランプ

ヨーロッパの場合、ザリガニは塩水でゆで、新鮮なディルなどの香草で風味をつけ、ゆでたザリガニは、冷めてから手づかみで食べる。ルイジアナ州の場合、主に塩、赤唐辛子、パプリカでできた香辛料に玉ねぎ、ニンニク、レモンを加えた熱湯に、生きたままのザリガニを大量に(通常は40ポンド、18kg)投入し、茹で立てを食する。ザリガニの殻の中のミソやゆで汁を音をたててすすることはマナーとして許されている。ヨーロッパではアクアビットやそのほかにスナップスなどのアルコール飲料、またはビールや子供はレモン入りの甘い炭酸水をおともに、パンクリスプ・ブレッド、味の濃いヴェステルボッテン・チーズのパイやキノコのパイ、サラダが並ぶ。どちらも基本的には屋外で行われる。ヨーロッパの食卓には紙製テーブルクロス、前掛け、コミカルな紙製帽子、『月の男』を模した紙製ランタンが用意される。ルイジアナ州の場合、一緒に茹でたとうもろこしやじゃがいもなどと共にテーブルの上に置いた新聞紙の上に広げて、好きな分量を取って食べる。旬を迎えるのがその前後であることから、イースターの休日に行われることが多い。どちらも屋外で飲んで楽しむ伝統的な行事である。