ザ・ミュージック・ゴーズ・ラウンド・アンド・ラウンド
「ザ・ミュージック・ ゴーズ・ラウンド・アンド・ラウンド (The Music Goes Round and Round)」は、1935年に書かれたポピュラー音楽の歌。
歴史
[編集]作曲は、エドワード・ファーレイ (Edward Farley)とマイク・ライリー、作詞はレッド・ホジソン (Red Hodgson) によるこの曲は、1935年に出版された。この曲はトミー・ドーシーが録音し、1936年にヒット曲となった[1]。この歌は、コロンビア ピクチャーズによる1936年の映画『粋な紐育っ子 (he Music Goes 'Round)』の中でも用いられた。『ニューヨーク・タイムズ』紙は「この映画について、敢えて酷い言い方をするなら、ファーレイとライリーのシークエンスが、この新作映画で一番良い箇所だということになるだろう。少なくとも、この箇所は、単なる幕間の音楽以上のものであるようなそぶりはしないが、どこかのおせっかいな若造がバルブが3つあるサックス・ホルン (a three-valve sax horn) は、どういう仕組みなんだろうとか馬鹿げた質問をするような、酷い状態が人々の間に蔓延していることを、首根っこを引っ掴むように描いて見せている。ニュース映画『ザ・マーチ・オブ・タイム』のように、この箇所は社会現象を活写した記録となっており、ここではある歌のヒットが疫病のごとく、まるで日本の甲虫(Japanese beetles:マメコガネのこと)や チェーンメールのように蔓延していく姿が捉えられている[2]。以降、数多くのアーティストたちが吹き込みを行ない、この曲はポップやジャズのスタンダード曲となった。この曲は長らく、アメリカ合衆国メリーランド州カレッジパークのカレッジ・ラジオWMUC-FMの『Irrelevant Show』のテーマ曲として用いられており、また、オーストラリアのメルボルンの 3CR AM の『Nostalgia Unlimited』でも同じように使用されている。
トミー・ドーシーの楽団が、イーディス・ライトをフィーチャーしたバージョン(曲中でふたりは互いに相手に言及する)は、2009年の映画『僕と彼女とオーソン・ウェルズ』のエンディングのクレジットで流される。
ダニー・ケイは、1959年の映画『5つの銅貨』の中で、スーザン・ゴードンと一緒に独自のバージョンでこの曲を歌った。このバージョンは、エラ・フィッツジェラルドが1961年のアルバム『Clap Hands, Here Comes Charlie!』(ヴァーヴ・レコード)で取り上げた。
ディズニーは、この曲を全面的に使って、ドナルド・ダックの短編作品『ドナルドの物理教室』(1961年)を制作しており、その際には、「Oh you / I blow through here.」という歌詞によって、先行した作品『ドナルドのトロンボーン騒動』(1944年)をも踏まえていた。
日本語での歌唱
[編集]この曲は、日本にも同時代から紹介されており、1936年には、渡辺良が北村季俊の作詞により「ミュージック・ゴーズ・ラウンド」として[3]、榎本健一がサトウ・ハチローの作詞により「エノケンの浮かれ音楽」として[4]、また、岸井明も独自の歌詞により、同名の映画と連動した「唄の世の中」として[5]、それぞれ日本語の歌唱によるレコードを出した。
1981年には外山喜雄訳詞で、自身と実子によるデュエット曲として「デキシーワンダーランド」がNHKの『みんなのうた』で放映されている。
脚注
[編集]- ^ “'Music Goes Round and Round' Perpetrated by 'Red' Hodgson. Author of Dizzy Tune Settles Controversy With Farley, Riley; Only a Variation of 'Dinah,' He Asserts.”. Washington Post. (1937年2月7日). "Chicago (Associated Press) Less than a year ago the gayer circles of the country were in the throes of a bit of musical mania wherein the song and the singer went round and round deliriously."
- ^ “The Music Goes 'round (1936). Notes for the Record on 'Music Goes 'Round,' at the Capitol, and Other Recent Arrivals.”. New York Times. (1936年2月22日) 2008年10月2日閲覧. "If we really wanted to be nasty about it, we could say that this Farley-Riley sequence is the best thing in the new picture. At least it makes no pretense of being anything but a musical interlude dragged in by the scruff of its neck to illustrate the devastating effect upon the public of some anonymous young busybody's question about the workings of a three-valve sax horn. Like the "March of Time," it preserves in film the stark record of a social phenomenon—in this case, the conversion of a song hit into a plague, like Japanese beetles or chain letters."
- ^ “ジャズコーラス:ミュージック・ゴーズ・ラウンド”. 国立国会図書館. 2015年9月25日閲覧。
- ^ 菊池清麿. “『日本流行歌変遷史』(論創社)”. 菊池清麿. 2015年9月25日閲覧。
- ^ “唄の世の中(ミュージック・ゴーズ・ラウンド)”. 国立国会図書館. 2015年9月25日閲覧。