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シイノキカズラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シイノキカズラ
シイノキカズラの花
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類
core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ群 fabids
(真正バラ類I eurosids I)
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: ナツフジ連 Millettieae
: ドクフジ属 Derris
: シイノキカズラ D. trifoliata
学名
Derris trifoliata Lour.
シイノキカズラの奇数羽状複葉
護岸ブロック上に生育するシイノキカズラ(沖縄県石垣市名蔵)

シイノキカズラ(別名ギョトウ、学名:Derris trifoliata[1])はマメ科シイノキカズラ属常緑つる性木本

和名は小葉がシイに似ることから付けられた[2][3]。鹿児島県絶滅危惧II類[4]

特徴

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茎は木の上を這うように伸び、長さ3–6 m。葉は奇数羽状複葉が互生する。小葉は5–7枚、全縁の長楕円状卵形で対生し、長さ4–9 cm、幅2–4 cm、濃緑色で光沢のある革質、先端は尾状に伸びて尖る。枝葉ともに無毛。

花は白色~薄紫色がかった蝶形花で長さ7–10 mm、総状~円錐状で長さ5–10 cmの花序につく。開花期は夏。豆果は長さ2.5–5 cmほど、ゆがんだ広楕円形で、表面に網目模様、融合線上に狭い翼がある。熟すと黒色になり、中に通常1個の種子を含む。豆果ごと海流散布される[5][6][7][2][3]

分布と生育環境

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奄美大島以南の南西諸島。海外では台湾、中国南部、東南アジア、インド、オーストラリア北部、アフリカ東岸、マダガスカル、ポリネシアに産する。海岸林内や沿海地、マングローブ林縁に生育する。奄美群島では少ないが、八重山列島では道路沿いや山地林縁に比較的多い[5][7][2][3]

利用

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結束用[6]、縄類製作用。沖縄県宮古島市上野宮国では、旧盆伝統行事の大綱引きの綱の材料に本種を用いている[8][9]

この他、有毒のロテノイドを含むことから、かつては殺虫剤や魚毒に使われた[7]。ロテノイドは殺虫・魚毒効果に加えオルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)阻害活性も有する[10]ことから、本種から抽出されたロテノイドの発癌予防活性について研究されている[11](Ito et al. 2004)。

脚注

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  1. ^ (米倉 & 梶田 2003)
  2. ^ a b c (大川 & 林 2016, p. 127)
  3. ^ a b c (中西 2020, p. 203)
  4. ^ (鈴木ほか 2022, p. 240)
  5. ^ a b (初島 1975, p. 338)
  6. ^ a b (池原 1979, p. 43)
  7. ^ a b c (湯浅 & 前川 1987, p. 164)
  8. ^ 宮古島市指定無形民俗文化財 宮国の大綱引き”. 沖縄県宮古島市. 2024年8月16日閲覧。
  9. ^ 伝統大綱引きで祖先送る 上野宮国 4年ぶりに通常開催”. 宮古新報(沖縄県宮古島市). 2024年8月16日閲覧。
  10. ^ (田井 1999, p. 166–167)
  11. ^ (Ito et al. 2004, p. 585–588)

参考文献

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  • 米倉浩司; 梶田忠 (2003年). “シイノキカズラDerris trifoliata Lour.”. BG Plants 和名-学名インデックス (YList). 2024年7月1日閲覧。
  • 初島住彦『琉球植物誌(追加・訂正版)』沖縄生物教育研究会、1975年。 
  • 池原直樹『沖縄植物野外活用図鑑 第4巻 海辺の植物とシダ』新星図書出版、1979年。 
  • 湯浅浩史; 前川文夫『マメ科資源植物便覧』(財)日本科学協会、1987年。ISBN 9784887162266 ※ Derris uliginosaと記述
  • 大川智史; 林将之『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版、東京都新宿区、2016年。ISBN 9784829984024 
  • 中西弘樹『フィールド版 日本の海岸植物図鑑』トンボ出版、2020年。ISBN 9784887162266 
  • 鈴木英治; 丸野勝敏; 田金秀一郎; 寺田竜太; 久保紘史郎; 平城達哉; 大西亘「鹿児島県の維管束植物分布図集-全県版-」『鹿児島大学総合研究博物館研究報告』第17巻、鹿児島大学総合研究博物館、240頁、2022年。ISSN 2188-9074https://www.museum.kagoshima-u.ac.jp/publications/plants/map_Kagoshima_all.pdf 
  • 田井孝明「ロテノイドの殺虫効果とガン予防との密接な関係」『ファルマシア』第35巻、第2号、(公社)日本薬学会、166–167頁、1999年。doi:10.14894/faruawpsj.35.2_166https://doi.org/10.14894/faruawpsj.35.2_166 
  • Ito, Chihiro; Itoigawa, Masataka; Kojima, Naoki; Tan, Hugh T.-W.; Takayasu, Junko; Tokuda, Harukuni; Nishino, Hoyoku; Furukawa, Hiroshi (2004), “Cancer chemopreventive activity of rotenoids from Derris trifoliata, Planta Medica (Stuttgart) 70 (6): 585–588, doi:10.1055/s-2004-815447, https://doi.org/10.1055/s-2004-815447 

外部リンク

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