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シトリニン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シトリニン
Skeletal formula of citrinin{{{画像alt1}}}
Space-filling model of the citrinin molecule{{{画像alt2}}}
識別情報
CAS登録番号 518-75-2 チェック
PubChem 54680783
ChemSpider 10222475 ×
UNII 3S697X6SNZ ×
KEGG C16765 ×
ChEMBL CHEMBL510139 ×
特性
化学式 C13H14O5
モル質量 250.25 g mol−1
外観 レモン色の結晶
融点

175 °C, 448 K, 347 °F (分解(乾燥条件)、水の存在下では100℃で分解)

への溶解度 溶けない
危険性
安全データシート(外部リンク) MSDS
GHSピクトグラム 急性毒性(高毒性)経口・吸飲による有害性
Hフレーズ H301, H311, H331, H351
Pフレーズ P261, P280, P301+310, P311
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

シトリニン(citrinin)は、HetheringtonならびにRaistrickによって1931年にPenicillium citrinumの培養液から単離されたマイコトキシンの一種である[1]。以後、穀物やチーズ、日本酒、赤色色素といった人間の食品の生産において使われる様々な菌によって産生されることが明らかにされている。シトリニンは市販の紅麹米からも見出されている[2]

毒性

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シトリニンは試験された全ての種において腎臓毒として作用するが、その急性毒性には差異がある[3]。シトリニンは家畜において真菌性腎症を引き起こし、ヒトにおけるバルカン腎症や黄色米熱の原因と考えられている。

シトリニンは生物学研究の試薬として使用されている。シトリニンはミトコンドリア透過孔の開口を誘導し、呼吸鎖複合体IIIを妨げることによって細胞呼吸を阻害する。

シトリニンはヒトの皮膚を透過することができる[4]。農業あるいは生活環境における皮膚接触後に顕著な健康リスクはないとはいえ、皮膚接触は避けなければならない。

生産者

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シトリニンは以下の種を含む様々な菌によって産生される。

ほか

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1971年、保存中の羊毛を黄変させる物質に含有されていたとの報告がある[8]

脚注

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  1. ^ Hetherington, A. C.; Raistrick, H. (1931). “On the Production and Chemical Constitution of a New Yellow Colouring Matter, Citrinin, Produced from Glucose by Penicillium citrinum Thom”. Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences 220 (468-473): 269-295. doi:10.1098/rstb.1931.0025. ISSN 0962-8436. 
  2. ^ Gordon, R. Y.; Cooperman, T.; Obermeyer, W.; Becker, D. J. (2010). “Marked Variability of Monacolin Levels in Commercial Red Yeast Rice Products: Buyer Beware!”. Archives of Internal Medicine 170 (19): 1722-1727. doi:10.1001/archinternmed.2010.382. PMID 20975018. 
  3. ^ Bennett, J. W.; Klich, M. (2003). “Mycotoxins”. Clinical Microbiology Reviews 16 (3): 497-516. doi:10.1128/CMR.16.3.497-516.2003. PMC 164220. PMID 12857779. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC164220/. 
  4. ^ Boonen, Jente; Malysheva, Svetlana V.; Taevernier, Lien; Diana Di Mavungu, José; De Saeger, Sarah; De Spiegeleer, Bart (2012). “Human skin penetration of selected model mycotoxins”. Toxicology 301 (1-3): 21-32. doi:10.1016/j.tox.2012.06.012. PMID 22749975. 
  5. ^ a b 高橋治男, 矢崎廣久, 真鍋勝, 松浦慎治, 木村修一「Penicillium citrinumおよびAspergillus flavus接種蒸し白米粒の内部におけるシトリニンならびにアフラトキシンの分布」『マイコトキシン』第1990巻第31号、日本マイコトキシン学会、1990年、49-53頁、CRID 1390282679761122688doi:10.2520/myco1975.1990.49ISSN 0285-1466 
  6. ^ citrinin product page from Fermentek
  7. ^ 石川行弘, 守本京三, 浜崎敞「Penicillium属の生産する抗酸化剤であるシトリニンについて」『油化学』第37巻第1号、日本油化学会、1988年、51-53頁、CRID 1390282680310598528doi:10.5650/jos1956.37.51ISSN 0513398X国立国会図書館書誌ID:3169534 
  8. ^ 藤木清子「羊毛汚染菌代謝産物としてのシトリニン」『明治大学農学部研究報告』第27巻、明治大学農学部、1971年3月、39-45頁、CRID 1050857534501219584hdl:10291/5410ISSN 0465-6083