シド・フライシュマン
シド・フライシュマン(Sid Fleischman、1920年[1]3月16日 - 2010年3月17日)は、アメリカ合衆国の小説家(児童文学作家)である。代表作は『ペテン師山』("Humbug Mountain"、未訳)。息子のポール・フライシュマンも児童文学作家である。
経歴と作風
[編集]本名アルバート・シドニー・フライシュマン(Albert Sidney Fleischman)。ロシア・ユダヤ人移民の家庭にニューヨーク州ニューヨーク市で生まれ、カリフォルニア州で育った。少年時代は奇術に傾倒し、高校卒業後には手品師として全米を巡業した。17歳の時にはプロ向けの奇術の本を上梓している。[1]
第二次世界大戦では海軍の予備役下士官として従軍(その際、東南アジア、東インド、中国を回って見聞を広めた)[2]。戦後、サンディエゴ大学で文学を修め、記者や編集者を経て小説家となる[1]。
初期には一般向けのミステリを書いた(映画脚本もある)が、1960年代以降は児童向け作品を書く。代表作の"Humbug Mountain"(ペテン師山)は1979年度ボストングローブ・ホーンブック賞を受賞。『身代わり王子と大どろぼう』では1987年度ニューベリー賞を受賞した[1]。
アメリカ伝統のトール・テイル(法螺話)の流れをくんだ、ナンセンスさ漂うユーモラスな冒険ものを得意とする[2]。題材としては、前半生の経験を活かして「手品」を取り上げたもの(『ゆうれいは魔術師』)や「異国の海」を取り上げたもの(『真昼のゆうれい』)が見られる。19世紀のアメリカに興味を持ち[1]、物語の舞台とすることも少なくない(『ぼくのすてきな冒険旅行』、『十三階の海賊たち』、『ジンゴ・ジャンゴの冒険旅行』など)。トール・テイルに特化した作品としてはマクブルームを主人公とした一連の中編がある。
作品リスト
[編集]長編
[編集]- By the Great Horn Spoon! (1963)
- Ghost in the Noonday Sun (1965)
- 『真昼のゆうれい』久保田輝男訳、学習研究社、1970年
- Jingo Django (1971)
- The Whipping Boy (1986)
- The Scarebird (1988)
- The Midnight Horse (1990)
- 『ゆうれいは魔術師』渡邉了介訳、あかね書房、1994年
- 13th Floor a Ghost Story (1995)
- 『十三階の海賊たち』谷口由美子訳、偕成社、1997年
中編集
[編集]- McBroom's Wonderful One-acre Farm
- 『マクブルームさんのすてきな畑』金原瑞人訳、あかね書房、1994年
- Here Comes McBroom!
- 『マクブルームさんのへんてこ動物園』金原瑞人訳、あかね書房、1996年
日本語訳されたもののみ挙げた。下記外部リンクも参照。