コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

シビル・ウェッタシンハ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Kala Keerthi[1]

Sybil Wettasinghe[2]
(シビル・ウェッタシンハ)
සිබිල් වෙත්තසිංහ
生誕 1928年[2]10月31日[注釈 1][3][4]
ギントタ村[2], スリランカ
死没 (2020-07-01) 2020年7月1日(91歳没)
国籍 スリランカの旗スリランカ[2]
著名な実績 イラストレーション、絵本
代表作 『かさどろぼう』[2]
配偶者 ドン・ダルマパラ・ウェッタシンハ[3]
テンプレートを表示

シビル・ウェッタシンハ[注釈 2](Kala Keerthi Sybil Wettasinghe, 1928年[注釈 3][5] - 2020年7月1日[6])はスリランカの児童書作家・イラストレーター[7]。 彼女の本はいくつかの言語に翻訳されている[5]

生涯

[編集]

ウェッタシンハは1928年に生まれ、6歳までをスリランカ南部、ゴール近郊のギントタ村で過ごした[8][7][9]。 ウェッタシンハの家族はコロンボに転居し、ジャフナの聖家族修道会の学校に入学した[3][10]。 15歳で最初の作品を描いた[2]。この作品は5年後に出版された[2]。 17歳の時、ウェッタシンハはランカディーパ新聞社に就職した[9]1952年、ウェッタシンハはレイクハウス出版に移り、ジャナサ新聞の主なイラストレーターになった。レイクハウスへの入社はウェッタシンハに新聞のネットワークへのアクセスを与えた。ウェッタシンハはサンデー・オブザーバーシルミナデイリー・ニュースそしてサラサヴィヤのためにイラストや文章を書いた。 1953年[2]、ウェッタシンハはレイクハウス新聞社の主任編集者であるドン・ダルマパラ・ウェッタシンハと結婚した[3]。2男2女の母[8][2]。 1992年、第8回野間絵本原画コンクールの国際審査員を務めた[11]IBBYのインドセクションの代表も務めた[12]。ウェッタシンハは子ども向け新聞「Bindu」も創設した[12] スリランカ在住[5]。 2020年没。

著作

[編集]

1952年、ジャナサ新聞で働きながら、ウェッタシンハは物語を書く初めての試みをした[3]。ウェッタシンハは新聞の子ども向けページ用に「クダ・ホラ(Kuda Hora)」と呼ばれる物語を作った[3]。「クダ・ホラ」は1956年にスリランカでオリジナル版が出版された[12]。「クダ・ホラ」はスリランカで初めて子ども向けに出版された本となった[12]。「クダ・ホラ」は1982年、日本で「かさどろぼう」のタイトルでフルカラー版が出版された[12]。この物語は最終的に国内外の批評家に称賛される本へと発展した。「クダ・ホラ」の成功により、ウェッタシンハはそのキャリアの中で著述やイラストだけでなく200以上の子どもの本の制作に取り組んだ[13]。 彼女の本は日本語中国語スウェーデン語ノルウェー語デンマーク語、英語、朝鮮語オランダ語タミル語などの言語に翻訳されている。


書名(日本語タイトル) 言語
1956 Kuda-Hora[3]

The Umbrella Thief[14][12][15]
(かさどろぼう)[16]

日本語、中国語[17]、スウェーデン語[18]、ノルウェー語[19]、デンマーク語、英語、朝鮮語、シンハラ語、タミル語
1960 Sooththara Puncha[20] シンハラ語
1965 Wesak Lantern[21][22]
(A Lantern as big as a house)[16]
英語[23]、タミル語、シンハラ語[24]
1970 Little Granny[9] タミル語、シンハラ語、英語
1970 Magul Gedara Bath Natho シンハラ語
1971 Tambaya
Copper-Name of a Bull[9]
シンハラ語
1977 Randuva
The Quarrel[9]
シンハラ語、英語
1978 Ude Giya Baba
The Child Who Floated in the Ail[9]
シンハラ語
1986 Thambaya Takes a Ride[25] シンハラ語、タミル語、英語[26]
1987 Dīpta ḷamā maga[27]
Children's Sinhala Bible[9]
シンハラ語[28]
1994 Hoity the Fox(きつねのホイティ) 日本語、朝鮮語、スウェーデン語、ノルウェー語、中国語、シンハラ語、英語
1994 Strange Visitors to the Cat Country
(ねこのくにのおきゃくさま)[5]
日本語、英語、タミル語、シンハラ語
1995 Child in Me[29]

(わたしのなかの子ども)

オランダ語、英語、シンハラ語、タミル語、日本語
1999 Duwana Revula[9][30]Run away Beard[31]
(にげだしたひげ[32]
シンハラ語、日本語、タミル語、英語[33]
2000 Little Red Car 英語[34]、シンハラ語、タミル語
2008 Podda and Poddi(ポッダとポッディ) 日本語[35][36]、シンハラ語
2009 Eternally Yours[37] 英語[38]、シンハラ語、タミル語
2009 Dura Gamanak[39] シンハラ語
2010 Monster in the Well 英語、シンハラ語
2012 We love our school 英語[40]、シンハラ語[41]、タミル語[42]
2014 Dancing in the gourd - An old Sri Lankan Folktale
(まほうのひょうたん)[43]
英語、日本語
2017 The Magic Silver Tree
(ふしぎな銀の木 : スリランカの昔話)[44]
日本語

受賞

[編集]

ウェッタシンハはその経歴の中で国際的な評価を得、ウェッタシンハの児童文学はヨーロッパとアジアで賞を取った[10]。1965年、彼女の『Vesak Lantern』はアジアの女性児童文学作家のためのイザベル・ハットン賞を受賞した。ウェッタシンハの最初の本『クダ・ホラ(Kuda Hora)』(日本語タイトル:かさどろぼう)は1982年、第3回野間児童絵本原画コンクールで佳作を受賞[10]、さらに1986年に日本で日本の絵本賞読売新聞社、全国学校図書館協議会主催)の絵本にっぽん賞特別賞に選ばれた[45]。また、1987年には日本図書館協会の選定図書になっている[46]。 『クダ・ホラ』は7つの言語(英語、ノルウェー語、デンマーク語、日本語、中国語、朝鮮語、スウェーデン語)に翻訳された。 1994年国際アンデルセン賞に推薦された[12]。 ウェッタシンハは2003年に日本とチェコスロバキアで展覧会を行っていて、ノルウェーで行われた著名な作家のブックフェスティバルにも招かれた。ウェッタシンハの作品はその独特なテーマとスタイルで国際的な注目を集めている。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 『わたしのなかの子ども』あとがきでは10月21日が誕生日となっているが、Sunday Timesの記事では10月31日になっていたため31日を採用。
  2. ^ 資料によってはカタカナで「ウェタシンヘ」と表記されている。
  3. ^ 英語版では1927年生まれとなっていたが、確認できた出典では1928年生まれとなっている。

出典

[編集]
  1. ^ a b Honours 2019.
  2. ^ a b c d e f g h i j 日外 2016.
  3. ^ a b c d e f g PressReader 2017.
  4. ^ Sunday 2017.
  5. ^ a b c d 中西 2000.
  6. ^ “Veteran children’s author, Kala Keerthi Sybil Wettasinghe passed away at the age of 93” (英語). newsfirst.lk. (2020年7月1日). https://www.newsfirst.lk/2020/07/01/veteran-childrens-author-kala-keerthi-sybil-wettasinghe-passed-away-at-the-age-of-93/ 2020年7月2日閲覧。 
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m goodreaders 2012.
  8. ^ a b “アジアから世界へ 子ども心失わず極上の物語描く”. 日本経済新聞社: p. 11. (2012年5月4日) 
  9. ^ a b c d e f g h JBBY & 66.
  10. ^ a b c d e ユネスコ 1983.
  11. ^ ユネスコ・アジア文化センター『アジア・アフリカ・ラテンアメリカ絵本イラストレーション’93』講談社、1993年4月20日、70頁。ISBN 4-06-206380-8 
  12. ^ a b c d e f g ByronPreiss 1996.
  13. ^ 岩城聡 (2012年5月4日). “アジアから世界へ 文化部門 子ども心失わず極上の物語描く”. 日本経済新聞社: p. 11 
  14. ^ Wettasinghe, Sybil; Hirano, Cathy (1987). The Umbrella Thief. ISBN 9780916291129. https://books.google.com/books?id=1joBAAAACAAJ. 
  15. ^ “Sybil at 90”. Sunday Observer. (2017年10月22日). http://www.sundayobserver.lk/2017/10/22/creative-ink/sybil-90 2019年12月18日閲覧。 
  16. ^ a b Meena Khorana『The Indian Subcontinent in Literature for Children and Young Adults』Greenwood Publishing Group、1991年、300頁。ISBN 0313254893 
  17. ^ Tou san xiao zei (書籍, 1993) [WorldCat.org]”. WorldCat.org. 2019年12月30日閲覧。
  18. ^ Paraplytjuven”. Världsbiblioteket i Solidaritetshuset. 2019年12月30日閲覧。
  19. ^ Paraplytyven (書籍, 1990) [WorldCat.org]” (PDF). WorldCat.org. 2020年1月3日閲覧。
  20. ^ Eye”. Nation.lk. 29 August 2012閲覧。
  21. ^ Wettasinghe, Sybil (1965*). Vesak Lantern. ISBN 9789559136064. https://books.google.com/books?id=H_1VPgAACAAJ. 
  22. ^ Vesak lantern (Book, 1965)”. [WorldCat.org]. 29 August 2012閲覧。
  23. ^ Vesak Lantern (書籍, 1965) [WorldCat.org]”. WorldCat.org. 2019年12月30日閲覧。
  24. ^ Vesak pahana (書籍, 2015) [WorldCat.org]”. WorldCat.org. 2019年12月30日閲覧。
  25. ^ Thambaya takes a ride (書籍, 2014) [WorldCat.org]”. WorldCat.org. 2019年12月30日閲覧。
  26. ^ Thambaya takes a ride (書籍, 2014) [WorldCat.org]”. WorldCat.org. 2019年12月30日閲覧。
  27. ^ Dīpta ḷamā maga : Bayibalayē purāṇa saha nava givisumvalin upuṭāgat koṭas. (書籍, 1987) [WorldCat.org]”. WorldCat.org. 2019年12月30日閲覧。
  28. ^ Dīpta ḷamā maga : Bayibalayē purāṇa saha nava givisumvalin upuṭāgat koṭas. (書籍, 1987) [WorldCat.org]”. WorldCat.org. 2019年12月30日閲覧。
  29. ^ The child in me. “The child in me (9789559511076): Sybil Wettasinghe: Books”. Amazon.com. 29 August 2012閲覧。
  30. ^ Duvana răvuḷa (書籍, 2004) [WorldCat.org]”. WorldCat.org. 2019年12月30日閲覧。
  31. ^ Wettasinghe, Sybil (1999). The Runaway Beard. ISBN 9789555991780. https://books.google.com/books?id=AeKDAAAACAAJ. 
  32. ^ シビル・ウェッタシンハ作 野口忠司訳『にげだしたひげ』福武書店、1988年8月18日、裏表紙頁。ISBN 4-8288-1331-4 
  33. ^ The runaway beard (書籍, 1999) [WorldCat.org]”. WorldCat.org. 2019年12月30日閲覧。
  34. ^ Little red car (書籍, 2016) [WorldCat.org]”. WorkdCat.org. 2019年12月30日閲覧。
  35. ^ 雑誌「こどものとも」2008年6月号(通巻627号)として発行
  36. ^ シビル・ウェッタシンハ『ポッダとポッディ』福音館書店、2014年4月。ISBN 978-4-8340-8071-1 
  37. ^ Eternally yours (書籍, 2012) [WorldCat.org]”. WorldCat.org. 2019年12月30日閲覧。
  38. ^ Eternally yours (書籍, 2012) [WorldCat.org]”. WorldCat.org. 2019年12月30日閲覧。
  39. ^ Sybil Wettasinghe. “Bookazone Pvt Ltd :: Sinhala :: BOOKS :: Lama Katha :: Dura Gamanak”. Books.lk. 29 August 2012閲覧。
  40. ^ We love our school(電子書籍)” (PDF). SDC. 2020年1月3日閲覧。
  41. ^ We love our school(電子書籍)” (PDF). SDC. 2020年1月3日閲覧。
  42. ^ We love our school(電子書籍)” (PDF). SDC. 2020年1月3日閲覧。
  43. ^ 「まほうのひょうたん」『こどものとも年中向き』346号。 
  44. ^ シビル・ウェッタシンハ『ふしぎな銀の木 : スリランカの昔話』福音館書店、2017年6月。ISBN 9784834082876 
  45. ^ 日外 2009.
  46. ^ 日本図書館協会『選定図書総目録 1987年版』日本図書館協会、1987年3月31日、676頁。ISBN 4-8204-8617-9 
  47. ^ Hunt, Peter『International Companion Encyclopedia of Children's Literature』Routledge、2003年、810頁。 
  48. ^ 『Encyclopedia of Sri Lanka』Sterling Publishers Private Ltd.、2003年、380頁。 
  49. ^ 日本図書館協会『選定図書総目録 1995年版』日本図書館協会、1995年4月10日、614頁。ISBN 4-8204-9500-3 
  50. ^ 中央児童福祉審議会文化財部会『子ども文化財年報 中央児童福祉審議会推薦文化財目録(平成6年度)』日本児童福祉協会、1995年7月25日、9-10頁。 
  51. ^ Charles A. Gunawardena (2005). Encyclopedia of Sri Lanka. Sterling Publishers Pvt. p. 254. ISBN 9781932705485 

参考文献

[編集]