コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

シベ語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シベ文字から転送)
シベ語
ᠰᡞᠪᡝ
ᡤᡞᠰᡠᠨ
Sibe gisun
発音 IPA: [ɕivə kisun][1]
話される国 中華人民共和国の旗 中国
地域 新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州チャプチャル・シベ自治県タルバガタイ地区トックズタラ県など
民族 シベ族
話者数 30,000人(2000年)[2]
言語系統
表記体系 シベ文字
言語コード
ISO 639-1 --
ISO 639-2 --
ISO 639-3 sjo
Glottolog xibe1242[3]
消滅危険度評価
Severely endangered (Moseley 2010)
テンプレートを表示

シベ語[4](シベご、シベ語:ᠰᡞᠪᡝ
ᡤᡞᠰᡠᠨ
、転写:Sibe gisun)は、中国少数民族であるシベ族(シボ族とも[5])が話す言語。言語学的には、ツングース語族に分類される。

アルタイ語族があるとすればツングース語派に分類されることになる。同時に室韋語鮮卑語などがツングース化したとも伝わる。

言語名別称

[編集]

シベ文字

[編集]

シベ語では、満洲文字を改良したシベ文字を使用している[6]

活字が使われることはほとんどなく、本などは手書きで書かれている[要出典]

音韻体系

[編集]

シベ語は8つの母音を有し、満洲語とおおよそ互いに意思疎通ができる。その母音体系は非常に複雑である。

形態

[編集]

シベ語には7つの格語尾がある。

接尾辞 文語 グロス
主格 ɢazn-ø village
属格 -i ɢazn-i ᡤᠠᡧᠠᠨ ᡳ (gašan -i) of the village
与格 -də/-t ɢazn-t ᡤᠠᡧᠠᠨ
ᡩᡝ
(gašan de)
to the village
対格 -f/-və ɢazn-və ᡤᠠᡧᠠᠨ
ᠪᡝ
(gašan be)
the village (object)
奪格 -dəri ɢazn-dəri ᡤᠠᡧᠠᠨ
ᡩᡝᡵᡳ
(gašan deri)
from the village
与格 -ći ɢazn-ći ᡤᠠᡧᠠᠨ
ᠴᡳ
(gašan ci)
towards the village
具格 -maq ɢazn-maq with the village

語彙

[編集]

シベ語は、満洲語と同じく基礎語彙と構造の面で中国語から多くの影響を受けていない。しかしシベ語は中国語から政治や経済を主とした多くの専門用語を吸収している。例として「ᠵᡠᠩᡬᠣjungg'o(中国)」、「ᠵᡳᠩᠵᡳjingji(経済)」、「gəming(革命)」、「ᠵᡠᠰᡳjusi(主席)」、「chūna(出納)」、「daikuan(貸款、貸付金)」等が挙げられる。

書き言葉で外来語が使用されることは、口語よりも少ない。しかし口語では、満洲語のᠨᡳᠶᠠᠯᠮᠠ(niyalma)に対するシベ語の「nan(男)」のように、満洲語の口語の発音とかけ離れた例もある。

そしてロシアからの影響もあり、「konsul(консул,執政官)」、「mashina(машина,ミシン)」のような単語も見られる。さらに他のチュルク諸語からの借用語として、ウイグル語からの「namas(イスラムで宴会の名)」、カザフ語からの「baige(競馬)」といったように文化面での用語もある。

脚注

[編集]
  1. ^ Li 1986, p. 1
  2. ^ Xibe | Ethnologue
  3. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “シベ語”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/xibe1242 
  4. ^ 承志『ダイチン・グルンとその時代:帝国の形成と八旗社会』p.6(名古屋大学出版会,2009,2, ISBN 978-4-8158-0608-8
  5. ^ シボ族 xibo zu Xibe ethnic minority group 中国网 JAPANESE.CHINA.ORG.CN
  6. ^ 鋤田, 智彦「清代における言語接触」『岩手大学人文社会科学部創立40周年記念国際シンポジウム報告書』、岩手大学人文社会科学部、2019年3月、47-58頁、NAID 120006705874 

関連項目

[編集]

外部サイト

[編集]