鮮卑語
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鮮卑語 | |
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話される国 | 鮮卑 |
地域 | 中国北部、内モンゴル、モンゴル高原、満州西部 |
消滅時期 | 7世紀中期 |
言語系統 | |
言語コード | |
ISO 639-3 | — |
鮮卑語(せんぴご)は、かつて鮮卑で話された言語である。その言語系統はモンゴル系ともテュルク系ともいわれるが、定説には至っていない。
系統
[編集]鮮卑語は同じ東胡語から分かれたとされる烏桓語と同じであったと伝えられている[1]。
鮮卑語の系統について、古くからモンゴル系説[2]とテュルク系であるとする説[3]があったが、近年になって特に拓跋部の言語はモンゴル系であるという説が有力となっている[4]。例えば漢文文献などに音写されて現代に伝わっている拓跋部の言語の語彙は契丹文字の解読で明らかになった契丹語の語彙と近似した音形を示しており、これらの語彙はまたモンゴル文語の語彙と音形が近似していることが指摘されている。拓跋語で狗を意味すると伝えられている語の再構築音は *ɲaqan であり、契丹語の犬を意味する語の再構築音は *ɲaq となり、モンゴル文語の犬は noqai となる。同様に、雲は拓跋語では *eulen 、契丹語では *eul 、モンゴル文語では egüle-n である[5]。
脚注
[編集]- ^ 『三国志』鮮卑伝(王沈『魏書』)「其言語習俗與烏丸同。」、『後漢書』鮮卑伝「其言語習俗與烏桓同。」
- ^ 白鳥庫吉『東胡民族考』
- ^ Boodberg (1936) や Bazin (1950) は、東胡の子孫である鮮卑族、特に拓跋部の言語を turkish ないし proto-turkish original であるとした。《『騎馬民族史1』p9 注15、p218 注2》
- ^ Pullyblank (1962) p.239以下 や Ligeti (1970) によると、鮮卑語(特に拓跋語)の特徴はモンゴル語と近似するという。《『騎馬民族史1』p9 注15、p218 注2》
- ^ 武内康則 (2013). “最新の研究からわかる契丹文字の姿”. アジア遊学 (東京: 勉誠出版) 160 (契丹[遼]と10~12世紀の東部ユーラシア): 156-165. NAID 40019628298.
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- Bazin, Louis (1950). “Recherches sur les parlers T'o-pa (5e siècle après J.C.)”. T'oung Pao (39): 228-329.
- Boodberg, Peter A. (1936). “The Language of the T’o-Pa Wei”. Harvard Journal of Asiatic Studies 1 (2): 167-185. JSTOR 2717850.
- Ligeti, Lajos (1970). “Le tabghach, un dialect de la langue sien-pi”. In Lajos Ligeti. Mongolian Studies. Budapest: Akadémiai Kiadó. pp. 265-308
- Pulleyblank, Edwin (1962). “The Consonantal System of Old Chinese, Part II”. Asia Major, New Series 9 (2): 206-265 .