シマカノコガイ
シマカノコガイ | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類 | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||
Vittina turrita (Gmelin, 1791)[2] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
Neritina turrita | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
シマカノコガイ(縞鹿の子貝)[3] |
シマカノコガイ(Vittina turrita)アマオブネガイ科に属する巻貝の一種で、熱帯のマングローブ林の汽水域に生息し、貝殻に縞模様がある[3]。「シマカノコ」と呼ばれる。
外観
[編集]殻高約2cmの半卵形の貝殻で、黒と黄色の縞模様がある。蓋は石灰質でやや厚い。左右の触角のつけねに眼があり、丸い口を開いて摂餌する。
生態
[編集]熱帯のマングローブ林の汽水域に生息し、成長すると水流がある淡水域を好んで生息域とする傾向がある[4]。複雑な構造の歯舌で藻類を削り取って食べる[5]。雌雄は交尾し、産卵約2週間後に内部がトロコフォア状となり動く。約3週間後にベリジャー幼生が孵化する。幼生は海中水深約300mまで降下すると推定される。その後ふたたび汽水域に戻り成貝となる[6]。
分布
[編集]人との関係
[編集]水槽の藻を削り取って食べてくれるのでタンクメイトとして販売され利用される。塩分濃度を調整すれば養殖できる可能性が示唆されている[6]。類縁の種には貝殻の模様の変異が多い。外観が似たVittina natalensis(アフリカの淡水に生息)やVitta zebra(南米北部の淡水)など他種と混同されやすい。
系統発生
[編集]シマカノコガイにつながるアマオブネガイ科の系統分岐図の一部を一例として示す[8]。
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Quintero-Galvisら(2013)によるアマオブネガイ科の系統分岐図の一部[8]。和名は波部・奥谷ら(1985) [9]を参照。 |
アマオブネガイ属から分岐したのち分化が進んだ末端のイシマキガイ属Clithonのクレード内に位置することが示唆されている。
脚注
[編集]- ^ 福田宏 (2023年6月13日)「軟体動物門」、In 岡山県野生動植物調査検討会 編『岡山県野生生物目録2019』Ver.1-4、岡山県環境文化部自然環境課、 https://www.pref.okayama.jp/page/602836.html 2023年12月2日閲覧。
- ^ “Vittina turrita”. WoRMS Maxim Vinarski. 2023年12月2日閲覧。
- ^ a b c 波部・小菅 (1967), p. 21.
- ^ Okuda&Nishihira (2002).
- ^ Krings (2021).
- ^ a b Hristov (2022).
- ^ “Vittina turrita”. gbif. 2023年12月3日閲覧。
- ^ a b Quintero-Galvis (2013).
- ^ アボット (1985) & p.58-59.
参考文献
[編集]- 波部忠重・小菅貞男『標準原色図鑑全集3 貝』保育社、1967年。ISBN 4586320036。 NCID BN04374609 。
- R.T.アボット, S.P.ダンス OR 波部忠重, 奥谷喬司 監修・訳『世界海産貝類大図鑑』平凡社、1985年。ISBN 4582518117。 NCID BN00814197 。
- Natsuki Okuda and Moritaka Nishihira (2002). “Ecological Distribution and Assemblage Structure of Neritid Gastropods in an Okinawan Mangrove Swamp, Southern Japan”. Benthos Research (The Japanese Association of Benthology) (57(1)): 31-44 .
- Quintero-Galvis and Lyda Castro. “Molecular phylogeny of the Neritidae (Gastropoda : Neritimorpha) based on the mitochondrial genes cytochrome oxidase I ( COI ) and 16S rRNA ”. Acta Biologica Colombiana 18: 307-318.
- Wencke Krings et al.. Feeding Experiments on Vittina Turrita (Mollusca, Gastropoda, Neritidae) Reveal Tooth Contact Areas and Bent Radular Shape During Foraging. doi:10.21203/rs.3.rs-143634/v1.
- Kroum K. Hristov. “A note on the Intra-Capsular Development of Neritina turrita Gmelin 1791”. Australian Journal of Basic and Applied Sciences 16(12): 17-24.