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ショーテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大英博物館に展示されているショーテルとその鞘

ショーテル(shotel、アムハラ語:ሾተል,shotäl)またはショテルは、エチオピアの両刃のである。

概要

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ショーテルを帯刀したエチオピア貴族を描いた絵
(19世紀に描かれたもの)

エチオピアの伝統的な刀剣で、世界の他の刀剣と比べてもかなり特殊な形状をしており、両刃の刀身が大きく彎曲しているのが特徴である。

この形状の目的は、反りを内側にした形で横殴りに斬りつけることで敵のをかわして攻撃を行うことであったが、大きく彎曲している刃は刀剣としての斬れ味にも優れている。この形状ゆえ、一旦斬りつけた後に手首を返すことなく斬り返すことが可能で、彎刀のように斬りつけることと、直剣のように連続して斬撃を加えることを両立させることができた。また、のように切っ先で“引き掛ける”こともでき、“薙ぎ払う”形でも大きな威力を発揮することができた。

上述のような特徴から、一般的な刀剣とは重心位置が全く違うために非常に扱いにくいものであったが、上手く扱うことができればかなりの武器になり、古代エチオピアに栄えたアクスム王国、またその領域を継いだエチオピア帝国においては、ショーテルは皇帝直属の精鋭部隊の戦士の装備であり、熟練の戦士の使いこなすショーテルは歩兵のみならず騎兵に対しても絶大な威力を発揮した、と伝えられている。

なお、エチオピアにはショーテルと同様の柄を持ち、大きく刀身が反ってはいるが片刃のサーベル[1]もあり、この他、剣身が彎曲していない両刃の直剣や、中近東で広く見られる片刃のサーベルといった、他の地域と共通する刀剣類も存在し、広く用いられている。

形状

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平均して1mほどの刀身長を持つ両刃の剣で、前述のように刀身がS字や半円を描く様に大きく彎曲しているのが特徴である。物によってその曲がり具合は異なり、円というよりは「くの字」に近い物や、「L字形」のものもある。身幅(刀身の幅)が細いものが多いが、身幅の広いものも存在する。刀身の側面、鎬筋には樋が彫られているものも多く、高貴な身分の者が帯刀するショーテルには刀身に凝った彫刻を刻んだものが多くあった。

刀身に比して柄は短く、片手握りのものが基本である[2]水牛の角もしくは硬木で作られており、象牙で作られたものもある。鍔元と柄頭に当たる部分が大きく張り出した、「」の字形をしていることが特徴で、特に柄頭側は大きく張り出しており、全体として中央部が大きく窪んだ[3]形となっていることが特徴で、この形状は手で握った時に持ちやすく、手から取り落とし難い形状である。

鞘は革で作られ、高級なものはや鐺(こじり)や責金(鞘にはめられた金属の輪)が付けられている。鐺の先端には球状の飾り金具があるものが多い。その独特の形状から、刀身の彎曲率の大きいものは一般的な構造のに収めることができない、という不便があったが、そのようなものには、筒状のものに刀身を差す「鞘」(ケース)ではなく、切っ先部分のみが筒状であり、他は4方のうちいずれかの面が開いた「覆い」(カバー)となっているものが鞘として用いられている。

フィクションにおけるショーテル

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その特徴的な形状から、フィクション作品、特にファンタジー系のゲームによく登場し、何らかの特殊属性を持つ設定となっていることが多い。

脚注

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  1. ^ Gurade”と呼ばれる。
  2. ^ 両手握りのショーテルは存在が確認されていない。
  3. ^ 日本刀の拵でいうところの「立鼓(りゅうこ)が張った」形状

参考文献

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  • 市川定春:著『武器辞典』(ISBN 978-4883172795) 新紀元社:刊 1996年
  • ハービー・J.S・ウィザーズ:著、井上 廣美:訳 『世界の刀剣歴史図鑑』 (ISBN 978-4562052004原書房:刊 2015年

関連項目

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