シリン・ネザマフィ
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シリン・ネザマフィ(ペルシア語: شیرین نظام مافی シーリーン・ネザーム=マーフィー、Shirin Nezammafi, 1979年11月10日 - )は、イラン・テヘラン出身の小説家である。ペルシャ語を母語とするが日本語で小説を執筆し、2度にわたって芥川賞候補に選出された。
来歴・人物
[編集]神戸大学工学部卒業、神戸大学大学院自然科学研究科修士課程で情報知能工学の研究を修了後、日本で就職。パナソニックでシステムエンジニアとして勤務している[1]。2009年6月からドバイ支社勤務。
14歳のときに初めて小説を執筆。学生時代は理系学科へ進学したが、作家になりたかったと本人談。2006年に『サラム』で留学生文学賞を受賞した[2][3]。
その後も執筆活動を続け来日9年目の2009年4月14日、日本語で執筆した『白い紙』で、第108回文學界新人賞を受賞した。確かな描写力と視点を一人称に置きながら、「私は」等の一人称を使わぬ新しい文章表現が評価された。小説の内容は、イラン・イラク戦争下での学生同士の恋を描いた青春小説である[4]。日本語を母語としない作家が文學界新人賞を受賞するのは、2007年に受賞した中国出身の楊逸に次いで二人目、非漢字圏出身者としては初受賞。
日本語、ペルシャ語、英語に堪能。テレビのバラエティー番組に表示される日本語字幕を活用し日本語と話し言葉独特の表現を勉強したという。
著作
[編集]単行本
[編集]- 「白い紙 / サラム」(文藝春秋、2009年8月7日、ISBN 4163284109)
文学賞受賞・候補歴
[編集]- 2006年、留学生文学賞(受賞作「サラム」)
- 2009年4月、第108回文學界新人賞(受賞作「白い紙」)
- 2009年7月、第141回芥川賞候補(候補作「白い紙」)
- 2010年7月、第143回芥川賞候補(候補作「拍動」)
脚注
[編集]- ^ “文学界新人賞 パナソニックSE・ネザマフィさんに聞く”. 朝日新聞. 2009年6月10日閲覧。
- ^ 留学生文学賞2006年受賞作品
- ^ “文学界新人賞にイラン人のネザマフィさん”. 産経新聞. 2009年4月14日閲覧。
- ^ “イラン女性に文学界新人賞 シリン・ネザマフィさん”. 朝日新聞. 2009年4月14日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 映し出される「物語」にふさわしい言葉を:シリーズ「ことばとアイデンティティ」(2/3)|WIRED.jp(2017年11月8日)
- 私の日本語の学び方:シリン・ネザマフィ(作家) | nippon.com(2013年5月7日)
- シリン・ネザマフィ-芥川賞候補作家|芥川賞のすべて・のようなもの
- 留学生文学賞 2006 留学生文学賞受賞作家 シリン ネザマフィ 特別寄稿
- پیام شیرین نظام مافی، لیلا اعظم زنگنه و آذر نفیسی برای ادبیات معاصر - مجله ادبی آوانگارد - ウェイバックマシン(2018年7月9日アーカイブ分) (2015年3月31日)
- Shirin Nezammafi - "Border-Crossing Literature: A Fascinating Discovery of a Whole New World" | Center for East Asian Studies (2015年3月31日)
- イラン人美女の成功物語(シリン・ネザマフィさん) | ゆかしメディア|『ヘッジファンド』から『慶応幼稚舎』まで | 1(2009年10月2日)
- 〈ことば〉シリン・ネザマフィさん - 文化トピックス - 文化 - ウェイバックマシン(2018年5月26日アーカイブ分):asahi.com(朝日新聞社)(2011年12月21日)