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シロアリ探知器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

シロアリ探知器(シロアリたんちき)とはシロアリを探知する装置。

概要

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シロアリ習性を利用して探知する。

方式

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複数の方式があるが、どれも一長一短があるので複数の方式を組み合わせる方が確度が向上する。

音響方式

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シロアリが木材を齧る時の特有の音(20 kHzから80 kHzの超音波)を検出する[1][2][3][4][5]。摂食活動がなければ探知できず、振動や騒音のある環境下では利用が困難な場合がある[6][7]

化学物質検出方式

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シロアリの体内で生成される揮発性有機化合物腸内細菌によって生成される水素メタンを検出する。いずれも間接的に検出する方法で濃度が低いので検出は困難[8]

電波方式

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ドップラーレーダーで微弱なマイクロ波をシロアリ等の動く害虫に照射すると反射して戻ってくる周波数がずれるため、それを検出する。日本では2002年よりシロアリ業者や大学等の研究機関で使用されており、木部であれば最大10 cm程度、モルタルでは3 cm程度まで測定可能[9][10][11][12][13]。移動を伴う行動がなければ探知できない[6]

赤外線方式

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サーモグラフィ蟻道を可視化する。活動の活発な領域では温度が周囲よりも高くなる傾向があるのでそれを検出する。木材の深部には適さない。

脚注

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  1. ^ 富来礼次、大鶴徹「振動・音響信号を利用した建築物のシロアリ防除に関する研究」『日本音響学会誌』第73巻第2号、日本音響学会、2017年、100-107頁、doi:10.20697/jasj.73.2_100 
  2. ^ 奥村正悟「シロアリがかじる音を聴く (特集: 木材と音波)」『超音波 techno』第10巻第8号、日本工業出版、1998年、21-24頁、NAID 40004832294 
  3. ^ 簗瀬佳之「シロアリが木材をかじる音 (振動) を聴く: 摂食時に発生するアコースティック・エミッションの検出」『昆虫と自然』第50巻第10号、ニューサイエンス社、2015年、34-38頁、NAID 40020591131 
  4. ^ 大村和香子、神原広平、原田真樹、加藤英雄、渋沢龍也、田代秀夫「離れたところからシロアリの居場所を探る-高性能マイクによる新しいシロアリ食害検出技術-」(PDF)『研究成果選集』平成27年版、森林総合研究所、2015年、26-27頁。 
  5. ^ 大村和香子「シロアリ食害検出における非接触式 AE 検出装置の室内試験における有効性検証」『環動昆』第26巻第1号、日本環境動物昆虫学会、2015年、11-16頁、doi:10.11257/jjeez.26.11 
  6. ^ a b 川端健人「第21回日本環境動物昆虫学会年次大会に参加して」『木材保存』第36巻第3号、木材保存協会、2010年、111-116頁、doi:10.5990/jwpa.36.111 
  7. ^ 藤井義久「アコースティック・エミッション (AE) によるシロアリ食害の検出」『環動昆』第12巻第1号、日本環境動物昆虫学会、2001年、21-31頁、doi:10.11257/jjeez.12.21 
  8. ^ シロアリ探知犬は揮発性有機化合物を検出する。
  9. ^ 非破壊型シロアリ探知機”. シロアリ駆除業者選び.com. 2019年1月6日閲覧。
  10. ^ ターマトラックについて”. キンキ・リビング・サポーツ. 2019年1月6日閲覧。
  11. ^ Tirkel et al. 2011.
  12. ^ 今村祐嗣「マイクロ波を用いた小径丸太材中のアメリカカンザイシロアリ活性の探知」『環動昆』第17巻第1号、日本環境動物昆虫学会、2006年、29-32頁、doi:10.11257/jjeez.17.29 
  13. ^ 簗瀬佳之「虫害の非 (微) 破壊検査の最新動向」『木材保存』第44巻第3号、木材保存協会、2018年、152-153頁、doi:10.5990/jwpa.44.152 

参考文献

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  • 中野博正「日本に居る白蟻と白蟻探知の聽診増幅裝置」『林業技術』第106号、1950年、14–17頁。全国書誌番号:00024386
  • Kaestner, Anders P.; Bååth, Lars B. (2000年9月). Microwave polarimetry based wood scanning (PDF). 12th International Symposium on Nondestructive Testing of Wood. University of Western Hungary, Sopron.
  • Peters, B. C.; Creffield, J. W. (2002年). "Termatrac™ microwave technology for non-destructive detection of insect pests in timber". Stockholm, Sweden: The lntemational research Group on Wood Preservation. {{cite journal}}: Cite journalテンプレートでは|journal=引数は必須です。 (説明) (Document, No. IRG/WP 02-20253)
  • Fujii, Yoshihisa; et al. (2007年). "Nondestructive detection of termites using a millimeter-wave imaging technique". Forest products journal. 57 (10).
  • Le Marshall, Nick; Rankin, Gerard; Tirkel, Andrew (2010年). Hybrid array for the detection and imaging of termites. Radio and Wireless Symposium (RWS). IEEE.
  • 重野健太、稲葉敬之「電磁波によるシロアリ検知検証実験 (PDF)」『ソサイエティ大会講演論文集』第2011巻、電子情報通信学会、2011年、249頁。
  • Tirkel, A. Z.; et al. (2011年). Effects of millimeter wave exposure on termite behavior. Progress in Electromagnetics Research Symposium. Marrakesh, Morocco.
  • Rankin, G. A.; et al. (2012年). Radar imaging: Conventional and MIMO. Communications and Electronics (ICCE), 2012 Fourth International Conference on. IEEE.
  • 田中聡一「ミリ波・テラヘルツ波技術を用いた木材の非破壊評価の現状と展望」『農業食料工学会誌』第76巻第3号、農業食料工学会、2014年、213–217頁。doi:10.11357/jsamfe.76.3_213

書籍

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  • Predak, S.; et al. (2003年). "Inspection of Dielectric Materials with Microwaves". Nondestructive Characterization of Materials XI: Proceedings of the 11th International Symposium, Berlin, Germany, June 24-28, 2002. NONDESTRUCTIVE CHARACTERIZATION OF MATERIALS. Springer. pp. 281–290. ISBN 3540401547

関連する特許

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関連項目

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外部リンク

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