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シロオビアゲハ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シロオビアゲハ
シロオビアゲハのオス
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera
: アゲハチョウ科 Papilionidae
亜科 : アゲハチョウ亜科 Papilioninae
: アゲハチョウ族 Papilionini
: アゲハチョウ属 Papilio
: シロオビアゲハ P. polytes
学名
Papilio polytes Linnaeus1758
和名
シロオビアゲハ
英名
en:Common Mormon

シロオビアゲハ(白帯揚羽、学名Papilio polytes)は、アゲハチョウ科に分類されるチョウの1種。

成虫は前翅長50mm前後、開張約7 - 8cmほど。他のアゲハチョウ類に比べると小型である。和名は後翅にい斑点が列を成していて、翅を縦断する白い模様を形成することに由来する。

インドから東南アジア熱帯域に広く分布し、日本ではトカラ列島中之島以南の南西諸島に分布する。沖縄地方では普通に見られ、八重山諸島では通年、奄美群島でも2月中旬 - 11月下旬に見られる。年に5 - 6回発生する多化性である。ハイビスカスなどの赤い花によく訪花し、荒地や林、海岸などでも飛ぶ姿が見られる。

幼虫シークヮーサー(ヒラミレモン)やサルカケミカンハマセンダンなどのミカン科各種を食草とし、しばしば害虫として扱われる。幼虫はミカン科各種を食草にする他のアゲハチョウ属と同じく、1 - 4令までが鳥ののような色で、5令になると緑色になる。危険を感じると赤色の臭角を出す。

ベニモン型について

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シロオビアゲハのベニモン型のメス

シロオビアゲハの雌は遺伝的に2型がある。雄と同じく後翅に白い帯がある「通常型」(白帯型、I型、f. cyrusとも)、そしてもう1つが、後翅に白い帯に加えて赤色の斑点がある「ベニモン型」(赤紋型、II型、f. polytesとも)である。

同じ南方系の蝶であるベニモンアゲハは、幼虫時代にウマノスズクサ科の植物を食草にして育ち、成虫になっても体の中にウマノスズクサの毒素が残留している。このためベニモンアゲハを捕食者(主に鳥類)が捕食すると中毒を起こし、胃の中のものを殆ど吐き出してしまい、以後はベニモンアゲハを捕食しようとしなくなる。

シロオビアゲハは本来無毒の生物だが、ベニモンアゲハに体色を似せることで、敵から身を守っていると考えられる(ベイツ型擬態[6]

参考文献

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  • 「特集・アゲハチョウの擬態と進化」『昆虫と自然』第40巻第7号、ニューサイエンス社、2005年6月、ISSN 0023-3218 CRID : 1520010380354044032
    • 井上 A. 尚「シロオビアゲハ類の種間雑種と擬態の変遷」14-17頁。CRID : 1523106605495907840
  • 湊和雄『昆虫の本 : 沖縄の自然を楽しむ』アクアコーラル企画、宜野湾〈おきなわフィールドブック ; 4〉、2007年。全国書誌番号:21241120 ISBN 978-4-9901917-6-4
  • 藤原晴彦「(第11回)アゲハチョウの擬態はどのように進化したのか?」『細胞工学』第33巻第11号、学研メディカル秀潤社、1196-1200頁、ISSN 0287-3796 掲載誌別題『Cell technology』。
  • 藤原晴彦「進化の謎をゲノムで解く:アゲハチョウの擬態のどのように進化したか」『細胞工学』、学研メディカル秀潤社、106-113頁、ISSN 0287-3796 『細胞工学別冊』。

脚注

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  1. ^ 『昆虫と自然』 2005, pp. 14–17。CRID : 1523106605495907840
  2. ^ 『昆虫と自然』 2005, pp. 18–22。CRID : 1523388079668407936
  3. ^ 『昆虫と自然』 2005, pp. 4–8。CRID : 1523669555109651584
  4. ^ 『細胞工学』 2014, pp. 1196–1200。CRID : 1524232505580603136
  5. ^ 『細胞工学』 2015, pp. 106–113。CRID : 1010282257459659274
  6. ^ 井上 A. 尚「シロオビアゲハ類の種間雑種と擬態の変遷」[1]、上杉兼司「シロオビアゲハの擬態」[2]、森中定治「擬態研究の経緯」[3]。藤原晴彦「(第11回)アゲハチョウの擬態はどのように進化したのか?」[4]、同「アゲハチョウの擬態のどのように進化したか 」[5]

関連項目

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外部リンク

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