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ジビニルベンゼン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジビニルベンゼン
Divinylbenzene
識別情報
CAS登録番号 1321-74-0
EC番号 215-325-5
特性
化学式 C10H10
モル質量 130.19 g mol−1
外観 無色ないし淡黄色の、透明な液体[1]
匂い 特異臭
密度 0.9325 g/mL(o体、22℃)
0.9294 g/mL(m体、20℃)
0.913 g/mL(p体、40℃)[1]
融点

-20℃(o体)
-52.3℃(m体)
31℃(p体)[1]

沸点

82℃(o体、14mmHg)
121℃(m体、76mmHg)
95℃(p体、18mmHg)[1]

への溶解度 53mg/l[1]
その他の溶剤への溶解度 エタノール酢酸エチルアセトンベンゼンに可溶[2]
危険性
NFPA 704
2
2
2
引火点 68℃(密閉式)、76℃(開放式)[3]
発火点 500℃[4]
半数致死量 LD50 5ml/kg(ラット経口)[2]
関連する物質
関連物質 スチレン
ジエチルベンゼン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ジビニルベンゼン: Divinylbenzene)は、ベンゼン環にビニル基が二つ結合した有機化合物である。DVBジエテニルベンゼンビニルスチレンとも呼ばれる。組成式はC6H4(CH=CH2)2スチレンに、二つ目のビニル基が結合したものと捉えることもできる[5]。ビニル基の結合位置により、三種類の位置異性体が存在する。

用途

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イオン交換樹脂合成ゴムABS樹脂MBS樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などのスチレン系樹脂の架橋剤として用いられる。日本の化審法に基づく2007年度の製造・輸入総量は1,340トンである[1]

異性体

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ビニル基の結合位置により、オルトo-ジビニルベンゼン)・メタm-ジビニルベンゼン)・パラp-ジビニルベンゼン)の三つの位置異性体が存在する。o-ジビニルベンゼンは合成中にナフタレンに変換しやすいため、市販品は通常m体を主体とした、pとの混合体である[6]ジエチルベンゼン脱水素化により製造したものは、これに対応するエチルビニルベンゼンを含む場合がある。

  • o-ジビニルベンゼン(1,2-ジビニルベンゼン)- CAS登録番号 91-14-5
  • m-ジビニルベンゼン(1,3-ジビニルベンゼン)- CAS登録番号 108-57-6
  • p-ジビニルベンゼン(1,4-ジビニルベンゼン)- CAS登録番号 105-06-6

安全性

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日本の消防法により、危険物第4類・第二石油類に分類される。加熱や光の照射、過酸化物などの重合開始剤との接触により重合反応が起きることがある[2]。76℃以上では、ジビニルベンゼンの蒸気と空気との、爆発性混合気体を生じる[4]呼吸器に対する刺激性および麻酔性があり、反復曝露により肝臓腎臓胸腺に影響が及ぶことがある[3]。水中で分解しにくく、水生生物に対する毒性がある[1]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g 物質に関する基本的事項 [4]ジビニルベンゼン (PDF) (環境省)
  2. ^ a b c 製品安全データシート(東京化成工業)
  3. ^ a b 化学物質等安全データシート (PDF) (昭和化学)
  4. ^ a b 国際化学物質安全性カード
  5. ^ 「CRC Handbook of Chemistry and Physics」 65Th Ed.
  6. ^ Denis H. James William M. Castor, “Styrene” in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Wiley-VCH, Weinheim, 2005.