ジブチルエーテル
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ジブチルエーテル | |
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dibutyl ether | |
別称 butyl ether | |
特性 | |
化学式 | C8H18O |
モル質量 | 130.23 g mol−1 |
外観 | 無色 |
密度 | 0.769 g/cm3, 液体 |
融点 |
-97.9 °C, 175 K, -144 °F |
沸点 |
142 °C, 415 K, 288 °F |
水への溶解度 | 0.03% |
蒸気圧 | 640 Pa |
屈折率 (nD) | 1.3992 |
粘度 | 0.741 cP (15 °C) |
構造 | |
双極子モーメント | 1.18 D |
危険性 | |
引火点 | 25 °C, 298 K |
発火点 | 194 °C, 467 K |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ジブチルエーテル (dibutyl ether) は分子式C8H18Oで表されるエーテル類に属す化合物である。特有のエーテル臭を持つ無色の揮発性液体で、引火性が高い。消防法に定める第4類危険物 第2石油類に該当する[1]。
液体のジブチルエーテルは水よりも軽いが、その蒸気は空気よりも重い。水に不溶であるが、アセトンやジクロロプロパンなど、多くの有機溶媒に溶ける。この性質により、さまざまな化学反応やプロセスにおいて溶剤として使われている。
また、過酸化物が形成する危険性があるため、熱、光、空気から保護する必要がある。
合成法
[編集]ジブチルエーテルは硫酸を触媒とした1-ブタノールの脱水によって得られる。過剰の濃硫酸に1-ブタノールを加え、140 °Cから150 °Cに加熱すると、以下の反応が進行する。
- 2C4H10O + H2SO4 → C8H18O + H2O
この方法では、アルキル硫酸塩の形成(特に温度が低い場合)や、アルケンの生成(特に温度が高い場合)などの二次反応の影響を受ける。
また、工業規模では、アルミナ上で1-ブタノールの蒸気を300 °Cで脱水することによっても得られる。
反応性
[編集]エーテル結合は酸化剤、弱い還元剤、塩基に対して非常に安定である。しかし、濃酸(HIやHBrなど)の存在下では開裂を起こし、第1級ハロゲン化ブチルと1-ブタノールを生成する。さらに反応を進めると、第2級ハロゲン化ブチルも生成しうる。
酸素の存在下でジブチルエーテルを放置すると徐々に酸化されて、爆発性のペルオキシドやヒドロペルオキシドが生成する。
用途
[編集]- グリニャール試薬合成の溶剤
- 脂肪、油、有機酸、アルカロイド、天然および合成樹脂の溶剤
- CDの製造工程での溶剤
- 重合反応における共触媒
- 農薬の製造
- 溶媒抽出
- エタノールやブタノールとの混合溶媒はエチルセルロースの優れた溶剤である。