コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ジャイアントパンダ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジャイアントパンダ属
生息年代: 2.00–0 Ma

(上) 化石種の一つ Ailuropoda fovealis [1][2]
(下) 現生のジャイアントパンダ
地質時代
約200万年前 - 現世
新生代第四紀前期更新世ジェラシアン - 完新世サブアトランティックja])
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 食肉目 Carnivora
: クマ科 Ursidae
亜科 : ジャイアントパンダ亜科 Ailuropodinae
: ジャイアントパンダ属 Ailuropoda
学名
genus Ailuropoda
Milne-Edwards, 1870
タイプ種
A. melanoleuca
(David1869)
シノニム[3]

Aeluropus Lydekker1891
Ailuropus Milne-Edwards1871
Pandarctos Gervais1870

和名
ジャイアントパンダ属
下位分類群(
本文にて詳述する
ジャイアントパンダの生態図
アルフレート・ブレーム編著『ブレーム動物事典 (Brehms Tierleben)』を飾る挿絵の一枚として、画家フレデリック・ヴィルヘルム・クネルト (de) が1927年に描いたもの。

ジャイアントパンダ属(ジャイアントパンダぞく、学名Ailuropoda)は、食肉目クマ科に分類される雑食哺乳類の1。約200万年前[4][5][6]新生代第四紀前期更新世ジェラシアン)の中国大陸に出現し、進化した。植物食性傾向、特に食への偏向が強く認められる[5]

2010年時点では、クマ科中のジャイアントパンダ亜科に分類する説と、ジャイアントパンダ (tribus Ailuropodini) に分類する説[7]がある。 4種が知られている[5]なか、1種・ジャイアントパンダのみが現存し、他の3種は有史以前に絶滅している[5]

本属は、約800万年前(後期中新世前期トートニアン)の熱帯多雨林を中心としてユーラシア大陸に広く分布していたアイルラルクトス属(学名:Ailurarctos[含意:パンダ熊、Ailuaractosと誤表記される場合がある]。異称:始熊猫中国語名:始熊貓始熊猫])の、中国大陸南部の種である A. Lufengensis (狭義の「始熊猫」)と系統上つながっているものと考えられる[4][5]

呼称

[編集]

学名については、別項「ジャイアントパンダ#分類」、同じく、標準和名については「ジャイアントパンダ#日本語名」にて詳述する。

分類

[編集]

上位分類

[編集]

ジャイアントパンダ類がクマ科の下位分類であることに異説は無いが、分類群(タクソン)としての束ね方で、「クマ科- ジャイアントパンダ亜科」とする説と「クマ科- クマ亜科- ジャイアントパンダ族」とする説に分かれる。しかしいずれにしても、その下位を構成するのは、化石種も含めて、ジャイアントパンダ属のみである。

上位分類説 (1)

[編集]
ジャイアントパンダ亜科
[編集]

ジャイアントパンダ亜科の姉妹群は、メガネグマ亜科とクマ亜科である。

上位分類説 (2)

[編集]
クマ亜科
[編集]

下位分類

[編集]

表記内容は左から順に、学名和名もしくは仮名表記(無記は現状未確認の意)、英語名、中国語名(繁体字簡体字)、特記事項。 なお、ジャイアントパンダ属の中国語表記には、ジャイアントパンダとおおよそ同様に、大熊貓屬(大熊猫属)大貓熊屬(大猫熊属)熊貓屬(熊猫属)貓熊屬(猫熊属)があって統一されていないため、ここでは代表的なもののみを記すこととする[8][9]


Genus Ailuropoda ジャイアントパンダ属 Genus Ailuropoda 大熊貓屬(大熊猫属), 熊貓屬(熊猫属)等

ピグミージャイアントパンダ Pygmy Giant Panda 小種熊貓(小种熊猫)等
既知で最古[6]のジャイアントパンダ属であり、既に竹食への強い偏向が認められる[5]体長約90cm(約3 ft)と最小種の一つで約200万年前(前期更新世ジェラシアン)に生息[5]
広西チワン族自治区の Jinyin cave より頭蓋骨が発見されたことで研究が進んだ[5][10]
Ailuropoda minor (Pei, 1962) ( Dwarf Panda[11] )はジャイアントパンダ属の下位タクソンとはされていない[12][13]
和名・英名未確認 武陵山熊貓(武陵山熊猫)等
後期鮮新世- 前期更新世
和名・英名未確認 巴氏熊貓(巴氏熊猫)等
約50万年前[10](中期更新世[en])に棲息した、同属中の大型種[5]
Ailuropoda fovealis[2] (Matthew et Granger, 1923) は本種のシノニムとされる[14]
ジャイアントパンダ Giant Panda 大熊貓(大熊猫)
現生。模式種。体長約120-150cm。上述の竜骨坡洞窟にて2005年、約10万- 約8万年前(後期更新世、リス氷期中。cf.)のジャイアントパンダの化石を中仏共同考古学調査隊が発見しており、これによって、ジャイアントパンダが揚子江流域で進化・繁殖していた可能性が高まった。
Ailuropoda melanoleuca melanoleuca (David1869)
和名未確認(四川亜種) Giant Panda 四川大熊貓(四川大熊猫), 大熊貓四川亞種(大熊猫四川亚种)
Ailuropoda melanoleuca qinlingensis Wan Q.H., Wu H. et Fang S.G., 2005:: 和名未確認(秦嶺亜種) Qinling Panda 秦嶺大熊貓(秦岭大熊猫), 大熊貓秦嶺亞種(大熊猫秦岭亚种)等

脚注・出典

[編集]
  1. ^ 未同定種。
  2. ^ a b Ailuropoda fovealis” (英語). The Paleobiology Database. 2024年4月7日閲覧。
  3. ^ GENUS Ailuropoda” (英語). Mammal Species of the World (2005年). 2010年5月3日閲覧。
  4. ^ a b Jin, Changzhu; Russell L. Ciochon, Wei Dong, Robert M. Hunt Jr., Jinyi Liu, Marc Jaeger and Qizhi Zhu (2007-06-19). “The first skull of the earliest giant panda” (PDF; fee required). Proceedings of the National Academy of Sciences 104 (26): 10932–10937. doi:10.1073/pnas.0704198104. PMID 17578912. http://www.pnas.org/cgi/reprint/0704198104v1 2010年5月3日閲覧。.  (英語)
  5. ^ a b c d e f g h i The first skull of the earliest giant panda” (英語). 2010年5月3日閲覧。
  6. ^ a b さらに古い祖先形の種が約300万年前に棲息していた可能性が指摘されている。
  7. ^ Tribe Ailuropodini” (英語). The Paleobiology Database. National Science Foundation. 2010年5月3日閲覧。
  8. ^ 中国語表記のみ参考 :猫熊的鼻祖-Ailuaractos Lufengensis” (中国語). 百度贴吧. 2010年5月3日閲覧。
  9. ^ 中国語版ウィキペディアの表記も一部参考とした。
  10. ^ a b ジャイアントパンダ類、最古種の頭骨化石発見 - AFP-News” (jp). asahi.com. 朝日新聞社 (2007年6月19日). 2010年5月3日閲覧。
  11. ^ Animal Database Dwarf Panda” (英語). FANDOM Animal Database. 2024年4月4日閲覧。
  12. ^ PBDB Ailuropoda” (英語). The Paleobiology Database. 2024年4月3日閲覧。
  13. ^ 英語版ウィキペディアでも2017年に「Dwarf Panda」(A. minor) のページは削除されている。
  14. ^ New remains of Ailuropoda melanoleuca baconi from Yanjinggou, China” (英語). Journal of Mammalian Evolution (2022年). 2024年4月3日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]