ジョビー・アビエーション
以前の社名 | ジョビー・エアロ (2009–2021) |
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業種 | 航空宇宙産業 |
設立 | 2009年9月11日 |
創業者 | ジョーベン・ビバート |
本社 |
サンタクルーズ (カリフォルニア州) 、アメリカ合衆国 |
製品 | 電気航空機 |
営業利益 | US$−259 million (2021) |
利益 | US$−180 million (2021) |
総資産 | US$1.5 billion (2021) |
純資産 | US$1.3 billion (2021) |
従業員数 | 1,124 (2022) |
ウェブサイト |
www |
ジョビー・アビエーション(Joby Aviation)は、エアタクシー用のeVTOLJoby S4 の開発を行っている米国のベンチャー企業。
概要
[編集]ジョビー・アビエーションはジョーベン・ビバートにより2009年9月11日に設立された[1][2] 。同社のウェブサイトによると、初期の数年間は、電気モーター、フライトソフトウェア、リチウムイオン電池など、電気航空機のさまざまな構成部品の調査に費やされていた[3] 。「S2」と呼ばれるジョビーの初期のコンセプトでは、翼の前縁に沿って8つの傾斜プロペラが配置され、さらに4つの傾斜プロペラがV字型の尾翼に取り付けられていた[4]。その後、機体は6つの回転プロペラを備えた構成に移行した。
2015年までにeVTOLのサブスケールプロトタイプを運用し、2017年にはフルスケールの無人プロトタイプに移行し、2019年には量産プロトタイプに移行した。2018年に、シリーズBラウンドで1億ドルの資金調達に成功した。
2020年1月にトヨタ自動車が主導する5億9000万ドルの資金調達ラウンドを発表した。同月、カリフォルニア州マリーナのマリーナ市営空港でeVTOLを製造する計画を発表した。 2020 年後半「Uber Elevate」を買収した[5]。
2022年1月、330 km/hで飛行するこれまでで最速のeVTOLであるする試作機を公開した[6]。2022年2月16日、リモートで操縦されたプロトタイプが、カリフォルニア州の田舎でテスト飛行中に墜落した[7] 。国家運輸安全委員会は、墜落とその後の火災は、飛行中の部品の故障が原因であると判断した[8]。
2022年5月26日、米連邦航空局(FAA)から「Part 135 Air Carrier Certificate」を獲得した[9]。Part 135 Air Carrier Certificateは、チャーター機のような小型機によるオンデマンドの不定期便を運航する会社に対する認可である[9]。これにより、同社が事業者としてオンデマンドのエアタクシーサービスを提供する準備が整った[9]。ジョビーがeVTOL機を利用したエアタクシーサービスを米国で開始するために必要なFAAの3つの証明のうちの1つ[9]。残り2つは、eVTOL機の型式証明(TC)と製造証明(PC)である[9]。ジョビーは以前より、これら3つの証明を獲得し、2024年のエアタクシーサービス開始を目標に掲げている[9]。
融資
[編集]2018年2月1日、ジェットブルー航空、トヨタ自動車などからシリーズBラウンドで1億ドルの資金調達に成功したと発表した。2020年1月にトヨタ自動車が主導する5億9000万ドルの資金調達ラウンドに成功した。2020年12月、Uberのエアタクシー部門である「Uber Elevate」を買収し、さらにUberから7500万ドルの投資を受け、ジョビー・アビエーションの資金調達総額は8億2000万ドルになった[10][11]。
2021年1月、株式公開をするため特別買収目的会社(SPAC)の設立を模索していると報道された[12]。2021年8月11日、SPACと合併し、ニューヨーク証券取引所に上場した。
2022年10月11日、 デルタ航空がジョビーに6000万ドルを出資すると発表[13]。デルタは開発と実用化にむけた進捗状況をみた上で、最大で2億ドルを投じる方針[13]。
2023年6月29日、韓国のSKテレコムが1億ドルを投資すると発表[14]。
2024年10月2日、トヨタが5億ドル(当時レート:約730億円)を追加で出資すると発表[15]。
テクノロジーとサービス
[編集]ジョビー・アビエーションが開発するeVTOLは、パイロット付きの4人乗りの商用eVTOLであり、最高速度320 km/hで 1回の充電で最大240 km移動することが可能である[16]。飛行中はほぼ無音[17] で、離着陸時はヘリコプターと比較して100倍の静穏性を発揮するように設計されている。ジョビー・アビエーションはeVTOLの大量生産を計画しており、エアタクシーサービスを計画している。
歴史
[編集]- 2021年
- 2022年
- 1月 - 2機目の試作機について「米国連邦航空局(FAA)特別耐空証明」および「米空軍耐空証明」を取得したと発表[20]。
- 2月15日 - ANAホールディングスと「日本における新たな運航事業の共同検討に関する覚書」を締結[21]。本覚書には、地上交通における連携等を想定し、トヨタ自動車も参加[21]。
- 2月16日 - 遠隔操縦していた無人のプロトタイプ実験機が性能限界見極め実験中にカリフォルニア州ジョロンで墜落[22]。ジョビーは「実験的な飛行試験プログラムは機体性能の限界を見極めるべく意図的に設計されており、残念ながら事故の可能性はある」と説明している[23]。
- 4月13日 - 韓国の通信大手SKテレコムと都市航空交通システム(UAM)の開発を共同推進するコンソーシアムと、商業化に向けた業務協約を締結[24]。
- 5月26日 - 米連邦航空局(FAA)から「Part 135 Air Carrier Certificate」を獲得[9]。
- 10月11日 - デルタ航空がジョビーに6000万ドル(約87億円)を出資すると発表[25]。デルタは開発と実用化にむけた進捗状況をみた上で、最大で2億ドルを投じる方針で実用化すれば、米東部ニューヨーク市と西部カリフォルニア州ロサンゼルス市でデルタの顧客を対象に空港と市内を結ぶサービスを提供を検討している[25]。
- 10月18日 - 日本の国土交通省に型式証明の取得を申請したと発表した[26]。ジョビーの型式証明申請は米英に続き3カ国目で、日本の空飛ぶクルマの型式証明申請は2021年のスカイドライブに続き、2例目[26]。
- 2023年
- 2024年
- 2月8日- 「Part 145 Maintenance Certificate」を米連邦航空局(FAA)から取得したと発表[30]。
- 2月9日- 推力システムの認証計画が米連邦航空局(FAA)に受理されたと発表[31][32]。
- 2月12日 - ドバイ道路交通庁(RTA)との間で、2026年初頭までにエアタクシー・サービスを開始するための正式契約を締結し、6年間の独占権利も得たと発表[33]。
- 2月21日 - FAAの型式証明プロセスの 5 段階のうち 3 段階を完了したと発表[34]。
- 3月19日 - 米空軍とのAFWERX Agility Prime契約の一環としてマクディル空軍基地に2機納入すると発表[35]。
- 4月25日 - アブダビの政府3部局と、エアタクシー・サービスの製造拠点、運航、訓練、インフラ整備などについての覚書を締結[36]。
- 6月4日 - Xwing Inc.のAutonomy 部門を買収したと発表[37]。Xwingは、2023年4月に米連邦航空局(FAA)から大型無人航空システム(UAS)の認証を受けた最初の企業で、2024年には空軍の軍事飛行許可を受けている[37]。
- 8月6日 - オーストラリアの民間航空安全局(CASA)へ航空機認証の申請を行ったと発表[38][39]。
- 9月 - アラブ首長国連邦(UAE)の民間航空総局にJobyの航空運航者証明書申請を開始するための意向書を提出[40]。
- 10月2日 - トヨタが5億ドル(当時レート:約730億円)を追加で出資すると発表[15]。トヨタの出資は2020年1月に出資した約4億ドルと合わせ、累計投資額は9億ドルとなった[15]。
- 11月2日 - トヨタがジョビーの機体が日本で初飛行を行ったと発表[41]。
- 11月5日 - 日本の総務省東海総合通信局は、ジョビー・アビエーションに「空飛ぶタクシー」向けの機体を遠隔操作で試験飛行するための免許を付与したと発表した[42]。
- 12月3日 - ジョビーは、同社のフライトアカデミーが米連邦航空局(FAA)から「 Part 141 Flight Academy certificate」を取得したことに加え、「Part 5」に基づいて確立された自主的な航空業務安全管理システム(SMS)がFAAに承認されたと発表した[43]。
脚注
[編集]- ^ Bogaisky, Jeremy. “With Toyota's Help, This Secretive Entrepreneur May Finally Give Us Flying Cars” (英語). Forbes. 2021年1月23日閲覧。
- ^ “Proxy Statement Pursuant to Rule 424(b)(3) Reinvent Technology Partners”. Prospectus. US Securities and Exchange Commission (July 16, 2021). July 16, 2021閲覧。
- ^ “Our Story | Joby”. Joby Aviation Company website. July 14, 2021閲覧。
- ^ Whittle, Richard (2016年7月30日). “In 15 years, we could be flying in silent planes that emit zero fumes” (英語). New York Post. 2021年1月23日閲覧。
- ^ Kumar, Tina Bellon, Uday Sampath (2020年12月9日). “Joby Aviation takes over Uber's air taxi business, Elevate” (英語). Reuters 2021年1月23日閲覧。
- ^ Blain, Loz (2022年1月24日). “Joby S4 hits 205 mph, flying further and faster than any eVTOL to date” (英語). New Atlas. 2022年1月26日閲覧。
- ^ Thom Patterson (February 17, 2022). “Joby Aviation eVTOL Test Aircraft Goes Down During Flight”. Flying magazine
- ^ Niles, Russ (March 14, 2022). “NTSB Says 'Component Failure' Caused Joby Crash”. AVweb. March 14, 2022時点のオリジナルよりアーカイブ。March 14, 2022閲覧。
- ^ a b c d e f g “トヨタ出資の電動航空機企業、「空飛ぶタクシー」運航の認可獲得へ”. 日経クロステック(xTECH). 日本経済新聞社 (2022年6月1日). 2022年10月7日閲覧。
- ^ Kumar, Tina Bellon, Uday Sampath (2020年12月9日). “Joby Aviation takes over Uber's air taxi business, Elevate” (英語). Reuters 2020年12月9日閲覧。
- ^ “Joby Aviation Welcomes New $75M Investment from Uber as it Acquires Uber Elevate and Expands Partnership”. www.jobyaviation.com. August 3, 2021閲覧。
- ^ Sen, Joshua Franklin, Anirban (2021年1月21日). “Exclusive: Air taxi start-up Joby explores deal to go public - sources” (英語). Reuters 2021年1月23日閲覧。
- ^ a b “デルタ航空、空飛ぶタクシーに投資 2024年までに空港と市内を結ぶサービス提供”. DAILYSUN NEW YORK. 日刊サン. (2022年10月12日)
- ^ “ジョビー・アビエーションが大幅高 韓国のSKテレコムが1億ドルを投資=米国株個別 | 個別株 - 株探ニュース”. kabutan.jp. 株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド (2023年6月29日). 2023年7月6日閲覧。
- ^ a b c “トヨタ、「空飛ぶ車」に追加出資 米新興企業ジョビー・アビエーションに730億円”. 産経新聞:産経ニュース. 産業経済新聞社 (2024年10月2日). 2024年10月4日閲覧。
- ^ Bogaisky, Jeremy. “With Toyota's Help, This Secretive Entrepreneur May Finally Give Us Flying Cars” (英語). Forbes 2021年2月26日閲覧。
- ^ “Joby Unveils eVTOL Design Details And Certification Plans | Aviation Week Network”. aviationweek.com. 2021年2月26日閲覧。
- ^ “トヨタ出資の空飛ぶタクシーJOBYが上場、5年後に売上20億ドル目標”. Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン). フォーブス・メディア LLC (2021年8月13日). 2022年10月11日閲覧。
- ^ “NASA Begins Air Taxi Flight Testing with Joby”. NASA公式サイト. NASA (2021年9月1日). 2022年10月11日閲覧。
- ^ “「空飛ぶタクシー」開発のJoby Aviation、米国連邦航空局による耐空証明を取得!”. Techable. 株式会社PRTIMES (2022年1月10日). 2022年10月11日閲覧。
- ^ a b “ANAホールディングスとJoby Aviationがパートナーシップを発表|プレスリリース|ANAグループ企業情報”. www.anahd.co.jp. 全日空 (2022年2月15日). 2022年10月11日閲覧。
- ^ “ジョビーアビエーション、無人実験機が墜落 – 旅行業界・航空業界 最新情報 − 航空新聞社”. 航空新聞社 (2022年2月18日). 2022年10月11日閲覧。
- ^ “「空飛ぶタクシー」開発ジョビーの株急落、飛行試験中に事故”. Bloomberg.com. ブルームバーグ (2022年2月18日). 2022年10月11日閲覧。
- ^ “SKTがUAMで業務提携、25年開始目指す - NNA ASIA・韓国・運輸”. NNA.ASIA. 株式会社NNA(NNA JAPAN CO., LTD.) (2022年4月14日). 2022年10月20日閲覧。
- ^ a b “デルタ航空、新興企業に87億円出資 空飛ぶタクシー開発”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社 (2022年10月12日). 2022年10月14日閲覧。
- ^ a b “ジョビー、国交省へ型式証明を申請 トヨタ出資の「空飛ぶ車」”. Reuters. (2022年10月18日) 2022年10月19日閲覧。
- ^ a b “トヨタ、協業企業が手掛ける空飛ぶクルマ「Joby」が米連邦航空局の飛行テスト認可を量産試作機として初取得”. Car Watch. 株式会社インプレス (2023年6月29日). 2023年7月6日閲覧。
- ^ “空飛ぶタクシー、ついにニューヨークで飛行開始か 手頃な価格で日常的移動手段へ|Pen Online”. Pen Online. CCCメディアハウス (2023年12月3日). 2023年12月17日閲覧。
- ^ “ANAHD、ジョビー、野村不動産とバーティポート開発 – 旅行業界・航空業界 最新情報 − 航空新聞社”. 航空新聞社 (2023年12月11日). 2023年12月17日閲覧。
- ^ “Joby Receives Part 145 Maintenance Certificate from FAA” (英語). www.businesswire.com. ビジネスワイヤ (2024年2月8日). 2024年2月14日閲覧。
- ^ “Joby Receives FAA Approval for Propulsion Certification Plan” (英語). www.businesswire.com. ビジネスワイヤ (2024年2月9日). 2024年2月14日閲覧。
- ^ “ジョビーが続伸 ドバイと協定締結 6年間の空飛ぶタクシーの独占運行権=米国株個別 | 個別株 - 株探ニュース”. kabutan.jp. 株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド (2024年2月14日). 2024年2月14日閲覧。
- ^ “ジョビー、ドバイ道路交通庁とエアタクシー実装で正式契約 – 旅行業界・航空業界 最新情報 − 航空新聞社”. 株式会社航空新聞社 (2024年2月15日). 2024年2月16日閲覧。
- ^ “Joby Completes Third Stage of FAA Certification Process” (英語). www.businesswire.com. ビジネスワイヤ (2024年2月21日). 2024年2月28日閲覧。
- ^ “Joby Widens USAF Partnership, Will Deliver Two eVTOL Aircraft to MacDill AFB”. www.businesswire.com. ビジネスワイヤ (2024年3月19日). 2024年3月22日閲覧。
- ^ “Joby Partners with Abu Dhabi to Establish Electric Air Taxi Ecosystem”. www.businesswire.com. ビジネスワイヤ (2024年4月25日). 2024年4月26日閲覧。
- ^ a b 「Joby Acquires Xwing Autonomy Division, Looks Ahead to Autonomous Flight」『ビジネスワイヤ』2024年6月4日。2024年6月4日閲覧。
- ^ “トヨタ・ANAなどが協力する電動エアタクシー“ジョビー”、オーストラリアでeVTOLの認証申請 | FlyTeam ニュース”. FlyTeam(フライチーム). クロゴ株式会社 (2024年8月9日). 2024年8月14日閲覧。
- ^ “ジョビー・アビエーションがオーストラリアで飛行タクシー認証を申請”. VOI - Waktunya Merevolusi Pemberitaan. Waktunya Merevolusi Pemberitaan (2024年8月7日). 2024年8月14日閲覧。
- ^ “Joby Applies to Become First Certified Electric Air Taxi Operator in UAE”. ビジネスワイヤ. (2024年9月10日) 2024年10月5日閲覧。
- ^ “トヨタが「空飛ぶクルマ」国内初飛行、「東京から東富士まで25分」…大阪・関西万博でデモ飛行目指す”. 読売新聞オンライン. 読売新聞社 (2024年11月2日). 2024年11月5日閲覧。
- ^ “空飛ぶ車へ総務省が初免許 米ジョビー、遠隔操作試験:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 中日新聞東京本社 (2024年11月5日). 2024年11月10日閲覧。
- ^ “Joby Receives FAA Approval for Part 141 Flight Academy”. ビジネスワイヤ. (2024年12月3日) 2024年12月3日閲覧。
関連項目
[編集]- ジョビー・アビエーション S4
- 億航智能 (イーハン)
- Lilium GmbH
- ボロコプター
- スカイドライブ