ジル・トルノアのエタロン
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光学において、ジル・トルノアのエタロン (英: Gires–Tournois etalon) とは、透明板の両面を反射面とし、そのうち片方の反射率だけを非常に高くしたものである[1]。ジル・トルノアのエタロンに入射した光は(ほとんど)完全反射されるが、干渉によってその位相シフトは波長に強く依存することになる。
ジル・トルノアのエタロンの複素振幅反射率は次のように与えられる。
ここで、 r1 は最初の反射面における複素振幅反射率、 δ は次に示す定数である。
非線形実効位相シフト
[編集]r1 を実数とする。 すると、δ にかかわらず |r| = 1 が成り立つ。このことは全ての入射エネルギーが反射され、その強度も波長によらず一様であることを示す。しかし、多重反射により位相シフト Φ は非線形となる。
この効果を示すため、r1 は実数で、最初の面における強度反射率 R を用いて r1=√R のように表わせるものとする。実効位相シフト Φ を次のように定義する。
すると、以下の式が得られる。
R = 0 のとき、最初の面では反射は起こらず位相シフトは光路長の往復分となり (Φ = δ)、線形な応答を示す。しかし、R を増やしていけば非線形位相シフト Φ は δ に対して右の図のような非線形な階段的応答を示しはじめる。ジル・トルノアのエタロンはレーザーのパルス圧縮[1][2]や非線形マイケルソン干渉計などに応用されている。
ジル・トルノアのエタロンはファブリ・ペローのエタロンに深く関連している。
出典
[編集]参考文献
[編集]- Gires, F.; Tournois, P. (1964). “Interferometre utilisable pour la compression d'impulsions lumineuses modulees en frequence”. C. R. Acad. Sci. Paris 258: 6112–6115. (周波数変調された光パルスのパルス圧縮に有用な干渉計)
- Gires–Tournois Interferometer in RP Photonics Encyclopedia of Laser Physics and Technology