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スズメ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スズメ科
ミナミハイガシラスズメ
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ目 Passeriformes
上科 : スズメ上科 Passeroidea
: スズメ科 Passeridae
学名
Passeridae
(Illiger1811)
タイプ属
Passer スズメ属
Brisson, 1760
英名
Sparrows
Old World Sparrows
True sparrows
亜科
  • スズメハタオリ亜科 Plocepasserinae
  • スズメ亜科 Passerinae

スズメ科(スズメか、学名 Passeridae)は、鳥類スズメ目の科である。

特徴

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旧世界に広く生息する。ただし両米にも外来種として生息する。

種子を食べる。

系統と分類

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系統樹は Johansson et al. (2008)[1]などより。ただし細部の系統は不確実性が多い。☆ は Sibley & Ahlquist (1990) のスズメ科に含まれていた群。

オリーブアメリカムシクイ科 Peucedramidae

イワヒバリ科 Prunellidae

ハタオリドリ科 Ploceidae

カエデチョウ科 Estrildidae

テンニンチョウ科 Viduidae

スズメ科

? スズメハタオリ亜科 Plocepasserinae

スズメ亜科 Passerinae

セキレイ科 Motacillidae

nine‐primaried oscines

スズメ科はセキレイ科nine‐primaried oscines と近縁である。ただし、スズメ科とセキレイ科が nine‐primaried oscines に内包されるという説もある[2]

スズメハタオリ亜科はハタオリドリ科からスズメ科に移されたが[3]、これには異論もある。

伝統的には、カエデチョウ科やテンニンチョウ科と共に広義のハタオリドリ科に含まれ、スズメ亜科・スズメハタオリ亜科とされていた。ただし、これらの科からスズメ科はやや離れた系統位置にある。スズメハタオリ亜科はスズメ亜科に含めることもあった[4]。Pocock (1966) は頭骨の特徴からスズメ科(スズメハタオリ亜科は含まない)を分離した。

Sibley & Ahlquist (1985)国際動物命名規約上の先取権に基づき[5]、ハタオリドリ科の名称をスズメ科に変更し、イワヒバリ科セキレイ科を亜科として含めた。

属と種

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属と種は国際鳥類学会議 (IOC)[3]による。11属48種。スズメハタオリ亜科は4属8種、スズメ亜科は7属40種。

スズメハタオリ亜科 Plocepasserinae

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スズメ亜科 Passerinae

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歴史

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スズメ科 Passeridaeハタオリドリ科 Ploceidae を同じ科とするなら、この2つの科名はシノニムとなる。

Chapin (1917) はこの科をハタオリドリ科としたが、Sibley & Ahlquist (1985)国際動物命名規約上の先取権に基づき[6]、名称をスズメ科に変更した。ただし彼らはのちに科の範囲も変更した。

日本では、Ploceidae をスズメ科と呼ぶことがあった。

現在はスズメ科とハタオリドリ科は別科なので、先取権の問題はない。

広義のハタオリドリ科/スズメ科の変遷
伝統的な分類 (Collias & Collias) Sibley & Ahlquist 現在の分類






スズメ亜科 Passerinae





スズメ亜科 スズメ科 11 040
スズメハタオリ亜科 Plocepasserinae ハタオリドリ亜科     04 008
オオハタオリドリ亜科 Bubalornithinae ハタオリドリ科 02 003
キクスズメ亜科 Sporopipinae 01 002
ハタオリドリ亜科 Ploceinae 08 104
カエデチョウ亜科 Estrildinae カエデ
チョウ
亜科
カエデチョウ族 カエデチョウ科 30 140
テンニンチョウ亜科 Viduinae テンニンチョウ族 テンニンチョウ科 02 020
イワヒバリ科 Prunellidae イワヒバリ亜科 イワヒバリ科 01 013
セキレイ科 Motacillidae セキレイ亜科 セキレイ科 06 068

古典的なハタオリドリ科には、現在のスズメ科 Passeridaeハタオリドリ科 Ploceidaeカエデチョウ科 Estrildidaeテンニンチョウ科 Viduidae が含まれていた。

Chapin (1917) はそれらが近縁だとしてハタオリドリ科にまとめた。彼はオオハタオリドリ科 Bubalornithidae を別科としていたが、Sushkin (1927) はそれもハタオリドリ科に含めた。彼はハタオリドリ科を6亜科に分け、Delacour & Edmond-Blanc (1933–1934) などによりテンニンチョウ亜科が独立した亜科となり、Collias & Collias (1964) は7亜科を置いた[7]。スズメハタオリ亜科やキクスズメ亜科を認めない説や、スズメ亜科・オオハタオリ亜科・カエデチョウ亜科・テンニンチョウ亜科を独立科とする説もあった。アトリ科ヒワ亜科 Carduelinae を含める説もあった[8]

Sibley & Ahlquist (1985) はこの科の名称をスズメ科に変更した。Sibley & Ahlquist (1990) はさらに、イワヒバリ科セキレイ科を亜科として加え、従来の亜科のいくつかを統合し、計5亜科とした。スズメハタオリ亜科・オオハタオリドリ亜科・キクスズメ亜科はハタオリドリ亜科に、テンニンチョウ亜科はカエデチョウ亜科に含め、カエデチョウ亜科をカエデチョウ族 Estrildini とテンニンチョウ族 Viduini に分けた。

現在は、スズメ科・ハタオリドリ科・カエデチョウ科・テンニンチョウ科・イワヒバリ科・セキレイ科は独立科となっている。しかしオオハタオリ亜科は分離されず、キクスズメ亜科と共にハタオリドリ科に含まれる。スズメハタオリ亜科を含む科はスズメ科かハタオリドリ科か論争がある(国際鳥類学会議 (IOC)[3]はスズメ科としている)。

出典

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  1. ^ Johansson, U.S.; Fjeldså, J.; Bowie, R.C.K. (2008), “Phylogenetic relationships within Passerida (Aves: Passeriformes): A review and a new molecular phylogeny based on three nuclear intron markers”, Mol. Phylogenet. Evol. 48: 858–876, http://www.nrm.se/download/18.7d9d550411abf68c801800015111/Johansson+et+al+Passerida+2008.pdf 
  2. ^ Weir, J.T.; Bermingham, E.; Schluter, D. (2009), “The Great American Biotic Interchange in birds”, Proc. Natl. Acad. Sci. 106: 21737-21742, http://www.pnas.org/content/106/51/21737.full 
  3. ^ a b c Gill, F.; Donsker, D., eds. (2010), “Dippers & sunbirds to pipits”, IOC World Bird Names, version 2.5, http://www.worldbirdnames.org/n-dippers.html 
  4. ^ Stöcker, F.W., ed. (1995), “Ploceidae”, Concise Encyclopedia Biology, English language edition, Berlin: Walter de Gruynter, ISBN 3-11-010661-2 
  5. ^ Sibley, C.G.; Ahlquist, J. (1986), “The Lesser Melampitta is a Bird of Paradise”, Emu 86: 66–68, http://www.publish.csiro.au/?act=view_file&file_id=MU9870066.pdf 
  6. ^ Sibley, C.G.; Ahlquist, J.E. (1986), “The Lesser Melampitta is a Bird of Paradise”, Emu 86: 66–68, http://www.publish.csiro.au/?act=view_file&file_id=MU9870066.pdf 
  7. ^ Sibley, C.G. (1970), Family Ploceidae, Weaverbirds, Waxbills, “A Comparative Study of the Egg-White Proteins of Passerine Birds”, Peabody Museum of Natural History and Department of Biology, Yale University, Bulletin 32 (New Heaven, CT) 
  8. ^ Tordoff, B.T. (1954), “A Systematic Study of the Avian Family Fringillidae Based on the Structure of the Skull”, Misc. Publ. Mus. Zool. Univ. Michigan 81: 7–41, http://deepblue.lib.umich.edu/bitstream/2027.42/56326/1/MP081.pdf