スタソーマ
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スタソーマ(Sutasoma、須陀素彌、蘇陀蘇摩、普明王[1]、須陀摩王)は[2]、インドの叙事詩『マハーバーラタ』の登場人物。パーンダヴァのビーマとドラウパディーとの間に生まれた子で、父親の異なる4人の兄弟プラティヴィンディヤ、シュルタキールティ、シャタニーカ、シュルタセーナがいる。また異母兄弟にガトートカチャがいる。
クルクシェートラの戦いでは主に他の4兄弟とともに戦ったが、後に眠っているところをアシュヴァッターマンの夜襲にあい、他の4兄弟やドリシタデュムナ、シカンディンらとともに殺された。
ジャータカにおいて
[編集]『ジャータカ』においては[3]、カウラヴァ王朝における釈迦の前世とされる[4]。『ジャータカ・マーラー』における「スタソーマ・ジャータカ」には、スタソーマが人食いのスダーサの息子に捕らえられ連れて行かれるが、バラモンへの供養が完了していないことを悔んで、必ず戻るから一時解放してバラモンを供養しに行かせて欲しいと懇願して認められ、その後、約束を守って戻り、「真理を守った」のだと述べる話がある[5]。
『ジャータカ』におけるスタソーマ物語は、普明王の仏教説話として日本に渡来し[1]、童話にもなっている[6]。
脚注
[編集]- ^ a b 小野玄妙 1927, p. 185.
- ^ 日明 & 小川孝栄 1887, p. 13.
- ^ 引田弘道 & 大羽恵美 2017, p. 105.
- ^ 大屋徳城 1909, p. 18.
- ^ 引田弘道 & 大羽恵美 2017, pp. 105–106.
- ^ 寺尾与三 & 本田穆堂 1931, p. 28.
参考文献
[編集]- 日明、小川孝栄『高祖遺文録』 2巻、久遠寺、1887年、13-15頁。doi:10.11501/823606。 NCID BB14502518。OCLC 836146579。国立国会図書館書誌ID:000000466488 。2023年10月9日閲覧。
- 大屋徳城『釈迦』内外出版協会、1909年、17-18頁。doi:10.11501/816545。 NCID BN08876074。OCLC 673053224。国立国会図書館書誌ID:000000461347 。2023年10月9日閲覧。
- 小野玄妙『仏教美術講話』甲子社書房、1927年、186-188頁。doi:10.11501/1178181。 NCID BN1255626X。OCLC 1074920446。国立国会図書館書誌ID:000000772539 。2023年10月9日閲覧。
- 寺尾与三、本田穆堂『天の花地の花 : 童話物語』八紘社、1931年、23-30頁。doi:10.11501/1717084。 NCID BB06859342。OCLC 672905776。国立国会図書館書誌ID:000000809725 。2023年10月9日閲覧。
- 早川厚一、曽我良成、村井宏栄、橋本正俊、志立正知「『源平盛衰記』全釈(9・巻3-2) (梅本和泰教授 退職記念号)」『名古屋学院大学論集』第50巻第2号、名古屋学院大学総合研究所、2014年、134-212頁、CRID 1390009224749277952、doi:10.15012/00000358、ISSN 03850056、NAID 120005662314、NCID AN00179501、OCLC 5571105260、国立国会図書館書誌ID:025277292、2023年10月9日閲覧。
- 引田弘道、大羽恵美「クシャーンティ・アヴァダーナ : 『ボーディサットヴァ・アヴァダーナ・カルパラター』第38章和訳」『愛知学院大学文学部紀要』第47号、愛知学院大学文学会、2017年、103-117頁、CRID 1050573407752963584、ISSN 02858940、NAID 40021506778、NCID AN0000649X、OCLC 7447322571、国立国会図書館書誌ID:028907848、2023年10月9日閲覧。
関連項目
[編集]- 走れメロス - 太宰治による短編小説。捕まった人物がすべきことのために一時的な釈放を許された後に約束を守り戻ってくる話であり、『ジャータカ』におけるスタソーマ物語のなかの話と類似する。
- ダモンとピュティアス - 古代ギリシャの伝説。捕まった人物がすべきことのために一時的な釈放を許された後に約束を守り戻ってくる話であり、『ジャータカ』におけるスタソーマ物語のなかの話と類似する。