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スターリング・レコード (アメリカ合衆国)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

スターリング・レコード(Sterling Records Inc.)は、かつて1940年代後半にアメリカ合衆国に存在したニューヨークレコードレーベル[1]ハンク・ウィリアムズMGMレコードMGM Records)と契約する前に、最初にレコードを出したレーベルとして広く知られている。

最初期

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1945年、スターリング・レコードは「古典的ジャズと黒人向けレコード (Classic Jazz and Race Records)」を標榜し、黒人音楽のレーベルとして新しく登場した。最初にリリースしたのは、リレット・トマス(Lillette Thomas)という黒人女性ブルース歌手によるレコード番号100番「Blues For My Daddy / Lillette's Boogie」と101番「Variety Blues / That's What Happened To Me」であった[2]。これに続いてバディ・バンクス・セクステット(Buddy Banks Sextet)による102番「I Need It Bad / Banks' Boogie」がリリースされた[3]

ハンク・ウィリアムズ

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ハンク・ウィリアムズは、演奏者としてのロイヤルティーを放棄する代わりにセッション1回につき250ドルを受け取るという条件でスターリング・レコードと契約し、ナッシュビルのラジオ局WSMのスタジオで、1946年12月11日1947年2月11日にセッションを行い、そこから8曲が4枚の78回転盤となってリリースされた[4][5]。ハンク・ウィリアムズの作品は、レコード番号201番「Calling You / Never Again (Will I Knock on Your Door)」、204番「Wealth Won't Save Your Soul / When God Comes and Gathers His Jewels」、208番「I Don't Care (If Tomorrow Never Comes) / My Love for You (Has Turned to Hate)」、210番「Honky Tonkin' / Pan American」でいずれも1947年のリリースであった[1]。ハンク・ウィリアムズがMGMレコードへ移籍した後、スターリング・レコードはウィリアムズの録音原盤権をMGMレコードに売却し、MGMはスターリングと同じ音源からレコードを制作したが、「ホンキー・トンキン」だけは再録音したものを発売した[5]

オクラホマ・ラングラーズ

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ハンク・ウィリアムズの最初の録音セッションでバックを務めたのは、ウィリス・ブラザーズThe Willis Brothers)として知られるウィリス兄弟のグループで、当時はオクラホマ・ラングラーズ(Oklahoma Wranglers)と名乗っていた[6]。オクラホマ・ラングラーズ名義の78回転盤は、ハンク・ウィラムズの最初のセッションと同じ日に録音されたレコード番号203番「I Can't Go On This Way / You Don't Have To Worry」、204番「Farther And Farther Apart / I'm Sorry If That's The Way You Feel」が、スターリング・レコードからリリースされた[5][7]

ジミー・ウェイクリー

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やはり、カントリー歌手のジミー・ウェイクリーJimmy Wakely)も、1948年にレコード番号213番「Cool Water / Saddle Pals」、214番「If You Can't Go Right / I've Got Nuggets In My Pockets」をスターリング・レコードからリリースしている[1][7]。その後、スターリング・レコードの破産手続きがとられた1952年に、ウェイクリーは、かつて別のレコード会社で録音した原盤をスターリング・レコードが勝手に使ったとして訴訟を起こし、原盤権が自分にあることを確認させた[8]

出典・脚注

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  1. ^ a b c Labels >Sterling Records”. rateyourmusic.com. 2011年4月10日閲覧。
  2. ^ “(advertisement)”. Billboard: p. 23. (1945年10月20日). ISSN 0006-2510. https://books.google.co.jp/books?id=mhgEAAAAMBAJ&pg=PT22&lpg=PT22&dq=Lillette+Thomas+sterling+records&source=bl&ots=EWm-ugl-xR&sig=M9cFQLZDXpwogMTly_jv8yyj5qM&hl=ja&ei=bmihTcz-JpGIvgPeka2MBQ&sa=X&oi=book_result&ct=result&redir_esc=y#v=onepage&q=Lillette%20Thomas%20sterling%20records&f=false 2011年4月10日閲覧。 
  3. ^ “(advertisement)”. Billboard: p. 22. (1945年12月1日). ISSN 0006-2510. https://books.google.co.jp/books?id=nxgEAAAAMBAJ&pg=PT21&lpg=PT21&dq=Lillette+Thomas+sterling+records&source=bl&ots=DY19o2sQJz&sig=C88b3lz6tqk6mUHy7nicE8_waEU&hl=ja&ei=lWahTZiANoyEvAPG1-CNBQ&sa=X&oi=book_result&ct=result&redir_esc=y#v=onepage&q=Lillette%20Thomas%20sterling%20records&f=false 2011年4月10日閲覧。 
  4. ^ “A Provicential Meeting: Fred and Wesley Rose Find Hank Williams”. Billboard: p. AR4. (1968年2月3日). ISSN 0006-2510. https://books.google.co.jp/books?id=rAcEAAAAMBAJ&pg=PA46&lpg=PA46&dq=Sterling+Records+hank&source=bl&ots=j_0lVwDvXd&sig=2zEhIFGXVT2D5EuLgCXQYT1V0zY&hl=ja&ei=0kChTcGREpH-vQOL0LGFBQ&sa=X&oi=book_result&ct=result&redir_esc=y#v=onepage&q=Sterling%20Records%20hank&f=false 2011年4月10日閲覧。 
  5. ^ a b c Guy, Ed (1978年). “Sterling Sessions”. the HWAS Journal (Hank Williams Appreciation Society International). http://www.angelfire.com/me2/kulacoco/edguy.txt 2011年4月10日閲覧。 
  6. ^ Paul W. Dennis (2010年5月10日). “Forgotten Artists: The Willis Brothers/Oklahoma Wranglers/Vic Willis Trio”. The 9513. 2011年4月10日閲覧。
  7. ^ a b 45 Discography for Sterling Records”. Global Dog Productions (2005年). 2011年4月10日閲覧。 - タイトルに「45」とあるが、これは78回転盤のリストである。
  8. ^ “Grant Wakely Damages Plea”. Billboard: p. 43. (1952年3月8日). ISSN 0006-2510. https://books.google.co.jp/books?id=ih4EAAAAMBAJ&pg=PA43&lpg=PA43&dq=Jimmy+Wakely+sterling+records&source=bl&ots=_vs1scGutM&sig=Yl4Sa-KiyoEZCo74z4QDgRKgMnc&hl=ja&ei=02OhTdu3JoSuuQPM9vX7BA&sa=X&oi=book_result&ct=result&redir_esc=y#v=onepage&q=Jimmy%20Wakely%20sterling%20records&f=false 2011年4月10日閲覧。 

関連項目

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