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スラウェシバビルサ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スラウェシバビルサ
スラウェシバビルサ
スラウェシバビルサの頭蓋骨(オス)
保全状況評価(2016年時点)[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 偶蹄目 Artiodactyla
: イノシシ科 Suidae
亜科 : イノシシ亜科 Suinae
: バビルサ族 Babyrousini
: バビルサ属 Babyrousa
: スラウェシバビルサ B. celebensis
学名
Babyrousa celebensis
(Deninger, 1909)[3]
シノニム[4]
  • Babirussa celebensis Deninger, 1909
  • Babyrousa babyrussa merkusi De Beaufort, 1964(裸名
和名
スラウェシバビルサ[5]
セレベスバビルサ[6]
英名
North Sulawesi babirusa[3]
分布
スラウェシバビルサの分布域

スラウェシバビルサ(標準和名:セレベスバビルサ[6]学名Babyrousa celebensis[5])は、インドネシアにおいてバビルサとよばれるイノシシの仲間スラウェシ島とその近隣の島々(レンベ島ブトン島ムナ島英語版)の固有種2016年時点における危急種[1]

学名と和名

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属名Babyrousaインドネシア語マレー語を意味するバビ(Babi)と、鹿を意味するルサ(Rusa)が語源である[7]

種小名celebensis「セレベスの」といった意味であり、これは植民地時代のセレベス島の名前に由来している。よって日本でも長らくセレベスバビルサとよばれてきたが、今日ではスラウェシ島の名前に由来するスラウェシバビルサとよばれるようになった[5][1][独自研究?]

生息地

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熱帯雨林において水生植物が豊富な川や池のほとりに生息する[1]

形態

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生態

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行動

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基本的に昼行性の動物である[8]。一例としては、6に目を覚まして動き回るようになり、やがて枝や倒木の下で排泄を済ます。採餌は一日を通して行われるが、朝に時間を割くことが多く、その後ぬたうちしたり、寝そべったりし始める[8]

食物

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ほかのイノシシ科と同様に雑食性であり、野生下であるか否かに関わらず、多種多様な果実無脊椎動物小型脊椎動物)、を食べ、火山性の塩場しおばを舐め、を飲む[1]

社会体制

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スラウェシ島北部の水場・沼田場・塩場の周辺に最大13匹の群れがいたという報告や[1]、複数の異なるグループからなる46個体もの大群が塩場に集まったという報告もある[8]。また、高齢のオスは単独で行動することが多く、群れの多く5の若いバビルサたちをメスが率いている姿であったという報告や[1]、目撃された単独行動をする個体のうち84%を成体のオスが占めたという報告もある[8]

繁殖

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発情周期の長さは内分泌研究によると35〜37日である可能性が示唆されている[8]。発情2~3続き、それ以外の時期にメスはオスを受け入れない[8]妊娠期間は通常155~158日だが、171日まで伸びたという報告もある[8]。同腹子数は通1〜2だが、野生下におい4生まれたという報告もある[8]

飼養動物

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飼育下においては、早ければ生5月から10か月で性成熟する[8]。メスは通常、出産3月以内に再繁殖する[8]。一年中いつでも子を産み、12か月以内2の子を産むこともある[8]

野生動物

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野生下での性成熟は、栄養状態を含む多くの要因に影響されると考えられており、生1以内に繁殖する可能性は低い[8]

寿命

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メスの寿命は飼育下では24年に達しうるが、野生下において712年程度である[8]

保全状況

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2016年時点で、成熟個体数は10,000未満と推定されており、過去三世代(約18年間)において個体数が30%以上減少したものとみられ、次の三世代で10%以上の個体数減少が予想されている[1]。もともとはこの地域でよく見られた動物であったが、スラウェシ島北部、中部、南東部では狩猟の標的となっており、半島北部の東端からは姿を消している[1]2002年時点の情報では、マナド近郊の市場に食肉として売り出されていることが明らかになっている[9]。これに関してスラウェシ島全体ではイスラム教徒が多いため豚肉を食べないが、北部では豚肉を食べるキリスト教が主流であることが関連しているものとみられている[10]。一方でイスラム教徒からはアノアに対して仕掛けた罠にスラウェシバビルサが掛かってしまうことがあるため、単に害獣としてみなされている[1]

参考文献

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  1. ^ a b c d e f g h i j k Leus, K.; Macdonald, A.; Burton, J.; Rejeki, I. (2016). “Babyrousa celebensis”. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T136446A44142964. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T136446A44142964.en. 
  2. ^ celebensis Checklist of CITES Species”. CITES. UNEP-WCMC. 2024年3月23日閲覧。
  3. ^ a b Peter Grubb, “Order Artiodactyla,” In: Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.), Mammal Species of the World (3rd ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 637–722.
  4. ^ Colin Groves & Peter Grubb, “Babyrousa celebensis Deninger, 1909,” Ungulate Taxonomy, Johns Hopkins University Press, 2011, Page 34.
  5. ^ a b c Ito, Masaaki; Macdonald, Alastair A.; Leus, Kristin; Balik, I Wayan; Aribawa, I Wayan Gede Bandem (2019). “Effects of Meteorological Factors on the Expression of Nesting Behaviour in the Sulawesi Babirusa (Babyrousa celebensis) [気象要因がスラウェシバビルサ(Babyrousa celebensis)の営巣行動発現に及ぼす影響]”. Japanese Journal of Zoo and Wildlife Medicine [日本野生動物医学会誌] 24: 73–84. doi:10.5686/jjzwm.24.73. 
  6. ^ a b 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1–53頁。
  7. ^ Babirusa Endemic Tour – Nantu Forest, Gorontalo”. Manado Safari Tours & Travel. 2024年4月23日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q Sulawesi Babirusa (Detailed Profile)”. IUCN SSC Wild Pig Specialist Group. 2024年4月23日閲覧。
  9. ^ E.J Milner-Gulland; Lynn Clayton (2002). “The trade in babirusas and wild pigs in North Sulawesi, Indonesia”. Ecological Economics 42: 165-183. doi:10.1016/S0921-8009(02)00047-2. 
  10. ^ NORTH SULAWESI BABIRUSA”. Aquarium Berlin. 2024年4月7日閲覧。

関連項目

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