スロー・ラーナー
表示
『スロー・ラーナー』(Slow Learner)は、アメリカの小説家トマス・ピンチョンの初期の作品を集めた短編小説集。1984年発表。
『重力の虹』(1973年)以降、10年以上新作のなかったピンチョンが、自己の思い出と作品批評を交えた序文を付して、20代で書いた5つの作品をまとめ上げたもの。「Slow Learner」とはいわゆる「学びの遅い子」の意味であるが、事実ピンチョンは収録された作品群に対して(ユーモラスなパフォーマンスながら)厳しい評価を下している。
収録作品
[編集]- 小雨 (The Small Rain)
- 低地 (Low-Lands)
- エントロピー (Entropy)
- 秘密裡に (Under the Rose)
- 後に書き直され、「V.」の第3章となっている。
- 秘密のインテグレーション (The Secret Integration)
(日本語題名は志村正雄訳による)
ピンチョンの初期作品としては、他にコーネル大学時代に同大学の文芸誌「エポック」(Epoch)に掲載された短編「Mortality and Mercy in Vienna」が存在するが、本短編集には収録されていない。この作品は、日本では『競売ナンバー49の叫び』に「殺すも生かすもウィーンでは」という日本語題名で収録されている(志村正雄訳、サンリオ文庫→筑摩書房→ちくま文庫)。